ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

永谷園煮込みラーメン

2010年04月26日 22時23分40秒 | 雑記
なんということだああああっっっ!

おいしくて、おいしくてたまらず、一週間に一回、いや下手したら三日に一回は食べていた、永谷園煮込みラーメン(コクうま鶏塩ちゃんこ風)が、近くのSEIYUおよびディスカウントストア大黒屋の商品棚から姿を消したのだ。

いったいどういうことだろう。あんなにうまいものが、売り上げが伸びず、販売中止? ひょっとしたら世界で一番うまいもんじゃないだろうかとさえ思っていた好物を奪われ、ここ数日、生きる気力を失い、生きる目標を見失い、生きる意味すらないような気がして、部屋でごろごろ寝転がって本ばかり読んでいた。ああ、こんなに天気が良い週末だったのに、ぜんぜん外にも出なかった。永谷園のせいだ……。

本日、気力を振り絞り、町でいろいろと雑用をかたずけ(とはいえ、写真屋のおばさんと二言三言会話を交わしただけだが)、SEIYUに立ち寄り、煮込みラーメンの代わりに陳列されていた焼きラーメンなるものを買ってみた。

こんなものに、あの煮込みラーメンの代役が務まるはずがない。そう思って食べてみたら、くそっ、うまいぜ! 麺は細麺だが、煮立ったスープが絡みついて、ホテルのスカイラウンジにある高級中華料理屋で食べた五目焼きそばみたいだ。煮込みラーメンに勝るとも劣らない。勝るとも劣らないとは、まさにこの両者の関係のためにあるような言葉だ。世界一うまいもんに決定(ちなみ2位はステーキ、3位はカレーライス)。

それにしても、おそるべし、永谷園。そして和田アキ子。ちなみホームページを見てみると、煮込みラーメンは秋冬限定商品だった。そうと知っていたら、100箱くらい買い置きしといたのに。秋っていつからだ? 早く秋になれ!

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告白

2010年04月25日 01時02分29秒 | 書籍
朝日新聞、ゼロ年代の50冊の3位にも入っていた町田康「告白」。

すごい本だ。文庫で800ページを越える分量だが、見たことのない独特の文体で一気に読ませる。そして最後は洪水のような読後感。ラストの主人公の言葉は、重すぎる。

30分ぐらい読後感がひかず、頭の中がぼんやりとして、それが離れないので、しょうがないのでipodをがんがんかけながら、10キロほどランニングせざるを得なかった。おかげで運動不足も解消され、一石二鳥ではあった。

こういう圧倒的な作品を読まされると、自分が書いている文章があまりにも陳腐なような気がして、自己の存在意義を見失ってしまう。文章を書いている人は読んではいけない本である。

いいなあ。天才って。
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滝谷クラック尾根

2010年04月13日 01時01分20秒 | クライミング
おもしろい、おもしろいといろんなところで読んでいた北穂高岳滝谷クラック尾根を、先週の金曜、土曜に登ってきた。初日は滝谷の避難小屋まで。新穂高温泉から4時間ほどで到着し、雄滝が埋まっているのを偵察した後、パートナーのS君とひたすら酒を飲んだ。

翌朝、2時に起床。前日の記憶がないというS君と、暗い中、滝谷を目指す。4時間ほどかかりようやくクラック尾根に到着したが、取り付きへの右上バンドというのがよく分からない。結局、「旧メガネのコル」というところへ直接トラバースし、最初の2ピッチをはしょってしまった。

ルートはエビの尻尾がばりばりくっついていて、まだまだ冬の装いだった。晴れた日、氷や雪にざくざくとバイルをさして岩を登るのは実に楽しい。北面で風の強い滝谷は、春でも雪氷の登攀が楽しめ、アプローチも悪くはないので今後も通いたいエリアである。



ペルーのS君から、本日(2010.5.5)に届いた、クラック尾根をフォローするわたしの写真

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戦場の掟

2010年04月02日 09時09分48秒 | 書籍
鹿島へ向かう電車の中、2008年度のピューリッツァー賞を受賞したスティーブ・ファイナル「戦場の掟」を読んだ。イラク戦争については、新聞やテレビのニュースを通した表面的な事実しか知らなかったが、この本を読むことでこの戦争が持つもう一つの側面、ひいては現代のアメリカの戦争に対する驚くべきスタンスが如実に浮かび上がってくる。

イラク戦争では、アメリカの傭兵警備会社が政府の受注先として戦争のかなり実質的な部分を担っている。彼らは一般の兵士と違い、イラクの法律で裁くことができないため、イラクの民間人を虐殺しても、危険に対する適切な処置だったとしてあいまいに闇の中に葬られる。彼らはかなり気軽に民間人を殺害してきたというが、そのようなあらゆる犯罪が表面化してこないというのだ。こうした驚愕の事実を、ジョン・コーテという、筆者がたまたま取材中に知り合い、後に拉致されることになる魅力的な若い傭兵の人間像を交叉させつつ、物語を進めていく。社会悪としてのアメリカを告発するだけではなく、生身の人間の物語にしているからこそ、読者にページをめくらせる駆動力がある。エピローグでは思わず目頭が熱くなった。

すごいなと思うのは、この危険な取材を何年もかけて行ったのが、アメリカで最も権威のある新聞の一つ、ワシントン・ポストの記者だということだ。社員が死んで責任を追及されることを恐れ、危険な取材はすべてフリーランスにまかせる日本のマスコミとはえらい違いだ。報道すべき事実がそこにあるなら、リスクを背負ってでも取材する。そうしたアメリカのジャーナリズム精神の底力を見せつけられた思いである。

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鹿島槍~五竜縦走

2010年04月01日 21時05分21秒 | クライミング
私と同じく1年の365日が休日だという無職某氏と共に、鹿島の北壁を目指した。3月28日に天狗尾根の天狗の鼻に、小雪のぱらつく中、キャンプを設営。夜から吹雪出した。翌日は寒波が襲来し、天狗の鼻周辺はひどい積雪に見舞われた。アタック日と考えていた30日は晴れたものの、この大量の積雪の中、北壁に突っ込むのは四度目の雪崩に遭いに行くようなものなので、断念。セカンドプランとして考えていた鹿島槍から五竜までの縦走に予定を変更し、4月1日の朝、遠見尾根のスキー場に下山した。

3月下旬の雪の影響か、後立山、黒部周辺は積雪が豊富。尾根ルートのキノコ雪ももこもこと発達しており、登りごたえがありそうでした。3連休の時の錫杖とは、同じ北アルプスでも全然様子が違った。

それにしても積雪期の北アルプスを縦走するのは何年振りだろうか。02年3月の黒部縦断以来かも。たまにはこういうごりごりした山もいい。登山の充実度というものは、下山した時の風呂で落とした垢の量に比例する。その意味で今回の山行は非常に充実していた、といえるのかもしれない。



鹿島槍と変な雲
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