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奇想庵@goo

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2013年1月に読んだ本

2013年02月02日 01時44分33秒 | 本と雑誌
2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3705ページ
ナイス数:100ナイス

無花果とムーン無花果とムーン感想
主人公がバカで愚かでワガママで、でも、身近な人の死という衝撃を受け入れることはキレイゴトなんかじゃなく、等身大の姿で描いてみせた作品。オロオロするばかりだった父親や兄貴の視点で読んでしまった。ある意味、月夜は理解の対岸にいる感じだし。だからこそドキドキして読めたわけだけど。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:1月4日 著者:桜庭 一樹
夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)感想
エンタテイメントにとって過剰さは売りではあるけど、この作品の場合刺激的な演出は書き手の空回りというか痛々しさに繋がっているように感じてしまう。前作同様の叙述ミステリの部分や、リアルと虚構の構図は非常に上手いだけに、キャラクターが致命的に借り物っぽいところなどの欠点が際立ってしまう。惜しい気はするけど、次回作が出たら手に取ろうと思う惜しさじゃない感じだね。(☆☆☆☆)
読了日:1月4日 著者:長沢 樹
マツリカ・マジョルカマツリカ・マジョルカ感想
微妙。キャラクターの造型が悪くないだけに、よりそう感じてしまう。現実離れした設定を使うのはいいけど、もう少しそれを演出でどうにかできなかったものか。あと、「さよならメランコリア」の謎の伏線があまりにも見え見え。日常の謎系ミステリと呼ぶには全体にミステリ色が弱すぎ。かといって「青春」の部分は手垢が付き過ぎて読む価値があるとも思えないし。ラノベ的な割り切りがあった方が良かったかもしれないが・・・。なんにせよ微妙。(☆☆☆)
読了日:1月11日 著者:相沢 沙呼
青空の卵 (CRIME CLUB)青空の卵 (CRIME CLUB)感想
文章は悪くないが、いろいろと青臭さや生硬な感じが至る所で感じられた。『和菓子のアン』の肩の力の抜けた感覚に達するまでには時間が掛かるのだろう。シリーズ続編を読みたいかというと、なかなか悩ましいところ。日常の謎は好きなんだけど、ミステリとしての提示の仕方が巧くないんだよね。(☆☆☆)
読了日:1月11日 著者:坂木 司
まもなく電車が出現します (創元推理文庫)まもなく電車が出現します (創元推理文庫)感想
どんどんハーレム化しているんですけど(笑)。著者は女性不信かなにか?って気も。短編だからというわけでもないが、伊神さんが簡単に謎を解き過ぎ。もう少し捻りが欲しいところ。「嫁と竜の~」のようなアイディアものは良い感じだったけどね。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:1月12日 著者:似鳥 鶏
いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)感想
ミステリとしては悪くないんだろうけど、トリックのために日常の謎的な面白さが失われてしまった。再読すれば印象が変わるかもしれないが、第二章あたりで投げ出そうかと思ったくらいだ。伊神さんが万能すぎて、いかにして伊神さんの登場を遅らせるかとなってしまっているし。視点移動を使ってまでこのシリーズで書く内容だったのかは激しく疑問。(☆☆☆)
読了日:1月15日 著者:似鳥 鶏
浜村渚の計算ノート (講談社Birth)浜村渚の計算ノート (講談社Birth)感想
数学をないがしろにする国なんて滅びていいよね、私も黒い三角定規に何を措いても参加するよ!って感じなんですけど(笑)。ジュブナイル・ミステリ風の連作短編。『ちごうた計算』はまずまずの出来。ただフィボナッチ数列だともろに『数学ガール』を思い出してしまうわけだけど(苦笑)。(☆☆☆)
読了日:1月17日 著者:青柳 碧人
職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)職業としてのAV女優 (幻冬舎新書)感想
たいへん興味深く読んだ。金に関してかなり具体的な数字が書かれていてリアリティがある。悲惨な歴史の末に現在はかなりクリーンな業界へと変貌を遂げていることや、数多くのAV女優志願者がいること、成功しているごく一部を除くと決して稼げる職業ではなくなったということ、承認欲求等の理由からそれでも続けたいと願う人たちがいること、などなど。性産業とセーフティネットの関連性など更に踏み込んだものが読みたくなる。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:1月17日 著者:中村 淳彦
とっさの方言 (ポプラ文庫)とっさの方言 (ポプラ文庫)感想
東京に出て来て何年。方言を話さなくなったけど~って話より、子供の頃の体験談の方が平均して面白いと感じた。あと、方言と認識されずに使っている言葉というのは興味がある。知られていないだけで相当あるはず。執筆陣が豪華で、巧い人は巧いね。(☆☆☆☆)
読了日:1月18日 著者:小路幸也,大崎善生
聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)感想
文章は巧みだし、キャラ立ても上手い。トリックも悪くないのだけど、メリハリに欠ける。ミステリは、もったいをつけたり、ケレンを散りばめてこそ盛り上がるもの。もっと面白くなりそうなだけにもったいないと感じる。日常の謎かユーモアミステリかその辺りもはっきりした方が良かったような。惜しいなあ。(☆☆☆☆☆)
読了日:1月19日 著者:市井 豊
家庭料理の近代 (歴史文化ライブラリー)家庭料理の近代 (歴史文化ライブラリー)感想
社会階層や地域性が今よりもはるかに大きい明治・大正期だけに、女学校や料理教室、料理書、婦人向け雑誌だけでは全体像を捉えるのは難しく感じた。新しい食材に関しては流通量のデータなど経済学的側面がもっと欲しい。男女分業の意識の徹底や良妻賢母思想の誕生など幕末から明治期にかけての日常生活への見方の変化と、この本に記されている研究成果がどのようにリンクしていくのか。明治期の暮らしも今では想像できないものになったのだと強く感じた。(☆☆☆☆)
読了日:1月29日 著者:江原 絢子
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5 (講談社ラノベ文庫)感想
ヌルさや浅さも含めて「軽小説」としてよく出来ている。ただラノベであっても一人称はつまんないよなあと再認識。ミュセル視点は面白かったけど、同じ手は使えないだろうし。ロイクとロミルダでもってるような感じになってきただけに、もうちょいテコ入れが欲しいような・・・。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:1月31日 著者:榊 一郎

