今日の朝日新聞朝刊オピニオン面に注目のインタビューが載っていた。「記者が消えた街」。廃刊や人員削減のあおりをうけて、アメリカの地方などでは記者がいなくなった「取材空白域」が存在し、それを取材したスティーブ・ワルドマン記者へのインタビューだ。
ワルドマン記者によると、広告頼みのビジネスモデルが崩壊し、アメリカの地方では新聞の廃刊が相次ぎ、大手紙でも様々な分野で記者の数が削減されている。取材空白域では記者による監視の目が働かず、地方行政官が私腹を肥やしたり、地方選挙では投票率が低下するなどの事態が起きているという。権力を監視するジャーナリズムは民主主義の根幹だとはよく言われるが、実際にアメリカではその根幹が崩壊し、民主主義があえいでいるらしい。
日本でも特に若年層を中心に新聞はほとんど読まれなくなった。主な理由はネットがあるから、だろう。しかし多くの人が気づいているのか、気づいていないのか知らないが、ネットというのは基本的に情報インフラ、通信媒体にすぎない。新聞でいえば紙、テレビでいえばブラウン管(古すぎ?)みたいなものだ。ワルドマンさんも言っている通り、ネットにあふれているニュースは、ほとんどが新聞か雑誌、テレビの記者が取材し、報道したもので、ほとんどのネットの発信者は取材はしない。中でも新聞の取材力は雑誌やテレビに比べて圧倒的だ。だから新聞記者がいなくなったら、ネットに流れるニュースも量が減るか、質が低下し、取材空白域みたいなことになる。
話しは脇道にそれるが、私もよく、グーグルアースがあるのに探検して意味があるんですか、という質問をよくされる。しかしグーグルアースというのはモニター上に映し出される便利な地図上にすぎない。3D画面で実際の場所の雰囲気が分かる、とかいう人もいるが、あんなものを見ても現地に行った気分にはなれない(人間は脳で理解する動物ではなく、身体で知覚する動物です)。グーグルアースはいろんな機能があって、使い勝手がいいので、私もよく使うが、情報の本質としては紙の地図と別に変らない。グーグルアースに載っている衛星写真はグーグルの社員が撮影したものではなく、ランドサットが撮影したものと無料で公開しているだけ。つまりネットというのはそういうものだ。
日本で取材空白域を生まないためには、取材や雑誌を購読する。つまらない時は寄付だと思ってあきらめる、ということしかないのだろう。できればついでに本も買っていただければ、大変たすかる。読んでいる人には大変申し訳ないけど、自分でカネをかけて取材したものについてはブログではいっさい書かないことにしている。北極しかり、ツアンポーしかり。探検中に動画をアップするとか、記事を書くとか、そんなことはもってのほかである。新聞社が自社サイトで記事を公開して、自分で自分の首をしめているのと、同じようなものだ。
ということで、北極の話は「すばる」二月号から始まりますので、よろしく。長い宣伝でした。
ワルドマン記者によると、広告頼みのビジネスモデルが崩壊し、アメリカの地方では新聞の廃刊が相次ぎ、大手紙でも様々な分野で記者の数が削減されている。取材空白域では記者による監視の目が働かず、地方行政官が私腹を肥やしたり、地方選挙では投票率が低下するなどの事態が起きているという。権力を監視するジャーナリズムは民主主義の根幹だとはよく言われるが、実際にアメリカではその根幹が崩壊し、民主主義があえいでいるらしい。
日本でも特に若年層を中心に新聞はほとんど読まれなくなった。主な理由はネットがあるから、だろう。しかし多くの人が気づいているのか、気づいていないのか知らないが、ネットというのは基本的に情報インフラ、通信媒体にすぎない。新聞でいえば紙、テレビでいえばブラウン管(古すぎ?)みたいなものだ。ワルドマンさんも言っている通り、ネットにあふれているニュースは、ほとんどが新聞か雑誌、テレビの記者が取材し、報道したもので、ほとんどのネットの発信者は取材はしない。中でも新聞の取材力は雑誌やテレビに比べて圧倒的だ。だから新聞記者がいなくなったら、ネットに流れるニュースも量が減るか、質が低下し、取材空白域みたいなことになる。
話しは脇道にそれるが、私もよく、グーグルアースがあるのに探検して意味があるんですか、という質問をよくされる。しかしグーグルアースというのはモニター上に映し出される便利な地図上にすぎない。3D画面で実際の場所の雰囲気が分かる、とかいう人もいるが、あんなものを見ても現地に行った気分にはなれない(人間は脳で理解する動物ではなく、身体で知覚する動物です)。グーグルアースはいろんな機能があって、使い勝手がいいので、私もよく使うが、情報の本質としては紙の地図と別に変らない。グーグルアースに載っている衛星写真はグーグルの社員が撮影したものではなく、ランドサットが撮影したものと無料で公開しているだけ。つまりネットというのはそういうものだ。
日本で取材空白域を生まないためには、取材や雑誌を購読する。つまらない時は寄付だと思ってあきらめる、ということしかないのだろう。できればついでに本も買っていただければ、大変たすかる。読んでいる人には大変申し訳ないけど、自分でカネをかけて取材したものについてはブログではいっさい書かないことにしている。北極しかり、ツアンポーしかり。探検中に動画をアップするとか、記事を書くとか、そんなことはもってのほかである。新聞社が自社サイトで記事を公開して、自分で自分の首をしめているのと、同じようなものだ。
ということで、北極の話は「すばる」二月号から始まりますので、よろしく。長い宣伝でした。