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奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

2013年9月に読んだ本

2013年10月03日 22時10分14秒 | 本と雑誌
2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:960ページ
ナイス数:88ナイス

永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)感想
ひとりの人物を多数の証言から浮かび上がらせたり、過去の結末の分かっている出来事を現在の視点から振り返ったりする手法は好みではないのだけれど、そんなことを感じさせない力があった。軍指導層やジャーナリズム批判など安直と感じる部分もあるが、エンターテイメントとして成立するための単純化と見れば問題ない(ただノンフィクションっぽい作りなだけに勘違いされそうな不安は残るだろう)。著者の作品を読むのは初めてだったが、他の作品も読まねばと強く思った。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月13日 著者:百田尚樹
大日本サムライガール 3 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 3 (星海社FICTIONS)感想
マーケティングの話がメイン。でも、近年の○通は外してばかりのような気がする。ストーリー展開はベタだけど、そこで勝負する作品じゃないしね。ただ新規キャラクターのキャラ立てには苦戦しているようにも。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月28日 著者:至道流星

読書メーター




先月後半からの流れを引きずって、9月はわずか2冊。Cookie Clickerや艦これといったブラウザゲームにハマったというのも大きく影響した。

『永遠の0』は非常に質の高いエンターテイメントとして完成している。構成やテーマなど決して好みの作品ではなかったが、それでも一気に読ませるだけのものがあった。

2013年8月に読んだ本
2013年7月に読んだ本
2013年6月に読んだ本
2013年5月に読んだ本
2013年4月に読んだ本
2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年9月に読んだコミック

『Aチャンネル』4巻(黒田bb)
『恋愛ラボ』8巻(宮原るり)
『僕らはみんな河合荘』4巻(宮原るり)

コミックもわずか3冊のみ。艦これの合間に読む術を身に付けたいものだw


2013年8月に読んだ本

2013年09月02日 22時49分06秒 | 本と雑誌
2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1441ページ
ナイス数:100ナイス

楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス感想
大枠は面白いだけに、細部の詰めの甘さというか、ぐだぐだ感がもったいない。完成度が高ければ傑作たりえただろう。『幻詩狩り』が描いた戦間期パリも興味深かったけれど、20世紀初頭のパリも面白そうだ。あと、美術ものでは『ギャラリーフェイク』を読み直したくなった。(☆☆☆☆☆)
読了日:8月3日 著者:原田マハ
残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)感想
ようやく前に動き出したという印象だけれど、禍福は糾える縄の如しという言葉がふさわしいシリーズだけに油断ならない。「ひとの気持ちも物事も、全てのことは移ろうていく。仕方のないことだす」というセリフもこれまでの積み重ねがあればこそ胸に響く。それでもなお、心星の照らす道がたどり着く様を見てみたい。完結まで読みたいと切に思う数少ないシリーズだ。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:8月4日 著者:高田郁
昨夜のカレー、明日のパン昨夜のカレー、明日のパン感想
悪くはない。悪くはないけれど、現代日本のノスタルジーへの憧憬をただ肯定しているだけのようにも感じる。ファンタジーであることはいい。でも、ありきたり。個々の切り口はおもしろいのに。(☆☆☆☆)
読了日:8月9日 著者:木皿泉
図書室のキリギリス図書室のキリギリス感想
サイコメトラーの設定は必要なの?ってことばかり気になった。それがなくても十分にファンタジーだけれども、ふわふわしただけで終わってしまった印象も残る。もう少し個々のキャラクターを掘り下げれば、おもしろくなったかも。(☆☆☆☆)
読了日:8月9日 著者:竹内真
桜庭一樹短編集桜庭一樹短編集感想
桜庭一樹は文体に力があるので、短編向き、なのかもしれない。ひとつひとつの作品が特段おもしろいというわけでもないが。それでも、読ませる力があるのはさすがの一言。いちばん気になったのは、「猫」の造形。モコにはまったく魅力を感じなかったが、猫はずっと頭に残りそうなキャラクターだった。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:8月9日 著者:桜庭一樹

読書メーター




8月前半はいいペースだったのに、後半は全然読めず。ゲームにハマっていたせいで溜まっていたアニメを消化したりしていたせいもあるが。

『楽園のカンヴァス』は☆5つにしたけれど、6にするか迷った作品。5.5というのが妥当な感じ。着想は素晴らしいのに、それを生かし切れていないのが本当に残念。文章、構成、表現、リアリティなどあちらこちらに詰めの甘さがあった。

『昨夜のカレー、明日のパン』の切り口は面白いんだけどね。これでもう少しハッとさせるようなものがあれば傑作になったのに。下世話なところとか日常のばかばかしさなんかは非常に面白かった。ただそれを救いにしてしまうと、昔は良かったなんて話といっしょになってしまう。なんであれ、良いところもあれば悪いところもある。良いところにばあり光を当ててもね。

『図書室のキリギリス』はかなり甘めの☆4つ。感想に書いたように、主人公の能力はまったくの蛇足。ご都合主義は仕方ないにせよ、展開がうまく行き過ぎている。そちらのほうが主人公補正という能力のよう(笑)。

『桜庭一樹短編集』は著者の初短編集。意外に感じるが。6編の中で最も強く印象が残ったのが「モコ&猫」。感想に書いたように、ヒロインのモコではなく、語り手である「猫」と呼ばれる大学生の男の造形が印象深い。決して魅力的なキャラクターではない。嫌なキャラクター。憎々しいと言ってもいい。ゼロ年代男性主人公像に近いが、根本が異なる。もっと酷いキャラクターなら作りやすそうだが、微妙な距離感が独特。さすがは桜庭一樹。本当に、さすが。

ダントラ2はいまだプレイ中。さすがにペースは落ちたけれど。ようやく最終ダンジョンだが、キャラクターの育成もあって時間が掛かっている。9月中にはやり尽くしたいところだけれど、どこまでやり尽くすのか次第だねえ。

2013年7月に読んだ本
2013年6月に読んだ本
2013年5月に読んだ本
2013年4月に読んだ本
2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年8月に読んだコミック

『ダイヤのA』36巻(寺嶋 裕二)
『GIANT KILLING』28巻(ツジトモ)
『銀の匙 Silver Spoon』8巻(荒川 弘)
『鬼灯の冷徹』8-9巻(江口 夏実)
『はじめの一歩』104巻(森川 ジョージ)
『帰宅部活動記録』3巻(くろは)

こちらは下旬にちょこちょこ読んだが、積読解消にはほど遠い。

アニメでは、ツイートしたように、「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」が面白い。原作である「Fate/stay night」を読み直したくなるほどだが、さすがに時間とれないかな。

あと、同じようにツイートしたことだが、プレイしたときに作っておいた「グリムグリモア」のシナリオのログを読み直した。こちらは短時間で読み切れる量。面白いゲームだったけど、もう少しボリュームがあれば良かったんだけどね。シナリオは素晴らしかっただけに、よりそんな思いが残る。


2013年7月に読んだ本

2013年08月03日 18時11分41秒 | 本と雑誌
2013年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3704ページ
ナイス数:96ナイス

