ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

秋到来!

2010年09月30日 20時25分52秒 | 雑記
どうやら秋が到来したらしい。今年の4月以来、待ち焦がれていた秋……。
ついに大好物、秋冬限定発売の永谷園煮込みラーメンコクうま鶏塩ちゃんこ風が、近くの西友の商品棚にならんでいたのである! 昨日の夜見つけてさっそく購入。今日の夜に食べようと思っていたが、我慢できずに昼食った。

うまい! 冷蔵庫の中に入っていた鶏肉が若干、腐敗臭を放っていたので気にはなったが、食べてみると、そんなことを感じさせない味わいの深さは、さすが永谷園。わたしの場合、肉と野菜(今日は大根、人参、キャベツ)を炒めて投入し、麺をゆでたあと、酢とごま油、黒コショウと七味唐辛子を大量にぶっかける。半年近く待ち焦がれていたこの味……。

二人前をぺロリと平らげ、ラジオの収録があったため、家を飛び出した。西武池袋線東長崎駅午後0時48分発池袋行き普通電車に乗ると、胃の中の麺がエネルギーに変わり、大量の熱を放出し始めた。外気はひんやりとしてうすら寒いくらいだったのに、列車の吊皮につかまっていた私の皮膚からは相撲取りみたいに汗がダラダラと流れてきて、確かにその時、自分がちゃんこ風人間と化していることを私は知った。

今まで日本で一番うまいラーメンは、学生の時からお世話になっていた早稲田のメルシーだと思っていたが、いやいやどうやら、永谷園煮込みラーメンコクうま鶏塩ちゃんこ風の方が上のようである。お腹がすいた時は、一気に四人分調理して、直径25センチくらいのボールに放り込んで食べることもできるので、オススメです!
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オオカミと人間

2010年09月28日 17時21分27秒 | 書籍
オオカミと人間
バリー・ホルスタン・ロペス
草思社

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バリー・ロペスの「オオカミと人間」を読む。マーク・ローランズの「哲学者とオオカミ」やコーマック・マッカーシーの著作など、最近感銘を受けた本の多くがオオカミがらみだったこともあり購入。期待にたがわない素晴らしい本だった。

赤ずきんちゃんや三匹の子豚といった寓話に象徴されるように、オオカミは西洋社会において、悪魔が乗り移った忌避すべき邪悪な生き物として扱われてきた。オオカミは野性に住む自立した生き物に過ぎないのに、人間により過度に現実離れしたイメージが形づくられ、それが原因で、とりわけアメリカ合衆国では取り返しのつかない大殺戮が平然とおこなわれた。

この本では科学的見地からみたオオカミの生態、インディアンやイヌイットなどオオカミとテリトリーを同じくする人々における関心、アメリカ大陸でオオカミはなぜ殺されたのか、神話や中世の西洋社会においてオオカミが果たした役割、などがひと続きの物語となって語られている。もちろん主題はオオカミだが、一貫して人間について書かれた本だともいえる。オオカミに象徴される自然に対して、欧米人が歴史的にどのような態度で臨んできたのか、自然を文明と敵対する荒野と決めつけ、いかにオオカミがそうした人間側の獣性の生贄とされてきたのかが深く理解できる。私たちは一体どのように自然へ対処したらいいのか、正義や主義で貫かれた安っぽい自然保護本やエコロジー関連の書籍に目を通すより、よほど深く考えさせられる。

バリー・ロペスには「極北の夢」という著作も翻訳されている。知識と考察が深いうえ、筆致には抑制がきいていて、それでいて感性の豊かさを感じさせてくれる。事実はよく取材されており、見識ある結論にはついつい納得させられる。

なんだかグルメ本の料理紹介みたいなことを書いてしまったが、要するに、こちらも素晴らしい。北極について書かれた一番素晴らしい読み物だ。

極北の夢
バリー・H. ロペス
草思社

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平原の町

2010年09月26日 10時02分23秒 | 書籍
平原の町 (ハヤカワepi文庫)
コーマック マッカーシー
早川書房

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越境 (ハヤカワepi文庫)
コーマック・マッカーシー
早川書房

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コーマック・マッカシー「平原の町」を読む。「すべての美しい馬」「越境」と続く国境三部作の完結編だ。「馬」の主人公ジョン・グレイディがメキシコの若くて美しい売春婦に恋をし、結婚を決意するが、そこに売春宿の経営者エドゥアルドが立ちはだかる。

