ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

高野さんとの対談本発売

2014年04月25日 16時24分30秒 | お知らせ
帰国して、はや二週間がたつが、なかなか本格的な執筆に取りかかれない。

今週は、まだ終えていなかった確定申告を済ませようと、領収書と源泉徴収表の山と格闘。ようやく整理が終わって家で確定申告表をおおむね作成しおわったので、今日は税務署で申告して、それが終わったらヤマダ電機でパソコンを購入しようと意気揚々と池袋に足をのばしたのだが、税務署では例年通り用意する書類に不備があって、予想されたことではありますが、申告にまでは至らず、ネットでの書類作成・提出の方法を助言していただくにとどまった。

さらにもう一つの目的だったヤマダ電機では、消費税額アップとウィンドウズXPの終了に伴って、お目当てのパソコンの在庫が一掃されており、新しいモデルの入荷を待つしかないとの現実に直面し、こちらも購入には至らなかった。

おまけに帰宅して、税務署で教えてもらったネットの方法でさっさと確定申告を終わらせようと国税庁の該当ページを開いたところ、「ウェブサイトを作成するためのソフトウェア「ストラッツ1」についてセキュリティ上の欠陥(脆弱性)が指摘され」たとの理由で、サービスを停止しており、本日午後4時42分現在、まだ確定申告書の提出が済んでおらず、結局、仕事とはまったく関係のない本(最相葉月『セラピスト』)を読むにとどまっている。

そんな生産性のまったくない2014年4月25日ですが(あ、でも朝日新聞の短い書評の原稿をさっき出した)、ようやく高野さんとの対談本『地図のない場所で眠りたい』が発売になりました。

地図のない場所で眠りたい
クリエーター情報なし
講談社


この本では探検部のこと、探検について、また未知の現場で取材して本を書くこと、あるいはノンフィクション全般について語っています。

高野さんともよく話すことだが、今でもやっていることといえば、まず行きたい場所が見つけて、現地について調べるために図書館に行って資料や文献を探し、実情に詳しい人を探して話を聞き、実際に現地に行って確かめる、というだけのことである。考えてみると探検部時代から全然かわらないわけで、変わったことといえば、書くことに対する技術やモチベーションの比率が高まったことぐらい。つまり、ぼくらはいまだに現役探検部員なのである(実際、私は新聞社を退職する時、もう一度、探検部員に戻るか、という気持ちだった)。

そんなこととか、お互いの本のこととか、なぜ探検部出身者に作家が多いのかとか、そんなことを取り留めもなく語った、いつもの本よりは肩の力が抜けた感じになっていると思いますので、ご購入のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。


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帰国、新連載のお知らせ

2014年04月11日 22時00分23秒 | お知らせ
予定どおり9日に帰国した。最近、海外から戻るたびに痛感するが、向こうでの時間の流れと日本での時間の流れが違うような気がする。

向こうでは時間の流れがゆっくりとしていて、出発してからまだ一カ月しか経っていないのか、とその緩慢さにびっくりすることが多いが、日本に帰ってくると三カ月前に出発した時と時間的な断絶をあまり感じない。久しぶりだなという感じもしないし、ものすごく食べたいものがあるわけでもない。昨日、日本を出て、今日もどってきたみたいな感覚で、全然懐かしくもなんともない。

この感覚はここ数年でかんじるようになった。極地探検はあまりにも別世界な活動なので、日本にいる時とは別次元のものとして、脳が勝手に記憶を分割しているのかもしれない。もしくは年齢と経験の増加により、感受性が摩耗しただけだろうか。もしそうなら、すり減った感受性を、どこかで拾い集めたい。

さて、すっかりお知らせするのを忘れていましたが、今年に入って連載がふたつ増えました。ひとつは「CREA TRAVELLER」誌ではじまった「あの時、あの場所で」という、過去に旅先で出会った人物もののエッセイです。もうひとつはJALの機内誌である「SKYWARD」誌の「辺地の風景」という風景のエッセイです。





いずれもこれまで御縁がなかった、セレブ系のアルファベットの横文字雑誌で、ようやく自分も石川君に追いつけたという気がします。場違いなこと甚だしいですが、宜しくお願いいたします。

そうだ。もうひとつ、大事なのを忘れていた。探検部の先輩の高野さんとの対談本が今月末に発売となります。タイトルは「地図のない場所で眠りたい」。すでにアマゾンで予約受付中。探検部時代の秘話、お互いの作品について、またノンフィクションについて語りつくしています。少数だとは思いますが、探検家、ノンフィクション作家になりたい人は必読です。

地図のない場所で眠りたい
講談社



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