RDG3  レッドデータガール  夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
前半はアニメではかなり端折られていた。テンポ的にはそれで良かったとは思うが、唐突な感じはかなりあった。後半はほぼ忠実な作りだったが、複雑な内容だけにセリフだけでは理解しにくいところもあって、文章の強みがはっきり感じられた。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:7月1日 著者:荻原 規子
RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女 (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女 (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
アニメでも丹念に描いていたけれど、やはり小説だと泉水子の内面が細やかに描かれている。深行との距離感もアニメより微妙な感じがあって面白い。生徒会執行部の面々などアニメではほとんど描かれなかったところも楽しく読めた。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:7月2日 著者:荻原 規子
RDG5  レッドデータガール  学園の一番長い日 (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日 (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
シリーズの山場だけにアニメでもしっかり描かれていた。そのイメージを浮かべながら読むことができた。アニメはここまでだっただけに、次の巻を楽しみにしている。そのために読み始めたと言えるものだし。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:7月2日 著者:荻原 規子
RDG6 レッドデータガール    星降る夜に願うこと (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
アニメが5巻で終わったのは正解だったね。悪くはないけど焦点がぼけて散漫な感じ。真響たちの活躍の場面もほとんどなかったし。久しぶりに一気に読ませる魅力的なシリーズに出会えたことはとても良かった。(☆☆☆☆)
読了日:7月3日 著者:荻原 規子
ファミコンの思い出ファミコンの思い出感想
ファミコン世代じゃないけれど、微笑ましく読むことができた。取り上げられた各作品についてというより、あくまでも思い出やエピソードが語られ、子供たちにとってファミコンが日常の一部になっていたんだと思わせる感じがいいね。(☆☆☆☆☆)
読了日:7月4日 著者:深田 洋介
「編集手帳」の文章術 (文春新書)「編集手帳」の文章術 (文春新書)感想
ものごころついた頃から毎日、新聞のコラムを読んできた。確かに、文章はうまい。その真髄の一端が語られている。ブログで書きなぐっているだけの身としては、恥じ入りたくなるような指摘もあった。ただタイトル通りに文章術の本である。新聞のコラムだからか、内容はあたりさわりのないものになりがちだ。古さ、堅さが感じられる点も、仕方ないとはいえ少し気になった。(☆☆☆☆☆)
読了日:7月6日 著者:竹内 政明
午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)感想
動物園が舞台で、そこに働く人々のキャラクター造形はらしくて良かった。問題は、携帯の着信以降の展開があまりに強引で、その後はあまり楽しめなかったこと。鴇先生のキャラクターも浮きているように感じた。日常の謎ではなく、よりミステリ仕立てだけれど、雰囲気と内容が合ってないようにも思った。期待値が高いせいで辛口な感想になってしまうね。(☆☆☆☆)
読了日:7月8日 著者:似鳥 鶏
童子の輪舞曲 僕僕先生童子の輪舞曲 僕僕先生感想
「避雨雙六」は初期のころのにおいがあって短いながらも楽しめた。他はまあ普通。問題作の「福毛」はもっと二次創作っぽいものかと思いきや、現代を舞台にした意味も感じないし、中途半端な印象を受けた。(☆☆☆☆)
読了日:7月12日 著者:仁木 英之
大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)感想
いかにも妄想話って感じだけれど、それを現実に落とし込む意思と能力のある者が成功を収めるんだろうね。一般庶民の貞操観念が明治以降だとか、要所要所の社会や経済に対する認識の高さがこの著者の魅力のひとつになっている。ストーリーテラーではないが、ハマると面白い。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:7月18日 著者:至道 流星
ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)感想
おもしろい?『盤上の夜』はエンターテイメント性が感じられたけれど、こちらは雰囲気だけで楽しめず。帯に名のあがった伊藤計劃は、エンターテイメントにSFをコーティングしたような感じで、エンターテイメント性の強い作家だったんだけどね・・・。エンターテイメントに欠けるSFは読みたいと思わない。(☆☆☆)
読了日:7月19日 著者:宮内 悠介
ふたつめの庭ふたつめの庭感想
100あるべきものを60で語っているような印象を受けた。それが、ご都合主義に感じてしまう要因だろう。子供たちを含め、キャラ立ては非常によくできているだけに惜しい。その中で、主人公にはあまり魅力を感じなかったけれども。(☆☆☆☆)
読了日:7月26日 著者:大崎 梢
珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)感想
1作目のオチがあれで、どう続編にするのかという興味だけで読んだ。1作目がヒットしたからこの程度でも売れるだろうと感じられてしまったのが悲しい。キャラクター頼みで、定型化した関係性はラノベなどでよく見られる図式。ぬるま湯の中の物語には惹かれるものがなかった。(☆☆)
読了日:7月26日 著者:岡崎 琢磨

読書メーター




『ダンジョントラベラーズ2 王立図書館とマモノの封印』にハマりにハマっていた割には12冊と数は稼げた。ただほとんどは月の前半に読んだもので、ゲームにハマってからは返却期限に追われて読むのがやっとだった。

「レッドデータガール」については、まとめて感想を書こうと思っていた。少女小説の流れを色濃く受け継ぐ作品であり、少女小説や少女マンガにおける「導き役」としてのパートナーの存在の変化が興味深い。ゼロ年代以降、「導き役」にリアリティを求められなくなった印象もあるが、この作品ではある程度等身大な形で描いている。

物語自体は5巻で完結と言える。アニメでは5巻まで描かれた。6巻は主人公とパートナーの少年との関係に決着をつけるために書かれたものだ。それは成功したとは言いがたい。霊力のようなファンタジー以上に、「導き役」という存在はファンタジーとなってしまったのかもしれない。

ラブコメ、特にハーレム系ラブコメの手法はゼロ年代に様々に開発された。その成果はコミックだけでなくライトノベルや一般小説などにまで拡散している。これらは不自然な関係性を、作者と読者が共犯として許すことによってできている。
「タレーラン」もそうした曖昧さの上に続編が書かれた。そこで描かれる物語に説得力があるわけもなく、虚しさばかりが漂っていた。

ダントラ2はクリアはしたものの、全体の半分に到達したかどうかといった感じ。16のキャラクターの平均レベルが50くらいになったところで、全キャラクターのクラスを入れ替えるという荒療治を行った。
キャラクターにはそれぞれひとつユニークスキルというものがあり、それと各クラスとの相性を考えての決断だった。これから先、厳しい戦闘を耐えるには必要と思ったわけだが、そのせいでここ数日は進行できていない。
この夏はこのゲームだけで終わりそうなほどハマっているので、合間になんとか読書を続けたいものだ。

2013年6月に読んだ本
2013年5月に読んだ本
2013年4月に読んだ本
2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年7月に読んだコミック

『侵略!イカ娘』14巻(安部 真弘)
『特例措置団体ステラ女学院高等科C3部』1巻(みどりと ももか)
『帰宅部活動記録』1-2巻(くろは)
『苺ましまろ』7巻(ばらスィー)

ゲームをしているしわ寄せが、マンガとアニメに来ている。いろいろと溜まっているのだけれど、いつになったら解消できるだろう。

ステラ女学院は、アニメ1話を見た後に原作を読み、主人公のキャラ付けが変更されているのを知った。人見知りな主人公っていつのアニメだよって感じ。ガルパンのように、サバゲーの部分で見せりゃいいのにね。というわけで2話以降を見てなかったりする。


2013年6月に読んだ本

2013年07月01日 02時49分12秒 | 本と雑誌
2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2623ページ
ナイス数:104ナイス

