
「日常の謎」系ってキャラクター性が重要なのかなとちょっと思ってみたり。その点で残念ながら弱い感じが。しかし、ミステリガイドとしては秀逸で、あれこれ読みたいと思わせる紹介があった。図書館に返却する前にメモっておかないと。
読了日:11月01日 著者:乾 くるみ
(★★★)

円紫さんシリーズほどの魅力は感じないが、昭和7年の世界が丁寧に描かれていて流石と思わせる。解説に書かれた「暗い時代」は「あのような家に住む者に幸福はない」という言い様に聞こえる。本書を読んで、「分」という概念を強く感じた。確かに人を縛り付けるものだが、それぞれの「分」に応じた生き方や責任があり、現代から照射して劣ったもの、遅れたものと切って捨てるのは傲慢に感じる。ただそれを美徳とみなすのも違和感がある。70~80年前の日本が遠い世界に感じられて、もう戻れない寂しさが作品全体に漂っているように感じられた。
読了日:11月04日 著者:北村 薫
(★★★★★)

初道尾秀介として読むには相応しくなかった作品だったかもしれない。キャラクターへの思い入れがないと、物語としては残念ながら物足りない感じがした。尖ったところがないのがかえって受けているのかもしれないが、私には中途半端な印象に。期待していただけに残念だが、作家への評価は長編を読んでからかな。
読了日:11月05日 著者:道尾 秀介
(★★)

ブログ歴5年の身からすると、特段目新しい点は無し。とはいえ、自覚している欠点でも改めて指摘されると次からはもっと意識しようとは思う。この本自体がブログのように軽いものなのでわざわざ読む価値があるかは微妙だとも言えるけれど。
読了日:11月05日 著者:樋口 裕一
(★★★)

東野圭吾は不要なものをそぎ落とした文体に魅力がある。それは乾いた空気感となって作品に現れる。しかし、叙述系でひねった作品にこそ著者らしさが最も感じられると本書を読んで思い知らされた。トリック自体よりも仕掛けの妙味を楽しむ作品。
読了日:11月13日 著者:東野 圭吾
(★★★★)

ラノベだよねえ。エンターテイメントのお約束を前提として余計な部分を端折ってるところなんか特に。キャラが立ってきた表題作あたりから面白くなってきたところなんかも。小市民シリーズもそうだけど、境界がすっかり曖昧になっちゃったってことなんだろう。本書はラノベとして読めば楽しめるって感じかな。
読了日:11月13日 著者:初野 晴
(★★★★)

目新しい点はそう多くはなかったが、歴史的変遷がうまくまとまっていて分かりやすい。現代の日本人の多くが感じている「日本人らしさ」の大半は明治期以降に作られたものだ。「親子関係」の本質は「自分と自分の親との関係」という著者の指摘はたいへん興味深い。海外では一般的で、日本でも戦前までは珍しくなかった「ベビーシッター」がなぜ廃れてしまったのか、そのあたりにも言及して欲しかったのが心残り。
読了日:11月14日 著者:香山 リカ
(★★★★★★)感想の記事

ミステリとしては第1章を読んだ時点でネタが割れてしまっている。音楽は小説で描くには限界があるように感じられた。「のだめ」のイメージを思い浮かべて読み進めた。文章もちょっとこなれていない感じ。それでも、作品を通底する「青臭さ」は嫌いじゃない。まあところどころ鼻につき過ぎるところもあったけれど。最後まで一気に読ませる魅力はあった。
読了日:11月17日 著者:中山 七里
(★★★★★)

著者の言うように「ストーリーなんていらんのですよ!」って姿勢には賛同。ただし、私的には「主人公なんて飾りですよ!」ってことでキョロいらないのだけれど(笑)。少しずつ登場人物が増えてる点は微妙かなあ。
読了日:11月17日 著者:新木 伸
(★★★)

円紫さんシリーズの主人公の純粋さは日常という世界にあって受け入れやすいが、本シリーズでの主人公の純粋さには違和感を覚えてしまう。時代や立場からどうしても「綺麗事」に感じられる。『鷺と雪』がこうしたイメージを覆してくれることを期待したい。
読了日:11月19日 著者:北村 薫
(★★★)

キャラの強さがマンガ的。その割にストーリーは歴史小説の体裁を保っている。そのせいでエンターテイメントとしては盛り上がりにやや欠ける印象だった。もっとケレンがあるとか、ストーリーも破天荒で良かった気がする。
読了日:11月19日 著者:和田 竜
(★★★)

どうしても北村薫の円紫さんシリーズと比較してしまうため、全体的な評価はいま一つ。アイディアは面白いが、それが十分に成功しているとは言い難い。「感動的」なところは作られた感じがうかがえてしまい、興醒めだった。
読了日:11月21日 著者:加納 朋子
(★★)感想の記事

5巻にしてまさかの幸村の○○判明!遊園地でのテンションの高さは凄まじい。ラブコメ部分は正直どーでもいいので、キャラの暴走だけ今後も期待w
読了日:11月23日 著者:平坂読
(★★★★★)

「成風堂」シリーズかと思って「背表紙は歌う」を図書館で借りたら違ったので慌てて本書を借りて読んだ。「成風堂」シリーズに比べると、ストーリー、描写、キャラクターなど少しずつ落ちる感じ。ただ出版社の営業という目立たないところにスポットを当てたのは面白い。それにしても、最近全く書店で本を購入しなくなったなあと本書を読んでいて思ってしまった。本屋とは本を買いに行く場所ではなく、本と出逢いに行く場所である、なんて言ってたのに・・・。
読了日:11月24日 著者:大崎 梢
(★★★)

積読中のシリーズも多いけれど、ランキングされているものはほとんどチェックしてる作品。目新しさはあまりないけれど、いくつか新規開拓できれば十分かな。それより先に禁書目録読まないと(汗
読了日:11月28日 著者:
感想の記事
「日常の謎」系ミステリに、多岐に渡って手を出している。北村薫『街の灯』『玻璃の天』、加納朋子『ななつのこ』はミステリらしい雰囲気が漂うが、乾くるみ『蒼林堂古書店へようこそ』、初野晴『退出ゲーム』、大崎梢『平台がおまちかね』は軽さが目に付く。とりわけ『退出ゲーム』は登場人物が高校生ということもあり、ほとんどライトノベルのようになっている。米澤穂信もそうだが学生を主人公に据えるとライトノベルっぽくなるし、『蒼林堂古書店へようこそ』、『平台がおまちかね』に大崎梢「成風堂書店事件メモ」シリーズや坂木司『和菓子のアン』などは職業系ウンチク(コミック)っぽくなっている。両者に共通するのはキャラクター重視であること。謎よりもキャラクターを活かすことが優先されている。ほとんどミステリと呼べない作品もある。もちろん、それが悪いわけではないが。
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