奇想庵@goo

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2011年5月に読んだ本

2011年06月01日 15時46分16秒 | 本と雑誌
5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2748ページ

妖怪アパートの幽雅な日常1 (講談社文庫)妖怪アパートの幽雅な日常1 (講談社文庫)
最初は『二分割幽霊綺譚』っぽい?って感じだったが、その後は『めぞん一刻』+『うる星やつら』っぽい雰囲気に。でも、後半は説教臭さが濃厚でつまらなくなってしまった。主人公に語らせすぎでしょ・・・。(☆☆)
読了日:05月03日 著者:香月 日輪
裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 (新潮選書)裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心 (新潮選書)
江戸期の銭湯が混浴だったというのはよく知られた事実だが、それを羞恥心という観点から探ったのは見事。論理には強引なところも見受けられるが、取り上げた資料の多彩さは良かった。ここまでダイナミックではないが常識の変容は日々起きている。そこにどんな理由があり、それが何をもたらすのかは常に注意するべきだろう。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:05月04日 著者:中野 明
数学ガール/乱択アルゴリズム数学ガール/乱択アルゴリズム
良質の本格ミステリは作中に様々な断片が仕掛けられていて最後に名探偵がそれを一本に繋げてその意味を解き明かすことに醍醐味がある。「数学ガール」も様々な振りがキレイに集約していく感じが素晴らしい。ただミルカさんの説明を分かったと言えないところがもどかしいが(苦笑)。文系なのでlogやΣが出てくると辛くなるが、言い訳だよね。興味があるなら勉強すればいい。わかっちゃいるんだけれど・・・。(☆☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:05月12日 著者:結城 浩
ラブ・ケミストリーラブ・ケミストリー
ヒロインがキャラクターとさえ呼べない「記号」だし、主人公はなんでも周りにやってもらわないとダメ(カロン=ママって感じ)。オチはなんでもありの極地で、小説というより都合のいい妄想というレベル。解説でライトノベル的なんてあるけど、ラノベに失礼でしょ。ここまで批判を書きやすい作品も久し振り。そして、批判を書くために最後まで読み切った作品も久し振り。(☆☆)
読了日:05月18日 著者:喜多 喜久
ゴーストハント4 死霊遊戯 (幽BOOKS)ゴーストハント4 死霊遊戯 (幽BOOKS)
これまでと比べると旧版からの変化が少なかった感じ。ただ旧版では気づかなかったけれど、本作はナルがイマイチな感じが。他の面々は見せ場もあって楽しめただけにちょっと残念かも。安原クンは更に磨きがかかった感じで良かったw(☆☆☆☆)
読了日:05月22日 著者:小野 不由美
古道具屋 皆塵堂古道具屋 皆塵堂
どこが江戸なの?時代ものらしさが皆無で、時代ものにした必然性が伝わってこない。『付喪堂骨董店』あたりと比べても「古道具」もあまり筋に関わってこないし、話にひねりもなければ、キャラクターに個性もない。読みやすさだけが取り柄といった感じの作品だった。(☆☆☆)
読了日:05月25日 著者:輪渡 颯介
問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)
ゲーム的なのは構わないけれど、薄っぺらすぎだよなあ。まあ「ライト」ノベルだから仕方ないか。設定は頑張って考えてます!って感じだけれど、オリジナリティはほとんどなし。キャラももうひとつだし、文章にもややひっかかりあり。(☆☆☆)
読了日:05月25日 著者:竜ノ湖 太郎
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
読み終わった直後のいま、なんとも評する言葉が出て来ない。ストーリー自体は三分冊するほどのものでないと思うが、それを膨らませる語り口こそが著者の真骨頂ではある。時にクドくも感じられたが、読み続けてしまうのは魅力があるから。この作品の評価を自分の言葉で紡ぎたいと思わせるものだったことは確かだ。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:05月26日 著者:谷川 流
僕は友達が少ない 6 (MF文庫 J)僕は友達が少ない 6 (MF文庫 J)
これぞ「はがない」って感じ。本筋とかマジいらない。つか、夜空もいら(ry もちろん、小鷹もいらねw(☆☆☆☆☆☆)
読了日:05月27日 著者:平坂読
光を忘れた星で (講談社BOX)光を忘れた星で (講談社BOX)
全人類失明という設定はユニークだし、小説という武器を最大限に利用している点は見事。それだけにキャラクターの弱さ、世界観の浅さ、ストーリーのつまらなさがもったいない。ストーリーを変に大きくしないで、世界を緻密に描いた方が良かったのでは。あるいはエンターテイメントに徹するか。中途半端に感じられて本当に惜しい作品だ。(☆☆☆☆)
読了日:05月30日 著者:八杉 将司,中山 尚子