近藤史恵リクエスト!  ペットのアンソロジー近藤史恵リクエスト! ペットのアンソロジー感想
企画アンソロジー、本屋さん、和菓子に続いてペットも読了。印象深かったのは汀こるものと森奈津子。ペットとの距離感が見事だった「パッチワーク・ジャングル」と日常の何気ない変化が描かれた「ババアと駄犬と私」。次いで良かったのは、ミステリ仕立ての近藤史恵、我孫子武丸、大倉崇裕の三作品。柄刀一と太田忠司はちょっと感動させすぎって感じ。大崎梢は最初良かったが竜頭蛇尾な印象。井上夢人は面白みが感じられず、皆川博子も同様。他の二冊に比べて初めて読む作家が多かったが、読み始めてからは一気に読めた。(☆☆☆☆☆)
読了日:6月6日 著者:近藤 史恵
テレビの日本語 (岩波新書)テレビの日本語 (岩波新書)感想
内容以前に、非常に読みやすく感じた。その点はさすが。インターネットは普及したが、現実にはテレビの影響力は絶大だ。そこでの言葉の使い方は、正しいかどうか以上に、視聴者に様々な影響を与えることを自覚するべきだろう。著者の意見にはおおむね納得したが、一冊の本として見た場合は、やや誰に向けて書かれたものか定まっていない印象も受けた。民放の日本語に期待するだけ無駄だと思うしね(苦笑)。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:6月10日 著者:加藤 昌男
ウェブでの<伝わる>文章の書き方 (講談社現代新書)ウェブでの<伝わる>文章の書き方 (講談社現代新書)感想
ウェブと紙の媒体の差なのか、横書きですます調ゆえか、読みにくさを感じた。ウェブの独自性を語っている部分は示唆に富むものだったが、基本的に仕事としてウェブに関わる人向けとなっていて、個人としてウェブで発信することがメインであれば、あまり参考にならないだろう。簡単な技術論に終始していて、深みのある内容ではなかった。(☆☆☆)
読了日:6月12日 著者:岡本 真
夢幻花(むげんばな)夢幻花(むげんばな)感想
「黄色いアサガオ」という題材は興味深かったし、ピースがはめ込まれていく感覚は悪くなかった。でも、それ以上にもやもやした読後感が残った。犯人逮捕後に説明する展開はミステリとしては構成に問題あると思う。青春小説としてはこじんまりとまとまり過ぎている感じ。悪くはないのだけれど、ここ最近の東野作品の水準からすると物足りなさを強く感じてしまう。(☆☆☆☆☆)
読了日:6月15日 著者:東野 圭吾
つむじダブル (一般書)つむじダブル (一般書)感想
宮下奈都は、読むのはこれが6冊目。まだ読んでいない作品が何冊か残っていて、それを読みたいと思わせるものがあった。一方、小路幸也はこれが初めて。これを機会に他の作品に、と思っていたが、読んだ後はそういう意欲があまり湧かないような感じに。作品通してだと、中盤までは非常に良かったが、まとめすぎた感じかな。(☆☆☆☆☆)
読了日:6月21日 著者:小路 幸也,宮下 奈都
書店ガール (PHP文芸文庫)書店ガール (PHP文芸文庫)感想
私の中では「お仕事小説」には当てはまらない感じ。キャラクターに魅力がなく、面白くなるまでに非常に時間が掛かった。で、面白くなってからは、あっさりした感じで、エンターテイメントとしてはバランスが悪い印象。続編でその辺りが改善されていたら・・・という期待はある。(☆☆☆☆)
読了日:6月21日 著者:碧野 圭
RDG レッドデータガール  はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
前から読みたかったけれど、TVアニメを先に視聴。アニメの出来が良かったのでスムースに読めた。アニメは少し駆け足な印象だったので、小説はより広がりを感じる。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:6月29日 著者:荻原 規子
RDG2  レッドデータガール  はじめてのお化粧 (カドカワ銀のさじシリーズ)RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧 (カドカワ銀のさじシリーズ)感想
アニメでは唐突だったり分かりにくい点もあったが、原作を読みすっきりした印象。深行との関係が丁寧に描かれていて興味深かったけれど、ストーリーを知っているからこそ感じることかもしれない。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:6月30日 著者:荻原 規子
昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫)昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫)感想
ハーレム系日常の謎。先輩(♀)にも同級生(♀)にも妹にも先輩(♂)にも同級生(♂)にも事件にも幽霊(?)にも好かれる葉山くん。フランスくん以上のたらしっぷり!ちとスーパーになりすぎたかなあとも。犯人の告白がそれを埋めているんだろうけど、蛇足のようにも感じた。終盤はちょっと『残穢』っぽさがあったけど、あっさりしすぎかなあ。これ以上重くできなかったんだろうけど。(☆☆☆☆)
読了日:6月30日 著者:似鳥 鶏

読書メーター




9冊。半年でのトータルは45冊で、昨年の年間90冊と同じペース。

『テレビの日本語』と『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』は平行して読み進めたが、読みやすさには格段の差があった。
元NHKアナウンサーによる『テレビの日本語』は、硬い内容ではあったが、災害報道の現場など具体的な話もあり、一読の価値ある新書と言えるだろう。報道の言葉(声で発する言葉)として、伝えるためにどの言葉を選択するのかという蓄積は興味深いものだった。
スポーツ実況では、元アナウンサーの岩佐徹がブログで過去から現在まで幅広く語っていて、よく読みに行く。間や準備などスポーツ実況ならではの部分も多いが、言葉のプロという一面も見ることができる。(
一方の『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』は平易な文章なのに読みにくく感じた。横書きだからというよりも、ですます調が読みにくさの大きな要因だったと思う。ウェブの場合、PC(あるいはスマホ・携帯)の環境によって見え方が異なる。ある程度のコントロールは可能だが、見え方が異なることを前提にページを構築する必要がある。この点はウェブ特有の事象である。ただ個人のブログレベルで気にする必要があるかというと微妙なものだ。

少女マンガに時折登場するスーパーな男(男の子)。主人公の少女の憧れだったり、導き手だったりするわけだが、男から見ると引いてしまうこともある。そんな完璧超人に感じたのが『つむじダブル』の主人公由一。高校生で、勉強も運動もよく出来、容姿も抜群で、バンドのボーカルを務め、そのバンドがプロに誘われるほど。年上の彼女がいて、性格も良く、欠点はなし。作品を通じて家族の秘密を知ることになるが、それすら良い「蔭」を与えるような感じ。
宮下奈都が、10歳の妹まどかを内面や周囲との関係を非常にうまく描いているため作品自体は楽しむことができた。

東野圭吾の非リアル系作品とは相性が悪い。なぜかは未だによく分からないが、『夢幻花』も読んでいるときにはそう気にならなかったが、後にして思うとそういう違和感が残った。青春小説的なところが読ませる原動力にはなったけれど、現実のテーマと無理やりリンクさせた印象があってちぐはぐな感じも。東野圭吾だけにもっと質の高さを求めてしまう。

『書店ガール』の最大の欠点はキャラクターに魅力がないこと。二人の主人公がどちらもイヤな奴なのが困ったところ。「お仕事小説」は一種のファンタジーだと思っている。仕事現場のリアルさを描きながらも、そこでの主人公の活躍を爽快感を持って描くことでエンターテイメントとしての楽しさを伝える。そのためには主人公に共感を持たせることが大切。しかし、そういう構成になっていない。また、活躍する場面も少なく、見せ場に欠ける印象も残った。続編の方が話題になっているようなので、うまく「お仕事小説」になっていればと思う。

「にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」第5弾で6冊目となる『昨日まで不思議の校舎』。伊神先輩がスーパーすぎるが、主人公の葉山もちょっとなあって感じもする。一方で、事件に自分から首を突っ込むことに迷いながらも肯定的に描いているのは印象的。ゼロ年代男性主人公の流れを汲む「小市民シリーズ」が何かにつけてそうした態度を戒め、「小市民」たらんとすることへのアンチテーゼにも見える。
確かに、無関係の人間が能力の高さをひけらかして首を突っ込んでくることは傲慢だ。だが、能力の高い人間が見て見ぬ振りをすることも傲慢だろう。それがテーマになっていることは良いのだが、葉山が能力が高すぎて「あっち側の人間」に見えてしまうのが難点と言える。
『ソードアート・オンライン』のキリトなどもそうだが、冒険小説のヒーローとしては良いが、青春小説の主人公とするには完璧すぎて共感しにくい存在だ。『昨日まで不思議の校舎』では3つの事件の犯人が一人称でその動機を語るパートがあるが、「あっち側」と「こっち側」が断絶して統一できないがゆえにこんな構成になったようにも感じる。