これで日本語に訳出されているマッカーシー本はすべて読んだが、この本が最も読みやすくて、リーダビリティーという点でも一番だと思う。マッカーシーの訳本は、句点をほとんど省き、会話文でもカギかっこを使わないという独特の文体で書かれているため、最初は非常にとっつきにくい。しかし「平原の町」は会話が多くテンポがいいこと、ストーリーがまっすぐで分かりやすいこと、マッカーシー作品を特徴づける神話的で重いエピソードが比較的少ないことなどから、スイスイ読める。

マッカーシー本の通底に流れる基調は、人間の生が生としてあった失われた時代に対する郷愁だ。わたしたちは死、つまり生がある一定の時間の枠内に制限されているという事実により、価値や行動基準が潜在的に規定されており、そのことに対する絶対的な了解が根底にある。アメリカ的な社会と対比されるメキシコや、「越境」におけるオオカミに象徴される野生、あるいはインディアンの先住民族社会には、アメリカで失われつつある「生」がビビッドである社会が残っており、主人公はそうした世界との交流を通じて生きることの意味を知っていく。マッカーシーが現代社会を舞台にした小説をほとんど書かないのは、誰もが反論しにくいような分かりやすい正義、世界は良くなるという楽観的な進歩思想に漂白された薄っぺらな今の世の中には、本物の生は存在しなくなったと考えているからだと思われる。

国境三部作の中では「越境」が最もマッカーシー的で重厚感がある。主人公のビリーは罠にかかったオオカミを助けることから、人生の新たな一歩を踏み出し、旅を始めるが、その中でオオカミは自然の摂理が支配する、人間が忘れた世の中の秩序を知った存在として描かれている。真理を象徴したかのような警句的なエピソードや文言が豊富にちりばめられており、読むのに時間はかかるが、読後感もすごい。聖書を読んでいるみたいな本だ。

「平原の町」でジョン・グレイディが恋をしたのが売春婦だったのは、何かメタファーが隠されているのだろうか。それは不明である。しかし、20歳の頃、ブラジルのある田舎町で、若くてむちむちとした、若干ロナウジーニョに似ていなくもない健康的売春婦ジョイスに恋をし、日本に連れて帰って結婚しようと考えたことのある私としては、ジョン・グレイディの気持ちが少しわかる、とだけ言っておこう。
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特ダネ

2010年09月21日 23時30分36秒 | 雑記
日帰りクライミングから帰宅し、遅ればせながら今朝の朝日新聞朝刊を広げると、「検事、押収資料改ざんか」の大見出し。すごい特ダネだ。

村木厚労省局長が無罪判決を受けたいわゆる郵便不正事件で、捜査にあたった主任検事がフロッピーディスクの記述を自分が描いた事件の構図に都合のいいように改ざんした、というのが簡単な記事の内容である。主任検事は今日中に逮捕。夜中のニュース番組で、ある検察OBは、問題は逮捕された主任検事の質の問題にあると発言していたが、構図を描いて供述をあてはめるという検察の捜査手法にそもそもの本質的な問題があるのは明らかだろう。記事がすばらしいかどうかは、そうした権力の裏にひそむ横暴で権威主義的な本質をどれだけ浮き彫りにするかで決まる。この特ダネがすごいのは、検察がそういう不誠実な捜査をしてたことを、誰かの言葉ではなく具体的な事例で明らかにしたことだ。鈴木宗男がいくら主張しても、どこかで信じきれないところがあるが、新聞が書くとやはり説得力がある。もう明日から新聞が報じる特捜事件なんて信じないぞ、となる。

それにしても新聞を読んでいて久しぶりに興奮した。検事がその日のうちに逮捕されたのも、記事の中身を完璧に裏付けてくれていて、書いた記者としてはこれ以上ない展開だったに違いない。一度はこういう記事を書いてみたかった……。でも特ダネは危ない冒険と同じで麻薬みたいなもんだから、こういう記事を書いたら、おそらくあまりにも気持ちがよすぎて記者を辞められなくなったに違いない。特ダネ記者になれなくてよかった。