読書メーター




12冊。ノルマには達したものの、もう少し読みたかったという思いは残る。

「日常の謎」は、元祖とも言える「円紫さん」シリーズにおいて、時間経過とエピソード主体による主人公の成長を描くというスタイルを打ち出したため、後続作品の多くがそのスタイルを追随している。
これはコミック・アニメにおける「空気系」のスタイルと近い(中心人物としての主人公の存在が大きく異なるが)。どちらにとっても大切なことは、キャラクターの立て方であったり、魅力的な日常会話のやりとりであったりする。

『マツリカ・マジョルカ』はミステリ色が弱い点は大きな問題ではない。キャラクターの立て方も悪くなかった。ただキャラクターの関係性が主人公とヒロインのマツリカだけといった感じで、広がりを欠いた。シチュエーションも突飛過ぎてもうひとつ。

『青空の卵』はキャラクターの魅力不足に感じた。全体に説明口調が多く、感想にも書いたように硬さが際立っている印象だ。ミステリ部分よりも日常こそが肝だと思うだけに、読んでいて辛いものがあった。

『まもなく電車が出現します』はシリーズ4冊目で、連作短編というより、普通の短編集のおもむき。著者の最大の魅力は畳み掛けるような展開だと思うので、その点では物足りなさがあった。しかし、キャラクターはよくできているし、会話の楽しさは素晴らしい出来。

『いわゆる天使の文化祭』はシリーズ5冊目。長編で、初めての視点切り替えもあり。ミステリとしては頑張っていると分かるのだが、日常の謎としては楽しみが半減している印象を受けた。天使のネタは面白いだけに、別の展開が見たかった。

『聴き屋の芸術学部祭』は連作短編だが、日常の謎と殺人事件がごちゃまぜとなっている。キャラクターはたいへん素晴らしく、日常の謎として一貫してくれれば相当な作品となっていたかもしれない。今後に期待の作家と言える。

以前、『放課後探偵団』というアンソロジーを読んだ。相沢沙呼、市井豊、鵜林伸也、梓崎優、似鳥鶏の5人が書いている。梓崎優はその直前に『叫びと祈り』を読んでいた。鵜林伸也はいまだ本は出ていない。
相沢沙呼、市井豊、似鳥鶏の3人は自身の「日常の謎」のシリーズから短編を掲載している。しかし、アンソロジーを読んだ時はまだ作品は読んでいなかったので、もうひとつといった印象だった。シリーズを読んだ今なら違った感想になるだろう。近いうちに読み返したいと思っているのだが……。

残るミステリ。

『夏服パースペクティヴ』は著者のデビュー作『消失グラデーション』より時間的には前の話となっている。刺激的な素材をふんだんに織り交ぜながら密度の濃いサスペンス風のミステリが展開するのは前作同様。ただ痛々しい感じがしてしまうのが困ったところで、そういう作風なんだろうけど、もう少しなんとかならないものか。

『浜村渚の計算ノート』はユーモアミステリといった感じだが、子供だましに近い印象だった。『数学ガール』と比ぶべくもないのは分かっていても、それでも比べてしまうわけで。困ったものだ。

その他。

『無花果とムーン』は読書メーターのコメント見ていると賛否両論というかやや否定派が多い感じ。ただ桜庭一樹の読み方としては、ストーリー性ではなくシーンごとのエピソードの魅力が売りだと思うので、十分に楽しめる作品だった。ファンタジーだけど心は地に足がついているしね。

『とっさの方言』でいちばん印象に残ったのは「さきっぽだけ」(違。それはともかく、執筆陣が豪華なので一読の価値はあるかも。

『家庭料理の近代』は以前読んだ『きょうも料理』とも重なるものだが、歴史学的内容。正確だが堅いのは仕方ないとしても、もう少し踏み込んだ見方を示して欲しかった。西洋料理の普及の話よりも、女性が料理する意味や価値について押さえておかなければ内容が薄いものとなってしまう。例えばそれぞれの社会階層ごとにどれだけ主婦が家事に時間を割いていたのかといったデータとかないのだろうか。

『職業としてのAV女優』は1月に読んだ本の中で最も読み応えがあった作品。一昔前のAV業界から様変わりした話や、女性の意識の変化などとても興味深かった。日本は宗教的な戒律があまりないので性風俗は時代の影響を受けやすい。もともと性に開放的な国民性だったが、明治期以降は意識も大きく変化した。
先日Twitterで、「日本は「えっちな情報は18歳未満はNG」だけど「セックスは18歳で経験済みじゃないと人格に問題」(以下略)」なんてコメントを見かけたけど、意識の変化を定量化して歴史的変遷として比較することができたら面白そうなんだけど。
経済学的アプローチが効果的なんだけど、いまネットで見たら風俗産業の規模は出典が一冊の本だけで、どうも怪しい(苦笑)。一方、一般人の意識の部分はフィクションに投影されやすいとされるが、今はジャンルごとに細分化してしまっているしね。
この本のようにひとつの業界に絞って金銭を中心に説明されるとかなり説得力がある。もちろん、あくまでも一面的な見方に過ぎないけど。ただこういう話が表に出て来ない世界だしねえ。

『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者5』は主人公視点とヒロインのミュセル視点が交互に表示される形式になっている。これまで主人公の一人称でずっと進行していたが、ストーリー的にそれでは話が進まないため変更された。『いわゆる天使の文化祭』はそれで作品の魅力が損なわれたが、この作品はさすがに手慣れた仕事という感じ。
ただ、やはり一人称オンリーだとどうしてもストーリーが限定されてしまう。「小市民」シリーズでごく一部だけ三人称になったりと、結構みっともない構成があった。日常の謎も一人称形式が多い。
ライトノベルでも、『フルメタル・パニック』や『スクラップド・プリンセス』など三人称の作品はいくらでもある。ただ最近は一人称が多い印象を受けている。『涼宮ハルヒ』のように独特の書き回しであればともかく、漫然と一人称という作品も少なくないように感じる。『れでぃ×ばと』や『ベン・トー』では視点を変えたり人称を変えたりする試み(というか仕方なくの場合も多いが)があった。
『マリア様がみてる』はほぼ三人称で通していて、神視点ではなく一元視点方式となっている。作品によっては視点の切り替えが多く、非常に効果的に利用しているケースもある。視点によって地の文でのキャラクターの呼び方が変わったりするのも面白い。
一人称の作品がアニメ化などですっきりするのは視点が変わる影響も大きい。映像的・ドラマ的に見せるという意味でも三人称の方が秀でていると言える。一人称は主人公に共感できるかどうかによって作品への入り込みに違いが出る。そして、ライトノベルで共感できるケースは非常にマレだったりする。その点でも三人称の方がありがたいように思う。

