客観的かつ冷静に分析して、おそろしくかわしい私の赤ん坊についてもう少し書き加えたいところだが、それはさておき、年末にかけておこなってきた高野さんとの対談本の収録が、ようやく昨日終了した。
今年は『アグルーカ』が高野さんの『ソマリランド』と講談社ノンフィクション賞を同時受賞した。その受賞記念として対談本をだしませんかと講談社から声をかけられたのだ。
対談はあまり得意ではないので、いつも自分の考えていることがうまく話せなくて落ち込んだが、先日あがってきた原稿を読むと、うまくまとまっており、予想以上に面白い出来になっている。
ちなみに原稿をまとめてくれたのは、これまた探検部の大先輩で、山と溪谷社のクライミング誌『ROCK & SNOW』の元編集長で、今はフリー編集者の森山憲一さん。森山さんは、高野さん率いるムベンベ隊に一年生で参加し、何を考えているかよくわからないと書かれていた、あの森山さんだ。
私とはまったく大学ではかぶっていないが、探検部に入ったばかりの頃に一度、森山さんふくめたOB連中と伊豆の城山でクライミングをしに行ったことがあり、その後も、なぜか剱の内蔵助谷でばったり出会ったり、穂高の涸沢に向かう途中でばったり出会ったりと、やたらと山の中でばったり出会うことの多い人だった。
昨日、その森山さんから言われた一言が印象的だった。
森山さんによると、城山で初めて出会った時、私はゴリラのようだったという。全然言葉をしゃべらず、ウッホ、ウッホという挙動(学術的にいえばロコモーションという)で練り歩くばかりで、人間のようには見えなかったのだ。少なくともホモサピエンスには。それが私の本を読んでその考えは一変した。こんなに知的な作業のできる人間だったんだ。というか言葉を知っていたんだ……と。
しかし今回、何度も対談の収録で顔をあわせた結果、その印象はまた変わったらしい。
「角幡は最初会った時は本当にゴリラにしか見えなかったんだけど、結局、そっちのほうが正しかったということがよくわかった」
なんということだ。あんなに一生懸命、自分の言葉で考えを伝えた結果、人間からゴリラに逆戻りしてしまったのだ。そういうふうに読めてしまう本なのだろうか(そういえば私の姉の娘が小さい頃、ゴリラが大好きで、将来はゴリラになりたいと言っていた時期があったが、その頃好きだったのが、ゴリラと私と小島よしおだった。結局、そういうことなのだろうか……)。
ちなみに対談本の発売は来年四月ごろの予定で、タイトルはまだ決まっていない。
今年は『アグルーカ』が高野さんの『ソマリランド』と講談社ノンフィクション賞を同時受賞した。その受賞記念として対談本をだしませんかと講談社から声をかけられたのだ。
対談はあまり得意ではないので、いつも自分の考えていることがうまく話せなくて落ち込んだが、先日あがってきた原稿を読むと、うまくまとまっており、予想以上に面白い出来になっている。
ちなみに原稿をまとめてくれたのは、これまた探検部の大先輩で、山と溪谷社のクライミング誌『ROCK & SNOW』の元編集長で、今はフリー編集者の森山憲一さん。森山さんは、高野さん率いるムベンベ隊に一年生で参加し、何を考えているかよくわからないと書かれていた、あの森山さんだ。
私とはまったく大学ではかぶっていないが、探検部に入ったばかりの頃に一度、森山さんふくめたOB連中と伊豆の城山でクライミングをしに行ったことがあり、その後も、なぜか剱の内蔵助谷でばったり出会ったり、穂高の涸沢に向かう途中でばったり出会ったりと、やたらと山の中でばったり出会うことの多い人だった。
昨日、その森山さんから言われた一言が印象的だった。
森山さんによると、城山で初めて出会った時、私はゴリラのようだったという。全然言葉をしゃべらず、ウッホ、ウッホという挙動(学術的にいえばロコモーションという)で練り歩くばかりで、人間のようには見えなかったのだ。少なくともホモサピエンスには。それが私の本を読んでその考えは一変した。こんなに知的な作業のできる人間だったんだ。というか言葉を知っていたんだ……と。
しかし今回、何度も対談の収録で顔をあわせた結果、その印象はまた変わったらしい。
「角幡は最初会った時は本当にゴリラにしか見えなかったんだけど、結局、そっちのほうが正しかったということがよくわかった」
なんということだ。あんなに一生懸命、自分の言葉で考えを伝えた結果、人間からゴリラに逆戻りしてしまったのだ。そういうふうに読めてしまう本なのだろうか(そういえば私の姉の娘が小さい頃、ゴリラが大好きで、将来はゴリラになりたいと言っていた時期があったが、その頃好きだったのが、ゴリラと私と小島よしおだった。結局、そういうことなのだろうか……)。
ちなみに対談本の発売は来年四月ごろの予定で、タイトルはまだ決まっていない。