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frozen in time

2010年09月20日 14時06分37秒 | 書籍
Frozen In Time: The Fate Of The Franklin Expedition

Greystone Books

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来年の北極探検に向けて、本格的に英語資料を読みあさり始めた。手始めに読んだのが「Frozen in Time」。19世紀中旬、ヨーロッパとアジアを結ぶ幻の北西航路発見を目指し、行方を絶ったジョン・フランクリン探検隊についての本である。フランクリン隊の行方は1859年、マクリントックの探検隊により、129人全員死亡という最悪の事実が判明した。極北カナダのビーチェイ島にはフランクリン隊の三人の墓が残されており、1980年代にある科学者がその遺体を発掘した。この本はその時のノンフィクションである。彼らはX線撮影などで遺体の死因を特定し、フランクリン隊に悲劇が襲ったのはなぜかを解き明かしている。表紙はその時に発掘された隊員の死体。本の中には他にも死体の写真がごっそり掲載されている。冷凍保存されていたため、死後約140年経っているとは思えないほど、肉体組織はピチピチしていたという。

個人的には次は北西航路をテーマに本を書きたいと思っている。北西航路とは何か? その話は長くなるのでまた次に回すとして、こうした本で役に立つのは実は巻末資料である。近年のノンフィクションや雑誌に掲載された調査結果(フランクリン隊がなぜ遭難したのかは極地探検史上、最大の謎といわれており、今でも物好きたちが熱心に調べている)だけではなく、約150年前のマクリントックの探検報告や、引き続き行われたアメリカのチャールズ・フランシス・ホールやフレデリック・シュワトゥカ(マニアック過ぎますか!?)などによる、当時のショッキングな資料名も分かる。

世の中便利になったもので、容易に手に入りそうにないこうした古い英語資料も、今の時代、アマゾンで適当に検索してみたら見つかってしまったりするから恐ろしい。アメリカのどっかの大学の出版部が復刻版を出しちゃったりしているわけだ。うわー、これも買える、あちゃーこれもある! などとつぶやきながら、必要そうなのはガンガン購入。気づいたら八冊も購入していた。12月ごろに船便でどっさり届くらしい。まったく困った時代である。

極北で (新潮クレスト・ブックス)
ジョージーナ ハーディング
新潮社

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ついでにジョージーナ・ハーディング「極北で」も読む。これは400年前の航海日誌をもとにしたという小説。魂の救済を求めたのかどうか知らないが、捕鯨船を下船し、グリーンランドの島でひとり越冬した男の物語である。文章が非常に美しいので読めるが、ちょっと美しすぎる。主人公は越冬した後、アザラシにバイオリンを弾いて涙を流すのだが、そんな不気味な奴はこの世にいない。北極の本質はやっぱり、129人が死亡する、闇夜と死に支配された恐怖の大地でしょう。

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武蔵野アブラ学会

2010年09月19日 14時56分20秒 | 雑記
数カ月前から板橋で坦々麺屋を始めた実弟が、このほど、今度は早稲田に油そば屋をオープンさせた。開店日当日、たまたま神保町に用事があったので、その帰りに立ち寄ってみた。玄関脇に花束が飾られており、坦々麺屋で見たことのある顔ぶれが店内にそろっていた。

店名は「武蔵野アブラ学会」というそうだ。油そばの発祥の地が武蔵野なのだという。早稲田の油そばといえば、外苑東通りの東京麺珍亭本舗、それに高田馬場のブブカを思い出す。学生の時から、この両店にはたびたび通っていた。十年くらい前だったか、一時期ささやかな油そばブームが起きて、生めんタイプの油そばが一時期スーパーなどでも売っていた。ブームは一瞬で去り、都内でもあまりみかけなくなったが、最近、また流行り出しているのか、早稲田あたりを通りかかると他にも何店か店を見つける。

ところで弟のアブラ学会。麺珍亭、ブブカに比べて麺は太麺、しこしこ。なかなかうまい。味はややしょっぱ目、こってりなので、酢をたくさんかけた方がさっぱりする。大盛りが普通盛りと同じ値段で食べられるのでオススメである。よく分からんがホームページを見ると、開店には裏話的なストーリーが秘められているらしい(写真はⒸ武蔵野アブラ学会)。

場所は新目白通りとグランド坂通りの交差点。早稲田大学中央図書館、都電荒川線早稲田駅のすぐ近く。ホームページはhttp://www.aburagaku.com/

近所の人は行ってみてください。


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股間と北極

2010年09月15日 10時47分47秒 | 雑記
11月に単行本が発売される「空白の五マイル」の校閲作業が大詰めを迎えている。選考段階から数えて、もう何回読み返したか分からない。内容が諳んじられるくらい頭の中に入っているので、この本のどこが面白いのか、自分では分からなくなってしまっている。こんな内容ではたして売れるのだろうか、と不安だ。