2012年に読んだ本
2011年に読んだ本




2013年1月に読んだコミック

『恋愛ラボ』7巻(宮原 るり)
『大東京トイボックス』1-9巻(うめ)
『らいか・デイズ』15巻(むんこ)
『みなみけ』10巻(桜場 コハル)
『はじめの一歩』102巻(森川 ジョージ)
『グラゼニ』7-8巻(アダチ ケイジ)
『銀の匙 Silver Spoon』6巻(荒川 弘)
『侵略!イカ娘』13巻(安部 真弘)
『みそララ』6巻(宮原 るり)
『鬼灯の冷徹』6巻(江口 夏実)
『じょしらく』3巻(ヤス)

計20冊。どれも素晴らしい。特に宮原るり。いちばん好きな漫画家と言い切れるほど。『みそララ』は6巻読んだ後に1巻から読み直したしね(笑)。

前作『東京トイボックス』を読んでいるので新作とは言えないが、語るべきは『大東京トイボックス』だろう。
上下巻で終わった『東京トイボックス』と異なり長期連載前提でストーリーを作ったため敵を外部に置く手法を取っている(業界内・企業内ではあるが論理として外部)。この手法が成功するかどうかは終わってみての判断となるだろう。ゲームファンにとって必読のマンガなだけに成功して欲しいところだ。


2012年に読んだ本

2013年01月01日 12時17分38秒 | 本と雑誌
奇天さんの2012年の読書メーターまとめ

ホント夏場に全然読めてないね(ー∇ー;)

☆評価は、
評価2012年割合2011年
☆80冊0%3冊
☆711冊12.2%13冊
☆612冊13.3%22冊
☆516冊17.8%35冊
☆429冊32.2%32冊
☆319冊21.1%26冊
☆23冊3.3%10冊
☆10冊0%1冊


平均は4.53で、昨年の4.57とほぼ同じ。☆8と☆1がなく、☆4に集中している。

読書メーターではマイ本棚という機能があり、そこに2012年おすすめランキングというものを作ることが出来る。☆評価とは別に、2012年に読んだ本を並べてみた。

2012年おすすめランキングの本棚

順位タイトル著者
1位残穢小野不由美
2位空飛ぶ広報室有川浩
3位クローバー・レイン大崎梢
4位ある男木内昇
5位夏天の虹高田郁
6位理由あって冬に出る似鳥鶏
7位麒麟の翼東野圭吾
8位光圀伝冲方丁
9位物語 食の文化北岡正三郎
10位左京区恋月橋渡ル瀧羽麻子
11位真夏の方程式東野圭吾
12位三匹のおっさん ふたたび有川浩
13位スリジエセンター1991海堂尊
14位羽月莉音の帝国 10至道流星
15位消失グラデーション長沢樹
16位プリティが多すぎる大崎梢
17位傷痕桜庭 一樹
18位心星ひとつ高田郁
19位謎解きはディナーのあとで2東川篤哉
20位ロートケプシェン、こっちにおいで相沢沙呼


上位7作あたりはほとんど差はない。小野不由美が1位なのはレア度の影響も(笑)。ライトノベルはこの1冊という形になりにくいため、こうしたランキングでは評価しづらい。『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』は入れても良かったと思う。

ライトノベルは27冊で、ほぼ1/3。新規に手を出したのは、『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』『スクラップド・プリンセス』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』『サエズリ図書館のワルツさん』『ビアンカ・オーバースタディ』といったあたり。『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー』もラノベに入れてもいいかもしれないが。
この中では榊一郎の質の高さが際立つ感じ。止まっている『スクラップド・プリンセス』も最後までちゃんと読まないとだけど。

ライトノベルは途中で止まっている作品がやたら多く、その解消がまずは最優先なのだが、なかなか出来ないでいる。返却日という締切がある図書館から借りた本に比べて手持ちの本はどうしても後回しにしがち。もう少し自分なりになんとかしないと……。
西尾維新の物語シリーズはアニメ化に追いつかれた状態で、しかもセカンドシーズンのアニメ化も決まったのでお尻に火が点いた状態。その方が頑張って読めそうだけど。




コミックは274冊で、250冊という目標は越えた。『シュート!』がシリーズ合計51冊、『俺たちのフィールド』が34冊とサッカー漫画が1/3を占めることになった。

新規に読んだシリーズで印象深かったものは、『神戸在住』『みそララ』『となりのネネコさん』『高杉さん家のおべんとう』『ヨコハマ買い出し紀行』『パーツのぱ』『昭和元禄落語心中』『ちゃんと描いてますからっ!』あたり。
なかでも宮原るりに惹かれまくっている。四コマも素晴らしいが、『僕らはみんな河合荘』もキャラクターが生き生きとしていて秀逸。

2013年も同程度の数は読みたいところ。特に少女マンガ読みたい!って気分によくなるのになかなか手を出せていないので、なんとかしたいな。




2012年12月に読んだ本
2012年11月に読んだ本
2012年10月に読んだ本
2012年9月に読んだ本
2012年8月に読んだ本
2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本

2011年に読んだ本


2012年12月に読んだ本

2013年01月01日 01時21分36秒 | 本と雑誌
2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4641ページ
ナイス数:106ナイス

