昼前、友人からの電話で目が覚めた。
「ねえ、知ってる?森君が死んじゃったよ」
「え、まじ?」
起きしなの眠気眼の中、水をぶっかけられたような電話だ。友人の話だと中央アルプスで滑落したらしい。
「岩場かなんかだったのか」
「落ち葉でも踏んだんじゃないかな。宝剣以外の中央アルプスの尾根でロープ出すようなところ聞いたことないから」
すでに遺体は収容されたということのようだ。蒲団からはいずりだし新聞を確認すると社会面のベタ記事に「中央アルプスでは東京の男性が不明」との記事があった。ネットの速報では県警のヘリがすでに遺体を収容したと報じている。
森啓さんとは今年春、伊豆の海金剛で「太陽賛歌」を一緒に登ったことがあった。写真はその時、フォローで登る森さんのもの。会ったのはその時だけだけど、時折メールを出し合い、都合があえば一緒にまた登ろうと約束を交わした。ちょっととぼけた感じだったけど、笑顔の素敵な30男だった。謹んでご冥福を祈りたい。
それにしても今年はこの手のニュースをよく聞いた。山岳スキーヤーの新井裕己、マッキンリーで遭難した井上祐人、山田達郎、クーラカンリで雪崩に襲われた加藤慶信、有村哲史。いずれも20~30歳代のバリバリの若手クライマーやスキーヤーだった。つまり今年は、僕と同じ世代で登山界を引っ張っていた人物が次々と姿を消してしまった年であったのだ。
直接面識のある人もいれば名前だけ知っている人もいるが、彼らが死んだと聞くたびにぽっかりと心に穴があいた喪失感に襲われた。森さんの事故を伝えてくれた友人の言葉が胸に響く。
「なんでこんなに死んじゃうんだよ」
自分の世代でこんなに死ぬと、今度は自分かななんてふと思ってしまう。登山やっている人はみんなそう思うんじゃないだろうか。でも、死ぬかもしれないなんて切迫感はその瞬間にならないと訪れないから、みんな登山を止めることはない。
同世代ではないけど、熱気球で太平洋を横断している最中に行方を絶った神田道夫さんの遭難も今年だった。神田さんとの思い出を描いた石川直樹君の「最後の冒険家」で、神田さんが探検部出身の新聞記者に冒険を誘ったくだりがあるけど、実はそれは僕のこと。僕は神田さんの太平洋横断について何度も取材していた。
冒険や登山に命のリスクはつきものだけど、これだけいろんな人が死ぬとさすがにやるせない。
「ねえ、知ってる?森君が死んじゃったよ」
「え、まじ?」
起きしなの眠気眼の中、水をぶっかけられたような電話だ。友人の話だと中央アルプスで滑落したらしい。
「岩場かなんかだったのか」
「落ち葉でも踏んだんじゃないかな。宝剣以外の中央アルプスの尾根でロープ出すようなところ聞いたことないから」
すでに遺体は収容されたということのようだ。蒲団からはいずりだし新聞を確認すると社会面のベタ記事に「中央アルプスでは東京の男性が不明」との記事があった。ネットの速報では県警のヘリがすでに遺体を収容したと報じている。
森啓さんとは今年春、伊豆の海金剛で「太陽賛歌」を一緒に登ったことがあった。写真はその時、フォローで登る森さんのもの。会ったのはその時だけだけど、時折メールを出し合い、都合があえば一緒にまた登ろうと約束を交わした。ちょっととぼけた感じだったけど、笑顔の素敵な30男だった。謹んでご冥福を祈りたい。
それにしても今年はこの手のニュースをよく聞いた。山岳スキーヤーの新井裕己、マッキンリーで遭難した井上祐人、山田達郎、クーラカンリで雪崩に襲われた加藤慶信、有村哲史。いずれも20~30歳代のバリバリの若手クライマーやスキーヤーだった。つまり今年は、僕と同じ世代で登山界を引っ張っていた人物が次々と姿を消してしまった年であったのだ。
直接面識のある人もいれば名前だけ知っている人もいるが、彼らが死んだと聞くたびにぽっかりと心に穴があいた喪失感に襲われた。森さんの事故を伝えてくれた友人の言葉が胸に響く。
「なんでこんなに死んじゃうんだよ」
自分の世代でこんなに死ぬと、今度は自分かななんてふと思ってしまう。登山やっている人はみんなそう思うんじゃないだろうか。でも、死ぬかもしれないなんて切迫感はその瞬間にならないと訪れないから、みんな登山を止めることはない。
同世代ではないけど、熱気球で太平洋を横断している最中に行方を絶った神田道夫さんの遭難も今年だった。神田さんとの思い出を描いた石川直樹君の「最後の冒険家」で、神田さんが探検部出身の新聞記者に冒険を誘ったくだりがあるけど、実はそれは僕のこと。僕は神田さんの太平洋横断について何度も取材していた。
冒険や登山に命のリスクはつきものだけど、これだけいろんな人が死ぬとさすがにやるせない。