ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

剱岳池ノ谷右俣ドーム稜

2013年05月06日 09時44分11秒 | クライミング
今年の積雪期登山は先日の五竜岳をもって終了したつもりになっていたが、ついつい悪い癖が出て、連休中にS野さんとウッチ―を誘って剱岳に行ってしまった。四月下旬からの雪と連休前半の悪天候の影響か、剱は例年より雪がおおいぐらい。行ってよかった。

ルートは池ノ谷右俣ドーム稜。ベルグラが一面に張りついていて、下半部はルートを無視し右側の壁の氷を登った。登攀日となった4日は気温が低く、風も強くて完全に冬山模様。ベルグラにバシバシとピックが決まり、ルートとしては登りやすい。快適なアルパインアイスといった感じである。後半はドーム稜のルートに戻り、Ⅳ級程度の岩登り。部分的に逆相気味の悪いところがあり、一カ所あぶみを出して突破した。最終ピッチのマンメリークラックは氷がびっしり詰まっており非常に快適なピッチである。狭い岩の割れ目をぐいぐい登る。



全部で10ピッチか11ピッチぐらいだったろうか。非常に長いルートである。登攀中は途中からずっと風にあたっていたので、身体が冷え切ってしまった。厳冬期と変わらないぐらい着込んでいたのに、登っていても全然暑くならない。冬山感たっぷりで面白かった。

登攀終了時点で17時近かったので、残念ながら本峰は割愛し、長次郎の頭から下山を開始。しかし折悪く、夕方から濃霧に覆われ視界が10メートルぐらいしかきかない。池ノ谷ガリーから池ノ谷左俣へ下降する予定だったが、ガスのためその下降点が分からない。地図を見て、コンパスをきって議論しながら何カ所かで下山を試みるが、どうしてもそこが池ノ谷ガリーだと確信がもてず、結局、安全策をとり長次郎の頭付近でビバークした。10時間の非常に寒い夜を過ごし、翌日、快晴の中下山。結局、前日に下ろうとしていたところが池ノ谷ガリーだった。

これで今年の積雪期クライミングはほんとうに終了。日々の楽しみのひとつがなくなってしまった。来年は錫杖1ルンゼと一ノ倉沢の中央奥壁と滝谷C沢右俣奥壁と甲斐駒の奥壁左ルンゼとヤニクボルンゼと槍ヶ岳西稜あたりを登りたい。でも冬はまた北極に行くので無理かな。