双月高校、クイズ日和双月高校、クイズ日和感想
高校部活もので、クイズ同好会が舞台。設定は好みだし、内容も悪くはないが、ストーリーやエピソードが予定調和的というか、驚きの要素が乏しい。小さくまとまってしまったなあという印象。これを読むと『ナナマルサンバツ』の出来の良さが際立つというか(笑)(☆☆☆)
読了日:12月4日 著者:青柳 碧人
穴らしきものに入る (角川ホラー文庫)穴らしきものに入る (角川ホラー文庫)感想
ホラーというより、式貴士や筒井康隆の初期短編に近い感覚。不条理SFあたり。落ちがもう少し尖がっていればって気もするが、味わい自体は独特のものなので、質を落とさずに持続するのは難しそうだけど頑張って欲しいね。(☆☆☆☆)
読了日:12月7日 著者:国広 正人
江戸っ子は虫歯しらず?<江戸文化絵解き帳>江戸っ子は虫歯しらず?<江戸文化絵解き帳>感想
著者が蒐集した江戸期の出版物に挿入された多数の絵から、当時の人々の習慣を読み解いたもの。斬新な内容ではないが、図絵が多く親しみやすい。江戸礼賛が過ぎると感じられた面もあるが、江戸文化の良さを知るには最適の本だろう。(☆☆☆☆)
読了日:12月7日 著者:石川 英輔
虚像の道化師 ガリレオ 7虚像の道化師 ガリレオ 7感想
「幻惑す」はネタはともかく構成が見事。「偽装う」は湯川がかっこよすぎ(笑)。「演技る」の「芸術家のやること」という区分、本来湯川もあっち側の人間だったはずなのにと思ってしまったが、シリーズが続く中でずいぶんと人間臭くなったよなあと感じた。(☆☆☆☆☆)
読了日:12月11日 著者:東野 圭吾
理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)感想
素晴らしい。怪談の謎解きは日常の謎の定番だが、畳み掛ける展開と際立つキャラクター性にぐいぐいと引き込まれた。欠点がないわけではないが、新人とは思えない練度を感じる作品だった(ちょうど「タレーラン」と並行して読んでいたため、より強く感じたのかもしれないが)。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月13日 著者:似鳥 鶏
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
人間関係の距離感は会話で表現されるものだけど、いきなり「図星」はどうかと。これに限らず、話の運びなどでも些細だけれど引っかかる点が多く、プロの小慣れた作品にない素人くささが気になった。ミステリとしては工夫を凝らしている印象で好感を持つことができたが、そのために作られたキャラクター造型という感じが色濃く、楽しめる出来とは言い難い。(☆☆☆)
読了日:12月14日 著者:岡崎 琢磨
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈3〉動乱編感想
1冊ごとに質は向上し、厚みは増して、面白くはなっているんだけど、そのせいか余計に著者の浅薄な主張を振りかざす場面がうっとおしく感じられる。ストーリー展開は、この手の作品の王道という感じで、目新しさに欠ける。キャラクターもそれほど突出した存在がいない。結局は、自衛隊ツエー!を楽しむだけになってるね。(☆☆☆)
読了日:12月17日 著者:柳内 たくみ
スリジエセンター1991スリジエセンター1991感想
「負け戦」となることが分かっていても、ぐいぐいと惹きつける魅力はさすが。桜宮サーガのキャラクターの若かりし姿が描かれている点も良いが、臆面なく理想を語らせられる最後の時代であったのかもしれない。「ケルベロス」はもうひとつだったが、こちらは秀逸。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月20日 著者:海堂 尊
左京区恋月橋渡ル左京区恋月橋渡ル感想
「あきらめたら、うまくいくものもうまくいかなくなっちゃうもん。やれること全部、やりつくさなきゃだめだと思う」という花の言葉は至言で、だからこそラストの清々しさに繋がるんだけど、恋愛ごとに限らず、分かっていてもできないのが人とも言えるわけで。ストーリーは山根の主観のみで突っ走っているので、ヒロインをあまり描かない手法は悪くないと感じた。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月21日 著者:瀧羽 麻子
さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)感想
「理由あって冬に出る」と比べると物足りなさが強く感じられた。「日常の謎」の連作短編の場合、どれだけ日常性を丹念に描けるかで作品の魅力が増すと思う。本作は謎を描くのに汲々として、日常性の部分に厚みを感じなかった。キャラクター的にも伊神先輩頼みが強すぎる印象。それでも、ところどころに良さがあり、水準以上の出来だとは思う。(☆☆☆☆)
読了日:12月22日 著者:似鳥 鶏
ある男ある男感想
素晴らしい。木内作品はユーモアのある作風の方が好みではあるが、この短編集は凄味が感じられて鳥肌が立つほど。特に後半の作品は秀逸で、読み応えがあった。「フレーヘードル」のラストには絶句。歴史もので悲劇的な作品は世にあまたあるけれど、突き抜けて境地に達したような作品がいくつかあったことを喜びたい。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月27日 著者:木内 昇
遺伝子はダメなあなたを愛してる遺伝子はダメなあなたを愛してる感想
「遺伝子は産めよ増やせよといっているのではなく、むしろ自由であれ、といっているのだと私は思うのです」というあとがきの言葉には同感。生物学にはあまり興味はないけれど、だからこそ目新しい話題に感心させられた。(☆☆☆☆)
読了日:12月27日 著者:福岡伸一
さよならの次にくる<新学期編> (創元推理文庫)さよならの次にくる<新学期編> (創元推理文庫)感想
葉山君をめぐって、伊神さんと希ちゃんの三角関係勃発!・・・という話かどうかはさておき、伏線が次々と回収される終盤の畳み掛ける展開は見事。ただミステリの部分の弱さや伏線の張り方などには物足りなさも。日常の描写ももう少し膨らました方が好み。あと、柳瀬さん無双すぎるw(☆☆☆☆☆)
読了日:12月28日 著者:似鳥 鶏
屍者の帝国屍者の帝国感想
読み終わった直後の感想であり、のちに全面的に評価が変わる可能性もあるが、エンターテイメントとしては読みづらく、SFとしては物足りないといったところ。プロローグを読んだ時のワクワク感が本編であまり感じられなかった。テーマ、描写、演出どれもがあと一歩足りない印象が残った。そして、何より、物語を突き破るものではなかったことが残念だった。(☆☆☆☆)
読了日:12月31日 著者:伊藤 計劃,円城 塔

読書メーター




14冊。これで2012年は90冊となった。最低でも120冊が目標だったので、かなり不甲斐ない数字。5月から8月にかけてが酷くて、4ヶ月で14冊とかもう目も当てられない。
2013年は改善していかないとと強く心に誓う……が、果たしてどうなるだろう。