読書メーター




『涼宮ハルヒの驚愕』は前後編なので、実際には5月は11冊。なかなかペースが上がらない。
裸はいつから恥ずかしくなったか―日本人の羞恥心』『数学ガール/乱択アルゴリズム』『涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版』は記事として既に書いた。
更に、ライトノベルのシリーズものである『ゴーストハント4 死霊遊戯』『僕は友達が少ない 6』を除くと、残った5冊は残念な評価の作品が並ぶ。

中でも惜しく感じたのが『光を忘れた星で』。上田早夕里氏のTweetから興味を持って読んだ作品で、SFとしてのインパクトはあると思う。
殖民した惑星の人類が全員失明し、それでもなんとか文化的な生活レベルを保つ世界。「視覚」の存在が忘れ去られそうな状況に陥りつつある。そんな世界を一人称の主観視点で描き切った。見えないことが当たり前ということを表現するという試みは非常に面白く、ある程度の成功は収めたと言えるだろう。

それだけの著者の苦労が偲ばれる作品だが、中身がついてこなかった感じだ。主人公は18歳という設定だが遥かに幼く感じられた。他のキャラクターたちも世界の特異性にマッチしているようには思えなかった。
失明した世界の心理面の描写はともかく、それをうまく世界観として形成することにも成功したように思えない。例えば、そんな世界で貨幣経済が成立するかどうか。殖民する文明レベルの人類がコインを使うとは考えにくく、失明によって世界が変質する中で貨幣の信用をどう担保するかが非常に難しく思う。この例に限らず、SFの魅力である世界観の構築という点では物足りなさが強く残る結果となった。
ストーリーも著者が目指す結末のために進行していく感じがしてしまう。ユニークなテーマだけに、細部を緻密に描いて、ストーリー的には大きな展開を求めない方が良かったのではないか。人類の命運なんかよりも些細な感情の動きを追う方が適した設定だと思うだけに、残念な思いばかりが読後に残ることとなった。
読書メーターの感想に書いたように、エンターテイメントに徹する方向もありだとは思うが、著者の資質として微妙なのかもしれない。

『妖怪アパートの幽雅な日常1』は文字通り妖怪や幽霊が、『ラブ・ケミストリー』には死神のような存在、『古道具屋 皆塵堂』には幽霊と意図したわけではないのに非日常的異物が登場した。ただこれらの作品ではご都合主義的に使われている感があって、物語の魅力を高めているようには思えなかった。
『問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました!』は最近流行り(?)の無双系主人公だが、続刊を読むかどうかは微妙なところ。

2011年4月に読んだ本
2011年3月に読んだ本
2011年2月に読んだ本
2011年1月に読んだ本

この記事を書くために4月分の記事を見たら、☆評価を付けるのを忘れていることに気付いた。付けたからどうということもないが、とりあえず付けておいた。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「光を忘れた星で」はSFMで丁度なタイミングで紹介... (名無し)
2011-06-10 18:30:29
ゴーストハントはいっそまとめて購入しようかと踏ん切りましたw