もうひとつ『昨日まで不思議の校舎』では終盤ミステリからホラーへの越境があったが、これもどうかと思う。感想には「あっさりしすぎ」と書いたが、時間を置いて考えると、伊神の考えは合理性を甚だしく欠いた暴論に近いし、高校生レベルの内輪の納得のためとしてはともかく、大人が納得するようなものじゃないでしょ。読んでいるときはそこまで感じなかったが、後になってみると相当酷いね、これは。

2013年5月に読んだ本
2013年4月に読んだ本
2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年6月に読んだコミック

『琴浦さん』1巻(えのきづ)
『ゆるゆり』10巻(なもり)
『となりの関くん』3-4巻(森繁拓真)
『GIANT KILLING』27巻(ツジトモ)
『あさひなぐ』7-8巻(こざき亜衣)
『重版出来!』1巻(松田奈緒子)
『スパロウズホテル』1-3巻(山東ユカ)
『ゆるめいつ』2巻(saxyun)
『ハヤテのごとく!』11-15巻(畑健二郎)
『機動戦士ガンダムさん さいしょの巻』(大和田秀樹)
『げんしけん 二代目の伍』14巻(木尾士目)
『高杉さん家のおべんとう』7巻(柳原望)
『ドカベン』23-40巻(水島新司)

『琴浦さん』は5月に読んだのに登録を忘れていた。アニメの方が良い出来かもと思わなくもない。

『重版出来!』はマンガ編集者を主人公としたお仕事もの。コミックらしいキャラクター性や展開は読んでいて安心できる。ノンフィクションだが『ブラック・ジャック創作話~手塚治虫の仕事場から~』がヒットしたし、昔からこの手の作品はなくはない(『編集王』とか)。熱いけど暑苦しくない程度というのが今風かw

広い意味でのスポ根ものは今でも大人気だが、ストーリー自体はどれも似たようなものになるので、差別化のためには切り口を変えたりキャラクターに個性を出そうとしている。しかし、キャラクターもパターン化が進んでしまった。ただスポ根初期は少年誌だけでなく少女マンガでも数多くの作品が作られたが、その後は衰退した。そのため女性キャラクターのパターンはまだ未開発な感じもする。
『あさひなぐ』はキャラクターのパターンとしては『YAWARA!』に近く感じるが、それでも新鮮さを感じる。ライトノベルでは『暴風ガールズファイト』が新しい切り口を見せてくれたが2巻で打ち切りになってしまった。セーラームーンなどの魔法少女戦隊ものなどもスポーツ系の要素はあるが同列には扱えないだろう。

少女小説・少女マンガにおける主人公とその導き手の関係について考察中。『RDG レッドデータガール』を読み終えたくらいに書けたらいいなと。


2013年5月に読んだ本

2013年06月01日 23時58分52秒 | 本と雑誌
2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1874ページ
ナイス数:73ナイス

僕たちのゲーム史 (星海社新書)僕たちのゲーム史 (星海社新書)感想
タイトルに「僕たち」とあるが、私自身はそこに含まれていないように感じた。先に読んだ『教養としてのゲーム史』の方が過去(2000年頃以前)については詳しく、系統立った内容だと思う。ゲームにおける物語性は興味深いテーマだが、それに絞った展開が必要で、本書では散漫になった感じもした。コミュニケーションツールとしてのゲームという観点もそれだけで一冊書けそうなテーマ。近年のゲームにまつわる状況をよく捉えていると思うが、「それで?」という印象。もう少し踏み込んだ主張が提示されないと、うまくまとめただけに思える。(☆☆☆☆☆)
読了日:5月3日 著者:さやわか
田沼時代 (日本近世の歴史)田沼時代 (日本近世の歴史)感想
山師の時代という言葉はこの時代を捉える上で非常に納得できるものだった。ただどうしても駆け足で描いたという印象は否めず、もう少し政策に対する掘り下げが欲しいと感じた。賄賂うんぬんよりも、目先の御益追求の影の部分に興味が湧いた。理念なき市場主義の弊害とも言えるが、ではどんな理念があればいいかとなると難しい訳で。(☆☆☆☆)
読了日:5月10日 著者:藤田 覚
鋼の魂 僕僕先生鋼の魂 僕僕先生感想
構成やストーリーの質、伏線などこれまでのシリーズで最もよくできていると思う。ただ、元々あった独特の味わいは薄れ、どこにでもある歴史ファンタジーという印象も。物語性に囚われてしまったというところか。(☆☆☆☆☆)
読了日:5月10日 著者:仁木 英之
うさぎパン (幻冬舎文庫)うさぎパン (幻冬舎文庫)感想
左京区シリーズに続いて読んだが、うーん、期待ほどではない感じか。キャラクターや日常のやりとりは雰囲気もあって素晴らしいと思うが、なんと言うか、「リア充爆発しろ」的な(笑)、はいはい良かったねで終わってしまう印象も。ベタ甘が悪いわけじゃないけど、もう少し何かコーヒー的なアクセントが欲しかった。(☆☆☆☆)
読了日:5月16日 著者:瀧羽 麻子
キアズマキアズマ感想
過去のシリーズ長編はミステリ仕立てだったが、今回は純粋なスポーツ小説になっている。主人公がロードレースと出会うところから始まり、入門編的な作りになっている。新シリーズと呼んだ方がしっくりくる感じだ。一気に読ませる面白さだが、簡単に強くなってしまったり、才能ある主人公の苦悩に共感しにくい印象も受けた。続編に期待といったところか。(☆☆☆☆☆)
読了日:5月24日 著者:近藤 史恵
Team・HKTeam・HK感想
お仕事小説かと思いきや、ユーモアミステリー。ただ、どっちつかずという印象も。ミステリーの部分が無い方が楽しめたかもしれない。(☆☆☆)
読了日:5月27日 著者:あさの あつこ
ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)感想
2007年の本だけど、今読むとコンピュータの進化の速さを感じさせる内容だった。A級のトッププロが公式の場でコンピュータに敗れる衝撃もさることながら、今後どこまで強くなるのかにも興味が湧く。「将棋の神様」が誕生するのもそう遠くないのかもしれない。一方、プロ棋士がそれにどう挑むのか。渡辺竜王の矜持を再戦で見てみたいものだ。(☆☆☆☆)
読了日:5月28日 著者:保木 邦仁,渡辺 明

読書メーター




7冊。

前月の『教養としてのゲーム史』に続いて『僕たちのゲーム史』を読み、ブログの記事として「私のゲーム史」を書いた。SLGは、日本ではスパロボのようにキャラクター色の強いものに、欧米ではリアルタイムストラテジーへと進化した。この差を「国民性の違い」などという幻想で語ってしまっては意味がない。
ガンホーが任天堂の時価総額を抜き、国内ゲーム市場規模は過去最大になったもののゲーム専用機以外の市場が過半を占めるようになった。「任天堂にガラパゴス化の兆候?」なんて記事を見かけたが、全く逆の話で、新たな市場を開拓しようとしている数少ないゲームメーカーだと言える。
ゲームについてはデータを元にした分析が読みたいところ。なかなか数字が表に出ない世界だしね。

第2回電王戦からの流れで、『ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか』を読んだが、やはり電王戦の結果を受けてのものが読みたい。コンピュータ将棋の成果を元にした将棋論なんてものが出て来て欲しいところだ。

2013年4月に読んだ本
2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年5月に読んだコミック

『ラストイニング』37巻(中原 裕)
『銀の匙 Silver Spoon』7巻(荒川 弘)
『ナナマル サンバツ』5巻(杉基 イクラ)
『高校球児 ザワさん』10-12巻(三島 衛里子)
『はじめの一歩』103巻(森川 ジョージ)
『ドカベン』1-22巻(水島 新司)

『ドカベン』は非常に久しぶりの再読。野球が始まるまでが長い長い(笑)。


2013年4月に読んだ本

2013年05月01日 17時48分25秒 | 本と雑誌
2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1799ページ
ナイス数:83ナイス

