ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

関の沢川~大無間山~大沢根山~信濃俣河内~茶臼岳

2016年05月26日 23時23分32秒 | クライミング
最近、ビーパルの連載に、集英社のウェブ連載がかさなって、完全に自分のブログで書くネタがなくなった。ちょっとした小話でも、もしかしたら連載のネタになるかも、とついつい思ってしまって、怖くてブログに書けないのだ。最近、ブログの更新をしていなかったのは、忙しかったからではなく、書くことがないからである。

19日から25日まで、上記タイトルに書いた沢をぶらぶらと一人で歩いていたのだが、これもビーパルの格好のネタになるかもしれないと思うと、詳しく書けない。このブログを読んで、ビーパルを読んだ人がいたら、角幡は同じことをかき回しているなあと思われてしまうからだ。

でも、まあ、別にいいや。

五月というのは、長期の沢登りをするには面倒な季節で、越後や東北はまだ早いし、奥秩父じゃ物足りない。西日本まで行く時間も金もないので、じゃあ南アルプスの南部にしとこうということになりがちで、学生時代からこの山域には春合宿でよく通っていた。今回もテンカラ竿を買ったので、その練習と、あと夏に長期放浪沢登りを考えているので、その足慣らしということで一週間ほど沢をぶらぶらしていた。

最近は沢登りに行くときは遡行図も何も見ないで、適当に地図をみて決めることが多い。遡行図を見ないのは、フリークライミング、ノンボルト、残置無視といったような思想性に支えられてのことではなく、単に調べるのが面倒くさいだけだからだ。沢なんて現場で何とかなるだろ、いざとなりゃ高まきゃいいんだからと考えているわけだ。

行ってみると関の沢川というのは意外と悪い沢で、いくつか淵が出てきた。水量も結構おおく、まだ五月で泳ぐ気もしないし、泳いだところでその先が登れるのかわからないので、遡行図を持ってないと淵というのは基本的に高まくしかない。それで全部高まいたのだが、傾斜のきついスリッピ―な泥壁で悪いところが多かった。気のせいか、渓相も全体的に深くて陰惨。ヒルもうじゃうじゃいて、足首周りを十カ所ほどやられた。肝心の釣りもキャストが慣れるまで難しくて、中流部で小さなアマゴが二匹つれただけ。上流のほうは全然釣れなかった。


関の沢の淵。なぜか写真が横になってしまう


南ア深南部ではおなじみのヒル(大)

関の沢川からは大無間山、大沢根山を縦走して、西河内から信濃俣河内へ下りた。こちらは明るい沢で、魚もうようよいた。淵や滝の岩質も順層で素直なので簡単に側壁をへつれるし、木の根がしっかり張り出しているので巻きも安全。あとヒルも全然いない。非常に快適な沢である。近所の沢なのにどうしてこうも違うのか。

テンカラのほうも三日目ぐらいから慣れて、信濃俣河内ではそこそこ釣れるようになって大変楽しかった。全体的にはいい山行で、夏がとても楽しみである。今のところ下田川内から笠堀、南会津にはいって白戸川、会津駒まで渡り歩くという二週間程度のプランを考えている。そしてチャンスがあれば日高でアレを……。

いずれにしても百名山ひと筆書きみたいな、ああいうのとは違う価値観の登山を提示したい。あ、またこんなに書いてしまった。