今月は楽しく読めたもの、期待外れだったものと別れたが、全体としては満足のいく読書ができた感じだ。
『ある男』と『屍者の帝国』は個別に記事を立てて感想を書いたのでここでは割愛する。

似鳥鶏の「にわか高校生探偵団の事件簿シリーズ」は日常の謎系ミステリ。デビュー作にあたる『理由あって冬に出る』は非常に良い出来だった。日常の謎の場合、キャラクター性が重要なので、その点が優れている。また、畳み掛ける展開に関しては絶賛に値する。一方で、ミステリ的な面は弱い。普通にラノベ向きな作家と言えるかもしれないw

『双月高校、クイズ日和』の青柳碧人はラノベも書いている。代表作は数学ミステリの『浜村渚の計算ノートシリーズ』で、現在図書館から借りているので、近いうちに読む予定。

『左京区恋月橋渡ル』は理系男子を扱った恋愛青春小説の第2弾。1作目ほどではないが、正統派の恋愛小説もたまに読むと楽しいものだ。ヘタレ男子に比べて、女子の恋愛偏差値の高さばかりが目に付くけれどw

『スリジエセンター1991』は2012年に読んだ海堂尊作品の中では最も出来が良かった。(他は『玉村警部補の災難』『ケルベロスの肖像』)
いくつかシリーズが完結しても、桜宮サーガ自体は完結していないようなので、あまり終わった感じはしない。まだ何冊か読んでいない作品があるので、読みたいと思っている。

『穴らしきものに入る』はこれがホラー?って感じ。昔なら間違いなくSFだけど、今はSFとしては出せないって感じだしね。

『虚像の道化師』で2012年の東野圭吾作品は6冊目。当たり外れがないわけではないが、日本のエンターテイメントの到達点をキープしている作家のひとりなので、コンスタントに読み続けていきたい。

2013年は2012年同様150冊を目標にしたい。読み残している作品も少なくないし、特に物語シリーズなどライトノベル系で読みたい作品が多いので、それをどうにかクリアしたいものだ。

2012年11月に読んだ本
2012年10月に読んだ本
2012年9月に読んだ本
2012年8月に読んだ本
2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年12月に読んだコミック

『くすりのマジョラム』2-3巻(鈴城 芹)
『森田さんは無口』5巻(佐野 妙)
『大砲とスタンプ』1巻(速水 螺旋人)
『ダイヤのA』34巻(寺嶋 裕二)
『ひだまりスケッチ』7巻(蒼樹 うめ)
『げんしけん 二代目の四』13巻(木尾 士目)

計7冊。小説読むペースが上がると、コミックを読むペースは落ちる。仕方ないところ。これで年間274冊となった。300冊を狙っていたが……。

読んだ作品はどれも水準以上。特に『げんしけん』は面白いねw


感想:『屍者の帝国』

2012年12月31日 19時42分14秒 | 本と雑誌
屍者の帝国屍者の帝国
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-08-24


あくまでも読み終わった直後の感想なので、今後その評価は大きく変わる可能性を秘めているとは思う。
ただ期待し過ぎた分、辛口の評価になってしまうというのはあるだろう。

伊藤計劃が書いたプロローグは事前に読んでいた。死者を屍者として甦られて使役する世界。19世紀後半の華やかなりし大英帝国。果たしてこれからどんな展開が待ち受けているのか。

科学的あるいは神秘学的な方向を期待していたのかもしれない。しかし、物語的な訴求が強く感じられた。考えてみれば、伊藤計劃なのだからそれが必然だったのだけど。それでも、伊藤計劃自身が書いていたならどんな展開を見せただろうか。

決して難解ではないが、読みにくさを感じる文章だった。円城塔は過去に『Self‐Reference ENGINE』を読んだが、これはエンターテイメントとして書かれたとは言い難いもので、読みにくくても仕方がなかった。或いは読みにくさも含めての作品性と言えた。本書はもう少しテンポ良く読めれば、エンターテイメントとして楽しむことができたかもしれない。

以下はネタバレを含む。

まず、主人公の「わたし」に感情移入できなかった。ワトソンに限らず、著名なキャラクターを登場させる楽しみはあるが、キャラクターとしてうまく立っているかというと微妙に感じる。名前に頼っている印象を受けてしまった。

物語を引っ張るためのマクガフィンも有効とは思えなかった。屍者が死者を介さず生者から直接作られたとして何の問題が生じるのか。プロットの展開は伏線の張り方などよく出来ていると思うが、物語のための物語となっているようにも感じられた。

屍者の帝国のイメージとして、『百億の昼と千億の夜』のゼン・ゼンシティ(或いは映画『マトリックス』)の夢の世界(仮想現実)に生きる人々を想起した。諸星大二郎の「生物都市」、エヴァの「人類補完計画」、『ハーモニー』の結末などのアンチユートピアとも連なるが、それを単純にアンチユートピアと位置付けられるのかというのが現在の問題意識と言えるかもしれない。

本書の場合、屍者化のマイナスイメージが先行してはいるが、強力な否定の論理も十分に描かれているようには感じなかった。そうした中立性はSFらしくもあるが、物語的には牽引力の弱さにも繋がる。既に行き渡った技術をなくすことができるのかという点では「原子力」の問題ともリンクしそうだが、切り口としてそれほど連関性は感じなかった。

言語を始め、伊藤計劃らしいテーマ性が随所に散りばめられていたが、全体として機能しているかは微妙に思う。パーツパーツは悪くないが、全体ではバラバラなように見えた。作品の成立過程からすれば仕方ないことかもしれないが。

最後にたどり着いたイメージは、『GS美神 極楽大作戦』だったりする。むしろそういうノリがもっと欲しかった。もっとキャラを立たせて、いい加減に深いテーマを語って欲しかった。ところどころバカバカしさが上手く表現できていたが、突き抜けるところまで行かなかったのが残念だ。

そして、何より、物語であり続けたことがわたしにとっては不満だった。それもまた仕方ないことだけれど。


感想:『ある男』

2012年12月27日 17時21分05秒 | 本と雑誌
ある男ある男
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-09-27