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)感想
『羽月莉音の帝国』の序盤に比べるとずいぶん構成や文章が練れて読みやすくなったなあと。ただそこからの怒濤の展開の密度・速度は凄まじかっただけに、この作品にそこまで期待するのは酷かなとも。ラストの落ちは強引過ぎてもうひとつ。評価は続巻次第か。(☆☆☆☆☆)
読了日:4月5日 著者:至道 流星
教養としてのゲーム史 (ちくま新書)教養としてのゲーム史 (ちくま新書)感想
思えば私自身コンピュータゲーム史をなぞって来たのかと、読んでいて感慨が。固定画面、スクロール、RPGへと繋がっていく流れ、ハードとソフトの制約の中での進化は読みごたえがあった。ただゼロ年代以降、ゲーム性という意味では進化を感じられるゲームがほとんどなく、それを本書からも感じることになった。(☆☆☆☆☆)
読了日:4月5日 著者:多根 清史
織田信長 (人物叢書)織田信長 (人物叢書)感想
近年、信長人気隆盛の中で虚像が巷間に蔓延している。それに対して歴史学の側から冷静に現時点での研究の成果を述べた好著。ただし、関所撤廃や楽市政策に対する経済学的見地からの評価や、家臣団経営に対する組織論からの見方も欲しかったか。「おわりに」で述べた「百姓や村と正面から向き合おうとしなかった権力」である点も感傷的に見るべきかどうかも疑問。そういう権力だったからこそ出来たという積極的評価もできるだろう。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:4月11日 著者:池上 裕子
われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語るわれ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る感想
引退後8年経つとはいえ、将棋界の頂点名人位まで極めた棋士がコンピュータ相手に自分の不利を覚悟し、「6二玉」となりふり構わず勝ちを目指した姿勢に心が打ち震えた。一年が経ち、米長永世棋聖は亡くなり、第二回電王戦ではついにコンピュータが現役のプロ棋士を破った。対人と対コンピュータでは全く異なる研究・対策が必要ということだが、コンピュータはどこまで将棋を通して人に近づけるのかも興味がある。一方、羽生の「コンピュータの計算処理能力から導かれる一手を、人間の知性で理解し、同じような結論を導き出せるかを、問われる」という指摘に深く考えさせられる。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:4月14日 著者:米長 邦雄
大崎梢リクエスト!  本屋さんのアンソロジー大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー感想
新刊書店を舞台としたアンソロジー10編。最も秀逸だったのは似鳥鶏。いや、さすが。日常の謎を詰め込んだ感のある有栖川有栖、うおーそう来たか!と驚いた誉田哲也、オチに物足りなさはあったが手慣れた感じの大崎梢。門井慶喜、吉野万理子、飛鳥井千砂は初めて読むがまずまず。宮下奈都はそっち系の話か…と期待外れ。坂木司はもうひとひねり欲しかったかなあ。乾ルカは『あの日にかえりたい』でも思ったけど相性が合わない感じ。(☆☆☆☆☆)
読了日:4月18日 著者:大崎 梢
坂木司リクエスト!  和菓子のアンソロジー坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー感想
先に読んだ本屋さんよりもバラエティに富んでいた。中でも、小川一水が秀逸。これまで読んだ著者の短編の中で一番好きかも。また、北村薫も味わい深くて印象に残る。坂木司は『和菓子のアン』の続編を描き、それだけでもこのアンソロジーを読む価値があったと思わせる。初めて読んだ、日月恩、牧野修、柴田よしき、木地雅映子、恒川光太郎は個性豊かで、他の作品も読んでみたいと思わせるものが多かった。近藤史恵もらしい空気感があり、畠中恵もらしいとぼけた雰囲気が見事。全体に質が高く、アンソロジーとして非常に素晴らしい作品に仕上がっている。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:4月23日 著者:坂木 司

読書メーター




6冊。アンソロジーや小説以外が目立った月となった。4月後半はドルトムントのCL躍進に読書そっちのけになってしまったのが残念というか仕方ないというか。

『われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る』については、「<href="http://kiten.blog.ocn.ne.jp/kisouan/2013/04/2_0d21.html" target="_blank">第2回将棋電王戦と『われ敗れたり コンピュータ棋戦のすべてを語る』」の記事に書いたので割愛。

ゲーム史に関しては、いろいろと書きたいと思っている。現在、『僕たちのゲーム史』を読んでいるところなので、読み終わったらなんとか……と。

『織田信長』は高評価に違わぬ好著。学際的な視点も欲しかったが、歴史学として非常によくまとめられているので、一読の価値はあると思う。

アンソロジーは3冊同時発売で、近藤史恵のペットのアンソロジーも借りたのだが返却期限に間に合わず。そのうち読みたいと思う。あまりアンソロジーは読まないのだが、なかなかユニークな切り口と豪華な人選で、面白かった。

2013年3月に読んだ本
2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年4月に読んだコミック

『おれはキャプテン』31巻(コージィ 城倉)
『ダイヤのA』35巻(寺嶋 裕二)
『生徒会役員共』8巻(氏家 ト全)
『じょしらく』4-5巻(ヤス)
『もやしもん』12巻(石川 雅之)
『ブラック・ジャック創作話~手塚治虫の仕事場から~』3巻(吉本 浩二)
『咲-Saki-』11巻(小林 立)

8冊。なかなか新しいものに手が出せない。読みたいものは多いんだけどね。


2013年本屋大賞発表

2013年04月09日 23時52分52秒 | 本と雑誌
本屋大賞

2013年の本屋大賞の投票結果が発表された。このミス1位の『64』を抑えて『海賊とよばれた男』が受賞した。『永遠の0』などで知られる百田尚樹の作品。

★1位 海賊と呼ばれた男
著者:百田尚樹/講談社/278.0点
海賊とよばれた男 上海賊とよばれた男 上
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-07-12
海賊とよばれた男 下海賊とよばれた男 下
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-07-12


★2位 64
著者:横山秀夫/文藝春秋/266.0点
64(ロクヨン)64(ロクヨン)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-10-26


★3位 楽園のカンヴァス
著者:原田マハ/新潮社/238.5点
楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-01-20


★4位 きみはいい子
著者:中脇初枝/ポプラ社/212.5点
きみはいい子 (一般書)きみはいい子 (一般書)
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-05-17


★5位 ふくわらい
著者:西加奈子/朝日新聞出版/182.0点
ふくわらいふくわらい
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-08-07


★6位 晴天の迷いクジラ
著者:窪美澄/新潮社/167.0点
晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-02-22


★7位 ソロモンの偽証
著者:宮部みゆき/新潮社/149.5点
ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-08-23
ソロモンの偽証 第II部 決意ソロモンの偽証 第II部 決意
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-09-20
ソロモンの偽証 第III部 法廷ソロモンの偽証 第III部 法廷
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-10-11


★8位 世界から猫が消えたなら
著者:川村元気/マガジンハウス/145.5点
世界から猫が消えたなら世界から猫が消えたなら
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-10-25


★9位 百年法
著者:山田宗樹/角川書店/139.5点
百年法 上百年法 上
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-07-28
百年法 下百年法 下
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-07-28


★10位 屍者の帝国
著者:伊藤計劃,円城塔/河出書房新社/109.0点
屍者の帝国屍者の帝国
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-08-24


★11位 光圀伝
著者:冲方丁/角川書店/108.0点
光圀伝光圀伝
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-09-01





既読は、『きみはいい子』『屍者の帝国』『光圀伝』の3冊。この3冊の中では『光圀伝』がいちばん面白かったが、冲方丁は『天地明察』で受賞しているため、まあ票は集めにくかっただろう。

図書館に予約中が『楽園のカンヴァス』『世界から猫が消えたなら』の2冊。1位2位は読みたいと思っているがその前に『永遠の0』など著者の他の作品を読みたいと思っているので先のことになりそうだ。