ラノベの方だと、無双系という括りがあったりするのはちょっと意外でした。菊池秀行の秋せつら・メフィストシリーズが思い浮かぶ範囲ですけど、あんな感じだったりするんでしょうか(禁書はそれっぽそうですが、無双というのは違いそうですし)。2chやライトノベル系ブログだと好評だったりそうでなかったりと区々のようですが、感想を読む範囲だと、なんというかこの系統のは読み切れるかな、とか思ったりします(苦笑)。キャラの造詣とストーリーの造詣と結び付くだけであって、恐らく(個人的に気になる)ゼロ年代系主人公に対するカウンター、という訳でもなさそうな流れだとは思うのですが……。ここで悟り系が云々と言ってしまうには強引すぎるように思いますし。サバイブ的な状況設定でないのは特に関係ないでしょうしね。
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>光を忘れた星で (奇天)
2011-06-10 21:01:53
目が見えない世界を描くという点ではとても意欲的な作品だったと思います。
SFのひとつの方向性として世界を描くというものがありますが、まさにそんな感じでした。
ただストーリーなどエンターテイメント性に欠ける面も強くあって、読み手を選ぶのは間違いないでしょう。

>ねじまき少女

「光を忘れた星で」と同様に上田氏がTweetで語っていてちょっと読んでみたいなと。ただ海外SF上下巻なんで実際に手を出せるかどうかは微妙ですが(苦笑

>無双系

おそらくゲームが起源かと。とはいえ、コーエーの「無双」ではなく(名前はそこからでしょうが)、SLGなどの「二周目」という概念を小説に取り入れた感じだと思います。

「はぐれ勇者の鬼畜美学」なんかが代表作で、主人公がスタート時点で最強クラスという設定ですね。
ゼロ年代系主人公のようにグダグダと悩んだりしないので、スカッと読めるのは魅力ですが、いまのところ底の浅い作品ばかりといった印象もあります。
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>ねじまき少女 (名無し)
2011-06-11 20:14:01
話はゴーストハントだったりするのですがw、面白いですよ。
クセが強いので読み手を選ぶ……というか、SF読者がSFとして読むと逆に色々引っ掛かるというか。
とりあえず読んでおく、という方向でもいい作品かとは思います。

>無双系
あ、やはりゲーム経由ですか。
二週目というのは何となく判りますw
ジャンル化するような魅力のあるコンテンツなのかな……とも思うのですが。
タイムトラベル物の悔恨、自分の望む歴史への欲求の変奏なのかもしれませんね。
ゼロ年代主人公の懊悩は、それがしっかりと物語の中で消化(昇華)されていれば特に問題は感じないのですが、この傾向も合わせて場合によりけりですね(苦笑)。
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>ねじまき少女 (奇天)
2011-06-12 16:44:02
いま図書館の予約が枠満杯なので、空いたら予約・・・と考えていますが、ホント海外SFを読む気力があるかどうかが鍵となりそう(苦笑

>無双系

社会的な要請を無視して言えば、ハーレム系ラブコメ物語を支えるためには主人公が優柔不断なヘタレであることが有効だったわけですが、文字通りハーレムを享受するようなタイプの主人公でも成り立つと言えば成り立つので、目先を変えたって感じもしますね。

ソードアート・オンラインなんかも3巻以降は強くて2周目系ですが、まあ本来の物語のヒーロー像の投影と見れば、昔のヒロイックな物語への回帰なのかもしれませんが。
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>ねじまき少女 (名無し)
2011-06-13 18:22:05
上田先生が詳細なツイートをされてましたね。見逃していました(苦笑)。
普段ツイッターを使ってないのでチェックしていませんでしたが、自分の読後感と照らし合わせて結構な発見がありましたw
海外SFの煩雑は、翻訳小説は正確さとニュアンスの重視の比率もありますが、否応なく一定の硬質さがあるからかもしれませんね。
twitter、あちこちの情報に振り回されないスキルさえあれば使いこなせるのにと思うと、なんともw