そうこうしているうちに、山と渓谷の10月号が届いた。「紅葉にひたる温泉の山」という特集で、昨年9月に訪れた白馬鑓温泉の記事を担当させていただいた。記事の中に露天風呂につかった見開きパノラマ写真が掲載されているのだが、わたしの股間が見えそうだ。たしか、カメラマンの西田君から、「かくはたさん、見えちゃってるんで、左足まげて隠してもらえますか」とかなんとか言われて撮影した写真だったような気がするが、ぎりぎりである。これ、陰毛を修正して消してない? と思ってしまったが、真実はいかに。

夜は北極冒険家の荻田くんと、新宿靖国通りにある手羽先の山ちゃんで飲み。NHKの収録があり、北海道から東京にやってきたという。北極の現状についていろいろ情報を教えていただく。でも酔っぱらってすっかり忘れちゃった。また飲まなきゃ。
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極地探検の今

2010年09月11日 01時18分43秒 | お知らせ
15日発売の岳人10月号で、「極地探検の今」という特集を組みました。この前もお知らせしましたが、エクストリームスキーの第一人者、佐々木大輔さんによる南極観測登山同行記、わたしの極地冒険を論じるエッセイ、北極冒険家荻田泰永くんへのインタビューをのせてます。

極地に行ったことがないのに、極地の冒険について偉そうに書かせていただきました。自分で言うのもなんですが、この原稿はかなり面白く書けたと思います。雑誌の記事としてはやや長いけど、極地や冒険に関心がない人でも読めるはず。最近あった合コンでのエピソードを用いて、冒険とは何かを論じた日本初の文章です。

お近くの書店、もしくはアマゾンで。

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ニューギニア写真

2010年09月06日 18時40分18秒 | 探検・冒険
古いメディアの中に2001年のニューギニア探検の時の写真を発見した。この探検隊はFさんというクライマーが発案した遠征で、わたしもFさんのカリスマ性に心酔し、大学卒業直後に参加した。ちょっと変わった峠恵子さんという女性歌手がもうひとりいて、今考えると、なんとも風変わりな三人組による探検隊だった(三人の中では自分が一番まともだと断言できる)。

日本からヨットで出航し、グアム、テニアン島や、ふんどし姿の島民が暮らすウォレアイ島という、どこの国なのかよく分からない島々に帰港しながら、太平洋を縦断した。ニューギニア島西部のインドネシア領イリアンジャヤに到着後、島で最も大きなマンベラモ川という、ジャングルの中を蛇行する巨大河川をボートでさかのぼった。

計画は同島最高峰、カールステンツ・ピラミッド(4884メートル、5030メートルという説も)北壁を新ルートから登るという野心的なものだった。カールステンツ・ピラミッドは、アイガー北壁初登頂やセブンイヤーズインチベットで知られるハインリッヒ・ハラーが初登頂した山である。非常に格好いい石灰岩の岩山だ。しかし、わたしたちが遠征した時期は、ちょうどイリアンジャヤ州の独立をめざすゲリラ組織OPMが活発に活動していた時期で、スペイン人の旅行者が拉致されただとか、警察署が襲撃されて5人が死亡し、銃が奪われただとか、物騒なことこのうえないニュースが相次いでいた。カールステンツ・ピラミッドの麓の村イラガはこのゲリラ組織が根城とする村だったので、結局、同峰の登攀は断念し、二番目に高いトリコ―ラという山の北壁を登った。





トリコ―ラ北壁、500メートルの巨大な石灰岩

面白かったのは、この独立ゲリラ組織がニューギニア島民の民族衣装であるペニスケースと、あとなぜか赤いバンダナを着用して、ゲリラ活動をおこなっているという話である。自分たちの文化と政治的運動の意義を世界に知ってもらうため、拉致した外国人にもペニスケースの着用を強制していたらしい。この話をきき、ぜひ彼らの村にも行ってみたい! と当時の若かった私は思ったものだ。もちろん10年たった今でも、その気持ちはいささかも揺らいでいない。

なお冒頭の写真は、中央高地のどこかで出会ったペニスケース着用の由緒正しきニューギニア島民。写真を撮りたいというと、快く引き受けてくださり、弓をひくポーズなどもして下さった。

ちなみにこの遠征では、その後、カールステンツ・ピラミッドを登るチャンスが再び巡ってきたのだが、隊長のFさんの興味が、フクロオオカミという絶滅したはずの有袋類がまだ生き残っているという話にうつってしまい、山などそっちのけになってしまった。そんなことがあり、それじゃあ話が違うじゃないかということで、わたしは先にひとりで帰国した。