2013年3月に読んだ本

2013年04月02日 01時13分56秒 | 本と雑誌
2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2521ページ
ナイス数:90ナイス

ウェブはグループで進化する  ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」ウェブはグループで進化する ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」感想
目新しい知見がそれほどあるわけではないが、ソーシャルネット主体のウェブの現状とそれを前提としたマーケティングのあり方についてよくまとめられている。オンラインのオフライン化はまさしくその通りだろうが、グローバルなウェブで日本がどのくらい特殊なのかの分析が見たい。インフルエンサー神話を否定的に捉えている点は興味深かった。(☆☆☆☆☆)
読了日:3月1日 著者:ポール・アダムス
綱吉と吉宗 (日本近世の歴史)綱吉と吉宗 (日本近世の歴史)感想
江戸幕府の行政システムを中心に描かれている。冒頭、「養子将軍の時代」と題されているが、側用人などを利用した将軍親政の時代だったというのが本書のテーマと言えるだろう。大岡忠相の日記など具体例から描いている点は興味深かった。(☆☆☆☆☆)
読了日:3月8日 著者:深井 雅海
禁断の魔術 ガリレオ8禁断の魔術 ガリレオ8感想
「透視す」はガリレオらしい作品。一方、「念波る」はこれまでの積み重ねがあるから生きる捻り方で印象的。「曲球る」は一冊読み終えた時には忘れてしまっていたくらいで・・・。で、中編と呼ぶべき「猛射つ」は、短編版ガリレオと長編版ガリレオの中間的な仕上がりに感じられたけれど、サスペンスとしては素晴らしい出来だと思うが、すっきりしない結末という印象も。ミステリとしては切れ味に欠けたし、エンターテイメントとしては落としどころに不満が残るような。TVドラマの2時間スペシャルにはいいけど、劇場版には相応しくないという感じか(☆☆☆☆☆)
読了日:3月8日 著者:東野 圭吾
あいあい感想
市井の人々の日常の些細な喜び・悲しみを描き、それを積み上げることによって醸し出した空気が「みをつくし料理帖」の素晴らしさだったが、本書ではどうしても上辺だけをなぞっただけのような感じがしてしまう。良い話、お手軽な感動、それが悪いとは言わないが、高田郁ならもっと出来ただろうと思うだけに残念。(☆☆☆☆)
読了日:3月14日 著者:高田 郁
終わらない歌終わらない歌感想
『よろこびの歌』は読んだという記憶ははっきりあるし、読書メーターのコメントでもかなり絶賛しているのだけれど、内容に関して全く覚えていない。続編である本書を読んでも思い出せない。でも、本書の出来も素晴らしい。出来過ぎなところもあるけれど、宮下奈都の筆致は心地よい。心地よさだけが心に残れば十分かもしれない。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:3月15日 著者:宮下 奈都
マグダラで眠れ (電撃文庫)マグダラで眠れ (電撃文庫)感想
ツンデレヒロインものと思いきや、世間知らずの少女をいたぶるSM小説だったとは(笑)。最後は著者らしい展開で締めたものの、物語を牽引する力がやや不足している印象。キャラクターもあまり魅力を感じなかったのが残念。(☆☆☆☆)
読了日:3月15日 著者:支倉 凍砂
盤上の夜 (創元日本SF叢書)盤上の夜 (創元日本SF叢書)感想
成長したヒカルが再び佐為と巡り合えたならと思わせる表題作。「清められた卓」はまんま『咲』って感じ。量子コンピュータうんぬんはちょっと安直な気も。勝負師を描く様は引き込むものがあるけれど、傍観者視点なのが少し残念に思う。個々に不満はあるものの、全体としては十分に楽しめた。山田正紀っぽさも含めて(笑)。(☆☆☆☆☆)
読了日:3月22日 著者:宮内 悠介
輝天炎上輝天炎上感想
『ケルベロスの肖像』が東城大サイドなら、こちらはそれを碧翠院サイドから描いた作品。なんだけど、『螺鈿迷宮』といい碧翠院ものはさっぱり共感できない。本作も前半の面白さに比べて、後半は焦点もぼやけて失速といった印象。そろそろ桜宮サーガじゃないのが読みたいかなあ・・・。(☆☆☆☆)
読了日:3月28日 著者:海堂 尊

読書メーター




ヴァナに入り浸っていたわりには8冊とまずまず。ただ、よく出来た作品が多かったものの、それが面白さに繋がっていたのは『終わらない歌』だけだった気もする。気持ち甘めの採点かなと感じるが、出来そのものが悪かったわけではないのでこんなものか。

ガリレオシリーズ『禁断の魔術』は短編4作と中編1作という構成となっている。このシリーズは短編と長編で味わいが異なるのが特徴で、本作でも短編は「らしい」仕上がりとなっている。問題は中編で、どっちつかずの印象となってしまった。マンネリと言われようが水戸黄門的にすっきりと落とすのもエンターテイメントの王道的展開だ。短編シリーズはそうした作りが魅力だった。一方、長編は構成の妙味が特徴で、テーマ性も強い。「猛射つ」は内容的には長編版の描き方と言えるが、そこまでの緻密な構成が感じられない。サスペンスとしてはよい出来だが、東野圭吾ならもっとキャラクターに深みを持たせられただろうと思ってしまう。期待値が高いがゆえの低評価とも言えるが、そういう作家なのだから仕方がない。

『あい』の場合も、「みをつくし料理帖」を基準にすると粗が目立ってしまう。人の生涯を一冊の本で描こうとすればどうしても駆け足とならざるをえない。どこを描き、どこを省くかという取捨選択が大切だが、それも過ぎればどうしても著者が思い描く道筋ばかりが書かれてしまうこととなる。実在の人物の生涯を描くとなれば、分かりやすいストーリーに沿ったものとはなり得ないわけだが、小説として見せるためにはストーリーを描かざるを得ず、そのせめぎ合いこそが作品たらしめるものである。本書の場合、深みにまで到達できず、上辺だけをなぞるようなものとなってしまった。高田郁なら、と思うだけに、もう少しどうにかして欲しかったと感じてしまう。

「貧乏に耐えて一途に頑張る」系の美談は美談として、近代的自我を確立して以降、欲の無い人間というのはファンタジーのように見えてしまう。『あい』は江戸末から明治にかけての話で、そういう心性も成り立つが、現代を描くにはそれは受け入れがたくなってしまう。『終わらない歌』の恵まれた環境の下での苦労の重みは、些細なように見えても当人にとっては決して軽いものではない。リアルがファンタジー化してしまって、己の分を越えて、欲望や願望が溢れてしまっている社会にどう適応するのか。綺麗に落とし過ぎではあるが、宮下奈都らしい引っかかり具合が出ていて、エンターテイメントとしても上質な出来。

『狼と香辛料』をあと少し積み残しているというのに、『マグダラで眠れ』に手を出してしまった。世界観は前作同様見事。キャラクターは前作に比べるともうひとつ。問題は物語を牽引する力が弱いこと。前作であれば、主人公は商人で、商売上の利であったり、夢であったりを持っていた。そこにヒロインとの恋愛を絡めて物語に葛藤を与えていた。本作の場合、主人公は錬金術師なわけだが、その思いや夢の描写がうまく伝わってこなかった。ヒロインとの関係性も固定的で面白みに欠ける。ライトノベル以外のジャンルで書いた方が良さそうな気も……。

先日、将棋において現役のプロ棋士がコンピュータ相手に公式の場で敗れた。こういう時代が来るだろうと予測はなされていたが、思いもよらぬほどのペースでコンピュータが強くなった。まさに今SFが現実化している中で、ゲームをテーマにした連作短編が『盤上の夜』。マインドスポーツ好きとしては見逃せない作品集と言える。表題作はどう見ても『ヒカルの碁』(笑)。コメントに書いたように「清められた卓」は『咲-Saki』だし、「象を飛ばした王子」は諸星大二郎っぽいなあとか。主人公がライターで、客観的な視点から描かれているのが特徴。それが悪いわけではないが、物足りなさも感じた。佳作だけど佳作でしかない印象。

