ジョン・クラカワーと言えば、エベレストの大量遭難を描いた「空へ」や、アラスカの原野をひとり彷徨い死んだクリス・マッカンドラスの評伝「荒野へ」などで有名なノンフィクション作家で、僕も大好きなのですが、この作品は読んだことがありませんでした。というかこんな作品が出ていることさえ知らず、アマゾンでたまたま見つけ、速攻で購入しました。
宗教については何の知識もないし、それほど関心もありませんでしが、そんな僕でもなんて面白いんだ!と思いながら一気に読むことができました。その理由はこの本の主題がモルモン原理主義の思いもよらない過激な側面についてスポットをあてていることにももちろんありますが、クラカワーの描写力が優れていることに最大の要因があります。膨大な資料を読みこなしインタビューで本音を聞き出す取材力、揺るがない見解、彼独特の皮肉が適度に利いた、飽きの来ないスリリングな文章は、ほとんどノンフィクション作家として完璧のように思えます。とりわけ章の末尾にくる文章やシーンの展開は読者の関心がとぎれないようによく練られていて、良質なミステリー小説を読んでいるかのようです。
ただ四百ページを超える大冊で、文字も小さい。「空へ」「荒野へ」以外にクラカワーには「エベレストより高い山」というエッセイ集が文庫本で出ていますので、目が悪い人や忙しい人、お金のあまりない人にはそちらをお勧めします。「信仰」とは全然関係ありませんが、クラカワー自身、実は若い時は先鋭的な登山家で、その彼が一般にはなじみの薄いクライマーたちの奇特な世界をユーモアたっぷりに描いています。とても面白く読める、隠れたクラカワーの最高傑作かもしれません。
宗教については何の知識もないし、それほど関心もありませんでしが、そんな僕でもなんて面白いんだ!と思いながら一気に読むことができました。その理由はこの本の主題がモルモン原理主義の思いもよらない過激な側面についてスポットをあてていることにももちろんありますが、クラカワーの描写力が優れていることに最大の要因があります。膨大な資料を読みこなしインタビューで本音を聞き出す取材力、揺るがない見解、彼独特の皮肉が適度に利いた、飽きの来ないスリリングな文章は、ほとんどノンフィクション作家として完璧のように思えます。とりわけ章の末尾にくる文章やシーンの展開は読者の関心がとぎれないようによく練られていて、良質なミステリー小説を読んでいるかのようです。
ただ四百ページを超える大冊で、文字も小さい。「空へ」「荒野へ」以外にクラカワーには「エベレストより高い山」というエッセイ集が文庫本で出ていますので、目が悪い人や忙しい人、お金のあまりない人にはそちらをお勧めします。「信仰」とは全然関係ありませんが、クラカワー自身、実は若い時は先鋭的な登山家で、その彼が一般にはなじみの薄いクライマーたちの奇特な世界をユーモアたっぷりに描いています。とても面白く読める、隠れたクラカワーの最高傑作かもしれません。