ニューギニアには今も探検隊が入りこんでいない地域が残っている。5千メートル近い、面白いそうな山もたくさんあるが、現在のスポーティブなクライマーはこういうワイルドな地域にはあまり興味を示さないようだ。北極もいいけど、ニューギニアももう一度行きたい。体が二つあれば同時進行できるのだが。

ちなみにこの時一緒だった峠さんとは、先日、約10年ぶりに再会。峠さんはこの時の探検をまとめた本を出版しているので、興味のある方はご一読を。

ニューギニア水平垂直航海記 (小学館文庫)
峠 恵子
小学館

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俺俺

2010年09月05日 22時45分18秒 | 書籍
俺俺
星野 智幸
新潮社

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星野智幸「俺俺」を読んだ。以前、朝日新聞で中島岳志が絶賛、知り合いからも薦められ、気になっていた本だ。出だしの数ページを読んで、面白そうなので購入した。

タイトルの通り、オレオレ詐欺の話から始まるが、オレオレ詐欺のエピソードは物語の本質とはほとんど関係ない。オレオレ詐欺がきっかけで別の俺の存在を知った俺は、そのもう一人の俺ととりあえずの役割分担をするため、携帯電話のアドレス帳に俺の名前をもう一人の俺に登録させる形で、自分の名前をゆずってしまう。ここから話は急展開し、次第に俺を俺たらしめていた人間関係や存在基盤がだんだんと揺らいでき、俺がはたして何者なのか訳が分からなくなっていく。

読んでもわけのわからない人は、本を読んでみましょう。

土日は小川山でクライミング。全然登れなくてショックを受けた。最近、フリークライミングに行くたびにショックを受けるので、もう行かないほうがいいのではないかと考えている。
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kotoba創刊号

2010年09月03日 18時08分34秒 | お知らせ
集英社のノンフィクション雑誌「kotoba」の創刊号が9月6日に発売される。開高賞の受賞者ということで、わたしのインタビューも掲載されている。

それにしても表紙がすごい。福岡伸一、小熊英二、浜矩子、ル・クレジオと並び(正確にいうと並んでないが)、わたしの名前がのっている。日本が代表する知性およびノーベル文学賞受賞者に野人が一匹といった感じになっており、明らかにバランスをかいている。特集は「生物多様性はなぜ必要なのか」。表紙も中身も非常に高尚な内容になっており、自分の存在が雑誌の品位を落としていないか心配だ。高級ブランド店に、まちがってゴム草履と短パンで入ってしまったような気分である。

ちなみにkotobaのホームページでは、わたしのビデオメッセージを見ることができる。なるべく背筋を伸ばして、笑顔をつくろうと頑張ってみたが、態度が不遜なうえ、ぼそぼそ話しているので、何を言っているのかよく分からない。自分は他人から見るとこんな感じなんだというのがよく分かった。分かりたくなかった。

http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/
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二人の佐々木さん

2010年09月01日 21時21分34秒 | 雑記
市ヶ谷の大日本印刷で岳人の記事の色校正があり、誌面をチェック。わたしが担当した極地特集の記事は、佐々木大輔さんの南極観測隊同行ルポと、わたしの北極探検史のエッセイ、北極冒険家荻田泰永さんのインタビューという構成になっている。佐々木さんの南極写真がじつに美しい。

佐々木さんといえば、先日、こんなことがあった。たまたまグーグルで「佐々木大輔」と検索してみたら、彼のブログを発見。読んでみたら、下ネタ連発のやや過激な内容である。佐々木さんといえば、海外の様々な山岳地域で活躍しているエクストリームスキーの第一人者。あっちのほうもエクストリームだったのか、と感心しメールを出すと、違うんですと返事が来た。

なんと、同姓同名の同じような活動をしているスキーヤーがもうひとりいるのだという。競技人口が手足の指で数えられそうなほど少ない冒険山岳スキーの世界に、同姓同名のプレーヤーがいて、おまけにその二人は年齢まで同じなのだという。

「ブログをみて、よく間違えられるんです」と、わたしが岳人でお世話になったほうの佐々木大輔さんはやや困惑気味だ。そりゃそうだろう。間違えるなという方が無理である。プロフィール面から二人を見分けるには、出身地が北海道か、青森かで判別するしかないようだ。ちなみにわたしが岳人でお世話になった佐々木大輔さんは北海道の方である。

こんなこともあるんだ。ややこしいことこのうえない。いっそのこと、合体してしまったらどうだろう?

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