明治初期を舞台とした短編集。直木賞受賞作『漂砂のうたう』とほぼ同じ時代であり、御一新の変革が様々に影響を及ぼす中で生きる人々を描いている。

木内昇には、『浮世女房洒落日記』や『笑い三年、泣き三月。』といった庶民情緒やユーモアに彩られた作品もあるが、本書ではそういう彩りはほとんど見られない。歴史もので悲劇を書くのはそう難しいことではない。読み始めた当初は、物足りない感じだったが、読み進めるうちに凄味が増して引き込まれた。

7編の短編はほぼ雑誌掲載順だが、後半の4編は主人公を固有名詞ではなくただ「男」としている。それによって、前半3編にない抉り出すような感触が際立つようになった。

「?」

南部の炭鉱夫(金工)が東京で井上馨に直談判をする話。印象としては、切れ味に欠け、凡庸。

「喰違坂」

東京警視庁発足直後、岩倉具視襲撃事件を担当する権小警視の「男」が主人公。展開やラストは悪くない。ただ「男」の変化がもう少し上手く描かれていればと思う。

「一両札」

贋物細工の老人が贋金造りを頼まれる話。本質を見据えない若者像は上手く描いてはいたがありがちでもある。過去の想い出も良い話に傾き過ぎているように感じた。

「女の面」

飛騨の地役人の「男」が主人公。時代の変化に適応できずに翻弄されている様はさほど見るべきものはないが、その妻の存在がユニーク。もう少し話に膨らみがあればとも思う。

「猿芝居」

兵庫県吏の「男」が主人公。ノルマントン号事件を題材にしている。それまで人々の生活を支えてきた慣習や道理と、御一新後に西洋からコピーされた新たな理念の狭間で葛藤するという構図は定番と言っていいだろうが、最も色濃くそれが前面に表れた作品。

「道理」

京都見廻組にいた「男」が会津で塾を営んでいる。しかし、県令が代わり、圧政を布くと、民衆がそれに反発し始める。過去の経験から憎しみによる戦いは避けるべきだと語る「男」だが……。
男の道理は確かに深いものがある。しかし、世は道理によって成り立っているわけではない。憎しみの連鎖や流血は哀しいことだが、時代を作るにはそれが必要とされることもある。それでもなお、理想に生きようというのは戦いに身を投じることよりも苛酷かもしれない。それを見事に描いた作品。

「フレーヘードル」

岡山の中農の「男」が主人公。傑出した知力があるがゆえに、それを隠さねばならず、自らの才を埋もれさせて生きようとしていた。しかし、同じような知性の持ち主と知り合い、国会開設や憲法の案を作ることにのめり込んでいく。
姑の存在が利いている。ラストの落ちも見事。ある意味当然の落ちとも言えるが、秀逸だった。この1編を読むだけでも価値がある。

時代物は現代の視線で裁きがちだが、木内作品はその陥穽から逃れている。時代の空気を巧みに描き、短編でも十分にらしさを表現している。
木内作品には先にも触れたように洒脱な作風のものもあり、そちらの方が好みではあるが、読み応えのある短編を久しぶりに堪能できたことは確かだ。


2012年読書メーターおすすめランキング!!

2012年12月17日 03時53分07秒 | 本と雑誌
2012年読書メーターおすすめランキング!!

読書メーターの存在を知ったのは、ヤフトピで「読まれた本」のランキングが取り上げられていたから。今回は4部門で、「ランキングは感想・レビューのデータも踏まえて算出」されたランキングが発表された。どのような計算方法によるものなのかは表示されていないので、ランキングそのものへの信頼性は皆無と言ってもいいが、「今年の本」としてどのようなものが読まれたかの一つの参考にはなるだろう。

登録ユーザーというか、実際に利用しているユーザーの実態は想像するよりないが、選出された作品からある程度は類推できる。女性の利用者が多く、年齢層もそう低くはないように見える。

★小説部門

■1位 くちびるに歌を
著者:中田永一/出版社:小学館
くちびるに歌をくちびるに歌を
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2011-11-24

2012年本屋大賞4位。中学合唱部を舞台にした青春小説。2011年刊。

■2位 残穢
著者:小野不由美/出版社:新潮社
残穢残穢
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-07-20

『このミステリがすごい!2013』17位。ホラー。

■3位 夏天の虹 みをつくし料理帖
著者:高田郁/出版社:角川春樹事務所(時代小説文庫)
夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
価格:¥ 650(税込)
発売日:2012-03-15

シリーズ7作目。江戸時代を舞台に女性料理人の生きる様を描く時代小説。

■4位 楽園のカンヴァス
著者:原田マハ/出版社:新潮社
楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-01-20

『このミステリがすごい!2013』6位。美術の世界を舞台としたサスペンス。

■5位 晴天の迷いクジラ
著者:窪美澄/出版社:新潮社
晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-02-22

『ふがいない僕は空を見た』が話題となった著者の2作目。

■6位 和菓子のアン
著者:坂木司/出版社:光文社(文庫)
和菓子のアン (光文社文庫)和菓子のアン (光文社文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2012-10-11

2010年刊の文庫化。デパ地下の和菓子屋を舞台とした日常の謎系ミステリ。

■7位 ウィンター・ホリデー
著者:坂木司/出版社:文藝春秋
ウィンター・ホリデーウィンター・ホリデー
価格:¥ 1,628(税込)
発売日:2012-01

『和菓子のアン』の坂木司の作品。『ワーキング・ホリデー』の続編。

■8位 夢違
著者:恩田陸/出版社:角川書店
夢違夢違
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-11-12

直木賞候補作にもなったSFサスペンス。2011年刊。

■9位 空飛ぶ広報室
著者:有川浩/出版社:幻冬舎
空飛ぶ広報室空飛ぶ広報室
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-07-27

有川浩お得意の自衛隊を扱ったお仕事もの。

■10位 珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を
著者:岡崎琢磨/出版社:宝島社
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2012-08-04

第10回『このミステリーがすごい! 』大賞「隠し玉」の日常の謎系ミステリ。

■11位 鍵のない夢を見る
著者:辻村深月/出版社:文藝春秋
鍵のない夢を見る鍵のない夢を見る
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-05-16

2012年上半期の直木賞受賞作。短編集。

■12位 パラダイス・ロスト
著者:柳広司/出版社:角川書店
パラダイス・ロストパラダイス・ロスト
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2012-03-24