>無双系
なるほど、割と単純な部分に根を持ってるのかもしれませんね。
というか、「ハーレム系」そのものの需要が未だに存在するのか、という話になってしまいそうですが(苦笑)。
SOは最近、というか、以前FFにコメントさせて頂く直前に読んでみたのですが、これはAWとは完全に違うなと思いました。先にこちらを読んでいたら作者への印象がまるで違っていたかなと。
ヘンに擦れた、もしくは身勝手な部分を強調して人情味を加味しただけ、となるとちょっと二次創作的でうっとなるのですが、そんなことはなかったので、安心して読めますね。
80年代の伝奇は正に「主人公の活躍を描写する」ことにカタルシスを求めてますが、この辺りは違っていそうですね。
ストーリーよりキャラに比重が置かれているだけかもしれませんけれど。
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>Twitter (奇天)
2011-06-14 01:45:56
Twitterは情報収集目的ではなく、あくまでダラダラと駄弁を垂れ流す目的で使っていますw(つぶやきし言の葉見れば分かる通りですが・・・)
たまたま有益な情報も、って感じでしょうか。作家へのフォローは10人ちょっとしていると思いますが。

>ハーレム系

未だにと言うよりも、むしろハーレム系以外の需要がなくなってしまっているようにも感じます。
ラブコメ自体は「永遠の存在」ですが(笑)、ある程度戦略的にヒットさせようとする場合、ヒロインの多彩さがウリになってますね。その方向性はよほどのことがない限りなくならないかも。

無双系は旧来のヒーローものとは雰囲気は異なりますが、方向性は同じ感じはします。まったく新しいものというよりは、新たなアレンジが施されただけかもしれません。
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>twitter (名無し)
2011-06-16 00:33:32
発言がまとめられていない限り、検索可能性が低いので気になる人の発言を追うには辛い媒体でもありますね。
一連の奇天様の発言まとめはその意味では「調べやすくて」助かったりするのですがw
ユーザー面で使い手としてどうなのかとは意識していなかったのですが、偶に見る/使うでもいい、という感じでしょうか。
どんな意図でその発言がされていたのか、というのを遡ってまで気になってしまうことがあるので、この辺りユーザーとして向いてないと痛感します(苦笑)。

>ハーレム系
言い方は悪いですが、女性キャラの品評会みたいな感じで主人公と相関させられている気がしてしまって、どうにもですね。
全体の需要としてそこまで伸びているか意識はしていませんでしたが、考えてみたらハルヒでさえもそんな感じですか(苦笑)。
今に始まったことではないのでどうこうというものではありませんが、ライトノベルではもはやお約束のようになっているテンプレの一つ、ということになるのかもしれませんね。
ボンドガールのような位置付けとはまた違うので、それこそジャンル外読者には判り辛い「お約束」のようにも思えます。

>無双系
俗に言う「俺つえー」なんでしょうね。
旧来のヒーローがそうだった、といえばその通りなので、フレーバーとしての変質だけなのかとは思うのですが、どうも皮肉っぽいニュアンスが強いので、そうした(メタな)自虐的な響きも交えて、ということなのかもしれません。もしくは、それすらお約束として回収されているのかもしれませんけどw

毎度の事ながら、一つのコメントに連続で申し訳ありませんでした(汗)。
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>Twitter (奇天)
2011-06-16 21:48:50
交流、情報収集、発信など目的に応じた使い方が必要なのでしょう。もちろん、単一の目的でなくても構いませんが。
ただ、情報量を増やすとまさに情報の山に埋もれていまう可能性もあり、ツールとしての距離の取り方は大切だと思います。

>ハーレム系

ハーレム系に限らず今のオタク系エンタテイメントの源流は「うる星やつら」だと思っています。
一方、ハーレム系がラブコメの主流となったのは恋愛SLGの影響が大きかったのではないかと。複数のヒロインを攻略するという手法が他のジャンルにも幅広く普及した結果でしょう。

ハルヒ=ハーレム系は私も他人に指摘されるまで意識していませんでした(苦笑。キャラの立て方はハーレム系ですが、主人公への方向付けがそれほど恋愛として描かれていないせいかもしれませんが。

ラノベやラブコメでは魅力的なヒロインをどれだけ揃えられるか競い合っているような感じまでしますが、現在のビジネスモデルではもはや不可避の構造になっちゃってますね。

>無双系

コミックやラノベでいろいろと出ていますが、まだ決定打といった感じの作品はないと思います。
ある意味二周目っぽくなっているのがSAOだったりしますがw
無双系として意識して作られたヒット作が出て初めてその評価が問われるかもしれません。
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