ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

極夜脱稿

2017年11月24日 22時46分09秒 | 雑記
極夜原稿をついに脱稿した。長かった。4月ぐらいから断続的に執筆して半年ほどかかったことになる。本当は9月ぐらいに書き終わる予定だったのに、引っ越しもあったし、冒険論の新書原稿もあったし、9、10、11月とまったく山にいけなかった。

極夜の探検は私にとっては4年間の準備期間をかけた一生に一度の旅で、旅の間も星や闇や月や太陽にかんするさまざまな考察や発見が目まぐるしく展開されて、もうこんな旅、一生無理でしょというぐらい内容の濃いものだった。難しかったのは、この話をいかに説得力あるかたちでまとめるかということ。闇の世界をぬけて最後に太陽を見るという旅だから、基本的にはヒエロファニーの話なんだが、ヒエロファニーをあまり真面目に描くと崇高になってしまい、ノンフィクションとしては説得力がなくなるので、けっこうふざけた表現とか、描写などをまじえて崇高じゃない話になるよう努力した。そのため昔の恥ずかしいエピソードなでも交えて闇の世界の事実を伝えようとした。

まあ、自分の恥部をさらけ出すことは大好きなので、このへんは非常に楽しんで書けたが。

個人的には自分が経験した暗黒世界をかなり忠実に文章化できた手ごたえはある。この本を読めば極夜探検をかなりリアルに追体験できると思う。

タイトルは『極夜行』に決定。東野圭吾の『白夜行』が有名なので、これはやめようかなと思っていたが、やはりシンプルなほうが人口に膾炙しやすいし、旅の内容にも合っているので決めた。発売は文芸春秋から2月9日予定。

ちなみに、早くもパブリシティが一件決まっており、2月に新潮のラカグで写真家中村征夫さんと対談の予定がある。これはどっちかといえば私の本ではなく、中村さんのほうのパブリシティ。というのも、なんと中村さん、40年前に冬のシオラパルクに滞在し、そのときの作品をまとめた『極夜』という写真集を刊行するのだという(アマゾンを見ると12月26日発売予定)。

極夜の本なんて、たぶん何十年に一冊しか出ないと思うが、それが二冊も同時に刊行される。恐ろしい偶然である。こんなこと、普通あるだろうか? 奇跡といってさしつかえないだろう。

それにしても40年前のシオラパルクの話を聞けるとは、今から非常に楽しみだ。
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