『このミステリがすごい!2013』16位。スパイミステリのD機関シリーズ3作目。

■13位 誰かが足りない
著者:宮下奈都/出版社:双葉社
誰かが足りない誰かが足りない
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2011-10-19

2012年本屋大賞7位。2011年刊。

■14位 三匹のおっさん ふたたび
著者:有川浩/出版社:文藝春秋
三匹のおっさん ふたたび三匹のおっさん ふたたび
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-03-28

『三匹のおっさん』の続編。

■15位 ナミヤ雑貨店の奇蹟
著者:東野圭吾/出版社:角川書店
ナミヤ雑貨店の奇蹟ナミヤ雑貨店の奇蹟
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-03-28


■16位 夜の国のクーパー
著者:伊坂幸太郎/出版社:東京創元社
夜の国のクーパー夜の国のクーパー
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-05-30


■17位 蜩ノ記
著者:葉室麟/出版社:祥伝社
蜩ノ記蜩ノ記
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-10-26

2011年下半期の直木賞受賞作。時代小説。2011年刊。

■18位 ルーズヴェルト・ゲーム
著者:池井戸潤/出版社:講談社
ルーズヴェルト・ゲームルーズヴェルト・ゲーム
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-02-22

『下町ロケット』で2011年上半期の直木賞を受賞した池井戸潤の作品。

■19位 桐島、部活やめるってよ
著者:朝井リョウ/出版社:集英社(文庫)
桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)
価格:¥ 500(税込)
発売日:2012-04-20

2010年に刊行された第22回小説すばる新人賞受賞作の文庫化。

■20位 道化師の蝶
著者:円城塔/出版社:講談社
道化師の蝶道化師の蝶
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2012-01-27

2011年下半期の芥川賞受賞作。同時受賞した田中慎弥『共喰い』がAmazonの2012年年間ランキング[文芸・文庫・新書・ビジネスほか]で2位とよく売れたのに対して、難解と定評のあった円城塔の受賞作がよく読まれたというのは意外な印象。

★コミック部門

■1位 俺物語!! 1巻
著者:アルコ/レーベル:マーガレットコミックス
俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)
価格:¥ 420(税込)
発売日:2012-03-23

『このマンガがすごい!2013』オンナ編1位。

■2位 式の前日
著者:穂積/レーベル:フラワーコミックス
式の前日 (フラワーコミックス)式の前日 (フラワーコミックス)
価格:¥ 450(税込)
発売日:2012-09-10

『このマンガがすごい!2013』オンナ編2位。

■3位 月刊少女野崎くん 1巻
著者:椿いづみ/レーベル:ガンガンコミックスONLINE
月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)
価格:¥ 500(税込)
発売日:2012-04-20

『俺様ティーチャー』の椿いづみの作品。

■4位 空と原
著者:中村明日美子/レーベル:EDGE COMIX
空と原 (EDGE COMIX)空と原 (EDGE COMIX)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2012-05-19

『このマンガがすごい!2013』オンナ編36位。

■5位 森薫拾遺集
著者:森薫/レーベル:ビームコミックス
森薫拾遺集 (ビームコミックス)森薫拾遺集 (ビームコミックス)
価格:¥ 651(税込)
発売日:2012-02-15

『エマ』『乙嫁語り』の森薫の短編集。

■6位 君に届け 17巻
著者:椎名軽穂/レーベル:マーガレットコミックス
君に届け 17 (マーガレットコミックス)君に届け 17 (マーガレットコミックス)
価格:¥ 420(税込)
発売日:2012-09-25

『このマンガがすごい!2010』オンナ編2位。

■7位 部活の後輩に迫られています
著者:腰乃/レーベル:ビーボーイコミックスDX
部活の後輩に迫られています (ビーボーイコミックスDX)部活の後輩に迫られています (ビーボーイコミックスDX)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2012-02-10

ボーイズラブ。

■8位 きのう何食べた? 6巻
著者:よしながふみ/レーベル:モーニングKC
きのう何食べた?(6) (モーニング KC)きのう何食べた?(6) (モーニング KC)
価格:¥ 600(税込)
発売日:2012-05-23

『このマンガがすごい!2009』オトコ編9位。

■9位 百姓貴族 2巻
著者:荒川弘/レーベル:ウィングス・コミックス
百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2012-02-25

『銀の匙 Silver Spoon』の元ネタ的エッセイマンガ。

■10位 テルマエ・ロマエ 5巻
著者:ヤマザキマリ/レーベル:ビームコミックス
テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2012-09-25

第3回マンガ大賞受賞作。『このマンガがすごい!2011』オトコ編2位。

■11位 大奥 8巻
著者:よしながふみ/レーベル:ジェッツコミックス
大奥 8 (ジェッツコミックス)大奥 8 (ジェッツコミックス)
価格:¥ 690(税込)
発売日:2012-09-28

第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作。

■12位 乙嫁語り 4巻
著者:森薫/レーベル:ビームコミックス
乙嫁語り 4巻 (ビームコミックス)乙嫁語り 4巻 (ビームコミックス)
価格:(税込)
発売日:2012-05-12

『このマンガがすごい!2011』オトコ編6位。

■13位 バクマン。 20巻
著者:小畑健/レーベル:ジャンプコミックス
バクマン。 20 (ジャンプコミックス)バクマン。 20 (ジャンプコミックス)
価格:¥ 420(税込)
発売日:2012-07-04

『このマンガがすごい!2010』オトコ編1位。最終巻。

■14位 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 1巻
著者:谷川ニコ/レーベル:ガンガンコミックスONLINE
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)
価格:¥ 500(税込)
発売日:2012-01-21

『このマンガがすごい!2013』オトコ編16位。

■15位 花のズボラ飯 2巻
著者:水沢悦子/出版社:秋田書店
花のズボラ飯(2)花のズボラ飯(2)
価格:¥ 945(税込)
発売日:2012-03-08

『このマンガがすごい!2012』オンナ編1位。

■16位 黒執事 13巻
著者:枢やな/レーベル:Gファンタジーコミックス
黒執事(13) (Gファンタジーコミックス)黒執事(13) (Gファンタジーコミックス)
価格:¥ 590(税込)
発売日:2011-12-27