『ケルベロスの肖像』の姉妹作『輝天炎上』。コメントに書いたように碧翠院の「業」についていけないのが困ったもの。もともとリアリティに乏しい桜宮サーガだけれど、暴走状態になってしまった感じ。前半は物語の体をなしていたのに、後半はひどい有様で『ケルベロスの肖像』の裏話的展開だけが興味を繋ぐ感じに。まあこれだけ壊れた作品をちゃんと読ませる力量だけは素晴らしいけれど。最後はもうどうでもいいやって投げたくなっちゃったけどね。正直、もう桜宮サーガはおなかいっぱい。余程のことがない限り手は出すまいと思うが、さて(笑)

2013年2月に読んだ本
2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年3月に読んだコミック

『ラストイニング』36巻(中原 裕 神尾 龍)
『よつばと!』12巻(あずま きよひこ)
『それでも町は廻っている』11巻(石黒 正数)

コミックがさっぱり読めなかった。わずか3冊。

『よつばと!』の非物語の力が素晴らしい。『それでも町は廻っている』も意図的に時間順に描いていないと語られているが、物語に依らずとも面白いものは生み出されている。小説がコミックに勝てないのはこんなところにもある。


2013年2月に読んだ本

2013年03月02日 16時50分45秒 | 本と雑誌
2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:847ページ
ナイス数:71ナイス

旅猫リポート旅猫リポート感想
泣かせやがってコノヤロー!って感じだけど、決してベタベタしたものではない。視点の勝利というか、飄々とした雰囲気が漂うのは猫のお蔭だろう。動物ものって好きじゃないんだけど、さすがは有川浩というか。あと、以前は子供の描写がいまひとつに思えていたのに、この作品ではとても生き生きと描かれているのが見事。してやられたって思ってしまう作品。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:2月6日 著者:有川 浩
思い出のとき修理します (集英社文庫)思い出のとき修理します (集英社文庫)感想
単なる良い話の寄せ集めでも、ファンタジーでもない。日常の謎というほどのミステリでもなく、ジャンルの定まらなさが魅力となっている。安直な定型に流れそうなところをギリギリ踏みとどまったような印象。太一のこととかあいまいさを残したところに良さがあった。それだけに続編とか出たらがっかりしそうだな(笑)(☆☆☆☆☆)
読了日:2月14日 著者:谷 瑞恵
ココロ・ファインダココロ・ファインダ感想
日常の謎というよりはひとむかし前の少女マンガのよう。連作短編4話で写真部四人の女子高生それぞれの視点から描かれている。出来は悪くはないのだけれど、「余白」がない感じがした。「コンプレックス・フィルタ」は良かったが、視点変更がむしろキャラクターの奥行きを奪い、ありがちなものとなってしまっている。『マツリカ・マジョルカ』よりは良かったが、面白さよりも惜しいという気持ちが勝る内容だった。(☆☆☆☆☆)
読了日:2月14日 著者:相沢 沙呼

読書メーター




わずか3冊。ひどいものだ。ゲームに時間を取られたとはいえ、もう少し読めたはずなのに。

安定の有川浩。読み手がいろいろと語りたくなるというのもエンターテイメント性のひとつではあるが、逆に全く語る言葉がないというか面白さを味わえばそれで十分というのが有川作品。この手の面白さは賞とは無縁になってしまうのだけど。

『思い出のとき修理します』と『ココロ・ファインダ』は連作短編集。日常の謎と呼ぶにはどちらもミステリ性が乏しい。構造としては日常の謎系だが、一冊の本としての物語性はやや高め。ある程度主人公の成長を描こうという作りになっている。
無闇に「いい話」化していない点は評価できるが、もう少し切れ味のようなものが欲しい。

『思い出のとき修理します』はファンタジーとの境界線ギリギリを狙っていて、そこが魅力のひとつではあるが、展開が王道なので先が読めてしまうためもう少し驚きの要素があればと思う。
『ココロ・ファインダ』は感想に書いたように「余白」の無さが物足りなさとなってしまった。立ちやすいキャラクターというのは読者に「掴み」を与えるがどうしても手垢がついた印象だったり、分かりやすさだけの薄いキャラクター性になってしまう。それを防ぐ手段が日常描写の積み重ねになるが、それが足りず、いかにもな展開を感じてしまうこととなった。4人の中でキャラ立ちという点で弱いミラを主人公に連作短編化した方が面白くなった気がする。ただ読書メーターの感想を見ていると、逆の意見も多いので結局はどの辺りの読者を想定するかという話になるのかもしれないが。

2013年1月に読んだ本
2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年2月に読んだコミック

『ブラック・ジャック創作話~手塚治虫の仕事場から~』2巻(吉本 浩二)
『おれはキャプテン』29-30巻(コージィ 城倉)
『大砲とスタンプ』2巻(速水 螺旋人)
『グラゼニ』9巻(アダチ ケイジ)
『へうげもの』16巻(山田 芳裕)
『GIANT KILLING』26巻(ツジトモ )
『鬼灯の冷徹』7巻(江口 夏実)

計8冊。冊数以上に新しいものに手を出していないことが残念。読みたいものはいくらでもあるのだけれど……。


『SFが読みたい!2013年版』

2013年02月23日 21時47分47秒 | 本と雑誌
SFが読みたい! 2013年版SFが読みたい! 2013年版
価格:¥ 788(税込)
発売日:2013-02-08


☆国内編

■1位 屍者の帝国
著者:伊藤計劃×円城塔/河出書房新社/564点
屍者の帝国屍者の帝国
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-08-24


■2位 盤上の夜
著者:宮内悠介/創元日本SF叢書/293点
盤上の夜 (創元日本SF叢書)盤上の夜 (創元日本SF叢書)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-03-22


■3位 BEATLESS
著者:長谷敏司/角川書店/172点
BEATLESSBEATLESS
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-10-11


■4位 南極点のピアピア動画
著者:野尻抱介/ハヤカワ文庫JA/170点
南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)
価格:¥ 651(税込)
発売日:2012-02-23


■5位 機龍警察 暗黒市場
著者:月村了衛/ハヤカワ・ミステリワールド/163点
機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-09-21


■6位 Delivery
著者:八杉将司/ハヤカワSFシリーズ Jコレクション/140点
Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2012-05-24


■7位 本にだって雄と雌があります
著者:小田雅久仁/新潮社/139点
本にだって雄と雌があります本にだって雄と雌があります
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-10-22


■8位 リリエンタールの末裔
著者:上田早夕里/ハヤカワ文庫JA/138点
リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2011-12-08


■9位 ぼくらは都市を愛していた
著者:神林長平/朝日新聞出版/136点
ぼくらは都市を愛していたぼくらは都市を愛していた
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-07-06


■10位
カラマーゾフの妹カラマーゾフの妹
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-08-02

著者:高野史緒/講談社/115点


■10位 ゴースト・オブ・ユートピア
著者:樺山三英/ハヤカワSFシリーズ Jコレクション/115点
ゴースト・オブ・ユートピア (Jコレクション)ゴースト・オブ・ユートピア (Jコレクション)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2012-06-22


■12位 いま集合的無意識を、
著者:神林長平/ハヤカワ文庫JA/68点
いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)
価格:¥ 651(税込)
発売日:2012-03-09


■13位 百年法(上・下)
著者:山田宗樹/角川書店/67点
百年法 上百年法 上
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-07-28
百年法 下百年法 下
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-07-28


■14位 ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1
著者:ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ/エンターブレイン/63点
ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2012-09-29


■15位 天冥の標V 羊と猿と百掬の銀河
著者:小川一水/ハヤカワ文庫JA/51点
天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA)天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2011-11-25


■16位 道化師の蝶
著者:円城塔/講談社/48点
道化師の蝶道化師の蝶
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2012-01-27


■17位 マインド・イーター[完全版]
著者:水見稜/創元SF文庫/46点
マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫)マインド・イーター[完全版] (創元SF文庫)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2011-11-19


■18位 SF挿絵画家の時代
著者:大橋博之/本の雑誌社/38点
SF挿絵画家の時代SF挿絵画家の時代
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-09-25


■18位 シュルレアリスト精神分析 ボッシュ+ダリ+マグリット+エッシャー+初期荒巻義雄/論
著者:藤元登四郎/中央公論事業出版/38点
シュルレアリスト精神分析―ボッシュ+ダリ+マグリット+エッシャー+初期荒巻義雄/論 (-)シュルレアリスト精神分析―ボッシュ+ダリ+マグリット+エッシャー+初期荒巻義雄/論 (-)
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2012-07-10


■20位 リライト
著者:法条遥/ハヤカワSFシリーズ Jコレクション/36点
リライト (Jコレクション)リライト (Jコレクション)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-04-20





☆海外編

■1位 都市と都市
著者:チャイナ・ミエヴィル/ハヤカワ文庫SF/554点
都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2011-12-20


■2位 第六ポンプ
著者:パオロ・バチガルピ/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ/482点
第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-02-09


■3位 量子怪盗
著者:ハンヌ・ライアニエミ/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ/296点
量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-10-11


■4位 サイバラバード・デイズ
著者:イアン・マクドナルド/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ/256点
サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2012-04-06


■5位 連環宇宙
著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン/創元SF文庫/240点
連環宇宙 (創元SF文庫)連環宇宙 (創元SF文庫)
価格:¥ 1,344(税込)
発売日:2012-05-11


■6位 青い脂
著者:ウラジーミル・ソローキン/河出書房新社/200点
青い脂青い脂
価格:¥ 3,675(税込)
発売日:2012-08-23


■7位 リヴァイアサン―クジラと蒸気機関―
著者:スコット・ウエスターフェルド/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ/161点
リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-12-07


■8位 ブラックアウト
著者:コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ/122点
ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)ブラックアウト (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2012-08-08


■9位 アンドロイドの夢の羊
著者:ジョン・スコルジー/ハヤカワ文庫SF/104点
アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)
価格:¥ 1,092(税込)
発売日:2012-10-04


■10位 心のナイフ 混沌の叫び1(上・下)
著者:パトリック・ネス/東京創元社/94点
心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)心のナイフ 上 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-05-30
心のナイフ 下 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)心のナイフ 下 (混沌の叫び1) (混沌の叫び 1)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-05-30


■11位 フェッセンデンの宇宙
著者:エドモンド・ハミルトン/河出文庫/55点
フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)
価格:¥ 998(税込)
発売日:2012-09-05


■12位 ホーンズ 角
著者:ジョー・ヒル/小学館文庫/54点
ホーンズ 角 (小学館文庫)ホーンズ 角 (小学館文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:2012-04-06


■13位 冷たい方程式
著者:トム・ゴドウィン他/ハヤカワ文庫SF/53点
冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2011-11-10


■13位 闇の国々I
著者:ブノワ・ペータース作、フランソワ・スクイテン画/小学館集英社プロダクション/53点
闇の国々 (ShoPro Books)闇の国々 (ShoPro Books)
価格:¥ 4,200(税込)
発売日:2011-12-17


■15位 シップブレイカー
著者:パオロ・バチガルピ/ハヤカワ文庫SF/51点
シップブレイカー (ハヤカワ文庫SF)シップブレイカー (ハヤカワ文庫SF)
価格:¥ 924(税込)
発売日:2012-08-23


■16位 極北
著者:マーセル・セロー/中央公論新社/44点
極北極北
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-04-07


■17位 夜毎に石の橋の下で
著者:レオ・ペルッツ/国書刊行会/43点
夜毎に石の橋の下で夜毎に石の橋の下で
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2012-07-25


■18位 地図集
著者:董啓章/河出書房新社/39点
地図集地図集
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2012-02-21


■19位 世界樹の影の都
著者:N・K・ジェミシン/ハヤカワ文庫FT/38点
世界樹の影の都 (ハヤカワ文庫FT)世界樹の影の都 (ハヤカワ文庫FT)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2012-10-04


■20位 マイクロワールド(上・下)
著者:マイクル・クライトン&リチャード・プレストン/早川書房/36点
マイクロワールド (上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)マイクロワールド (上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2012-04-20
マイクロワールド (下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)マイクロワールド (下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2012-04-20





読んだのは昨年、一昨年同様1/40冊。借りたけど読み切れずに返却したものが2冊。
なにかと話題の『ニンジャスレイヤー』が国内編なのかというのがツッコミどころ?
『マインド・イーター[完全版]』の存在をこのランキングで初めて知った。水見稜の『マインド・イーター』はかつて読んだことがある。読んだことは覚えている。内容は完璧に忘れているが。

『SFが読みたい!』では誰がどの作品を挙げているかコメント付きで掲載されていて、ランキングよりもそこが見ものではある。意外と『ビアンカ・オーバースタディ』挙げている人が多いなあとか。

特集は「2013年版作家別日本SF最新ブックガイド150」。タイトルもう少しなんとかならなかったのか(笑)。50人の日本人作家を取り上げ、各3作品ずつ紹介している。SFの範疇の捉え方にもよるが、妥当な人選と言えるだろう。その50人を生年順に並べてみた。(高野史緒はWikipediaによる)

筒井康隆(1934)
山田正紀(1950)
夢枕獏(1951)
谷甲州(1951)
神林長平(1953)
山尾悠子(1955)
西崎憲(1955)日本ファンタジーノベル大賞
山本弘(1956)
奥泉光(1956)
牧野修(1958)
鷹見一幸(1958)ライトノベル
貴志祐介(1959)日本ホラー小説大賞佳作
飛浩隆(1960)
野尻抱介(1961)ライトノベル
平山夢明(1961)
北野勇作(1962)日本ファンタジーノベル大賞優秀賞
森岡浩之(1962)
田中啓文(1962)ライトノベル
小林泰三(1962)日本ホラー小説大賞短編賞
林譲治(1962)
藤崎慎吾(1962)
菅浩江(1963)
田中哲弥(1963)ライトノベル
月村了衛(1963)
津原泰水(1964)ライトノベル
恩田陸(1964)
川端裕人(1964)
上田早夕里(1964)小松左京賞
古川日出男(1966)※
高野史緒(1966)
片理誠(1966)日本SF新人賞佳作入選
瀬名秀明(1968)日本ホラー小説大賞
三島浩司(1969)日本SF新人賞
五代ゆう(1970)ライトノベル
池上永一(1970)日本ファンタジーノベル大賞
桜坂洋(1970)ライトノベル
三崎亜記(1970)
有川浩(1972)ライトノベル
八杉将司(1972)日本SF新人賞
円城塔(1972)
舞城王太郎(1973)
長谷敏司(1974)ライトノベル
伊藤計劃(1974)
小川一水(1975)ライトノベル
籐真千歳(1976)ライトノベル
冲方丁(1977)ライトノベル
樺山三英(1977)日本SF新人賞
森見登美彦(1979)日本ファンタジーノベル大賞
法条遥(1982)日本ホラー小説大賞長編賞
新城カズマ(非公開)ライトノベル

後ろは主なデビュー経緯。ライトノベル系が増えているというのはここからも読み取れるだろう。まあSFの範囲をどこに置くか次第だし、SFプロパーな作家となるとごくわずかになってしまうわけで、常の如くSFとは何か?ってことに還流される。(古川日出男は『ウィザードリィ外伝II砂の王』でデビューしているのでライトノベル出自とも言えるが、公式プロフィールでは無かったことにされているっぽい?)