■17位 ちはやふる 18巻
著者:末次由紀/レーベル:BE LOVE KC

2012年11月に読んだ本

2012年12月01日 01時54分31秒 | 本と雑誌
2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3702ページ
ナイス数:94ナイス

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編感想
1巻に比べてずいぶんと読みやすくなった。ほぼファンタジー世界内で展開している点も良かった。構成など甘いところも多く、ドラゴン退治が余技に感じたが、それでも1巻に比べれば(笑)。ダークエルフの扱いの酷さもねえ・・・。(☆☆☆☆)
読了日:11月7日 著者:柳内 たくみ
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者4 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者4 (講談社ラノベ文庫)感想
相変わらずよくできているとは思う。ただ全体に真面目すぎるかなあと。3巻が展開的にはじけていたというのはあるだろうが、ちょっと堅苦しさを感じた。それが今風なのかもしれないけどね。(☆☆☆☆☆)
読了日:11月8日 著者:榊 一郎
麒麟の翼 (特別書き下ろし)麒麟の翼 (特別書き下ろし)感想
文句のつけようのない良質のエンターテイメント。『真夏の方程式』に続けてややテーマ性が濃い気がするけれども、それに引きずり込まれることなく高い完成度を誇っている。ただ最後のページをめくった直後の自炊に関する文章は無粋な感じが。もう少し掲載する場所を考えて欲しかった。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:11月13日 著者:東野 圭吾
ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)感想
なにこのエロ小説(笑)。ライトノベルじゃないことは確かだけど、メタフィクションとしては読めるって感じかな。読み終わった直後は筒井も歳取ったかと思ったが、しばらく経つと、最近のラノベにはない面もあって、これはこれでありかなあとも。でも、これをラノベと言うのはラノベに失礼すぎ。(☆☆☆)
読了日:11月14日 著者:筒井 康隆
白銀ジャック (実業之日本社文庫)白銀ジャック (実業之日本社文庫)感想
著者が楽しんで書いているのが伝わってくる。いっその事ミステリではなく、純粋なスポーツものでもいいのに。東野作品にしてはキャラクターの立て方が良くなかったのは残念。(☆☆☆☆)
読了日:11月15日 著者:東野 圭吾
本当は謎がない「幕末維新史」 幕府再生はなぜ失敗したのか? (ソフトバンク新書)本当は謎がない「幕末維新史」 幕府再生はなぜ失敗したのか? (ソフトバンク新書)感想
読みやすいのは長所だが、読むに足るかは相当に疑問。歴史上の人物を評するのは、限られた史料という制約があるゆえにどうしても傲慢な見方に陥りやすい。それを避ける様子も乏しく、著者の放言を垂れ流されているようにも感じる。あくまでもひとつの説として読み飛ばすにはいいけど。(☆☆☆)
読了日:11月16日 著者:八幡 和郎
光圀伝光圀伝感想
これだけの厚さを一気に読ませる力量、特にキャラクターの立て方は美事(笑)。ただ同世代や上の世代との関係の描き方に比べ、下の世代との関係がもうひとつだった感はある。これは冲方に限らず、他の作家でもよく見られる傾向だけれど。紋大夫がもう少し魅力的だったら、傑作になり得たかもしれない。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:11月21日 著者:冲方 丁
魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?感想
「謎解きは~」に比べてもミステリ色は薄め。ユーモアミステリはキャラクター小説でもあるわけだけど、キャラクターの立て方がもうひとつという印象。ユーモアに関してはさすが手慣れた感じだけに、惜しい作品かなあ。(☆☆☆☆)
読了日:11月23日 著者:東川 篤哉
下町ロケット下町ロケット感想
直木賞受賞作は大当たりか大外れするって印象があるけど、これは前者。テンポも良く、キャラの配置も見事。テーマ的にもう少し理系寄りの方が好みに感じたが、それだと読者が絞られてしまうかもしれないので、これはこれで良かったのだろう。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:11月27日 著者:池井戸 潤
クローバー・レイン (一般書)クローバー・レイン (一般書)感想
著者の書店・出版社系の作品はあらかた読んでいるが、エピソード描写の巧みさに比べて、ストーリー面では物足りなさを感じていた。それだけに本書を読んで驚いた。一本調子なところは残るものの、キャラの配置などは素晴らしく、構成もしっかりしている。『舟を編む』よりもはるかに楽しめた(笑)。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:11月28日 著者:大崎梢

読書メーター




久しぶりに月間10冊に到達。とはいえ、このペースでも年間120冊だから、当初の目標であった150冊にも届かない計算となる。まあそれでも読めるときに1冊ずつ読んでいくしかないわけで。

今月は採点が甘いかなあと思いつつ、☆7つが3作品。
『新参者』に☆8をつけたが、『麒麟の翼』もそれに劣らぬ作品。構成の巧さ、バランスの良さが際立っているように感じる。

『光圀伝』は後輩問題の記事でも触れたが、少々の難点があってもぐいぐいと読み手を引き込む力は素晴らしい。『天地明察』も細部には欠陥があったが、それをものともしない魅力があった。次はどんな歴史ものを書いてくれるのか期待したい。

『クローバー・レイン』の☆7つはかなり甘いかなあと思ったが、『舟を編む』にがっかりした反動ということで(笑)。大崎作品はこれまでも書店を舞台とした連作ミステリの成風堂シリーズや本書と同じ出版社を舞台にした『プリティが多すぎる』など、出版関連の作品を読んできた。短編に比べて長編に難を感じていたが、そんな思いを払拭する出来だった。

『下町ロケット』も評判に違わぬ出来ではあったが、お仕事ものの場合、有川浩の作品が基準となってしまうのでどうしても評価が辛くなる傾向があるかもしれない。後輩問題で書いた上下関係の部分で言えば、本書は恐ろしいほど何もしていない。状況が危機を解決してくれただけで、具体的に上の人間が下の人間をフォローする場面はほとんどなかった。本筋とは関係ないとはいえ、ここまで潔いとそれはそれでいいのかもしれないが(笑)。

年内に読んでおきたい本がいくつかあるが読めるかどうか。図書館の返却期限のような締切がないと、手を付けるきっかけをつかめなかったりする。なんとかしないとなあ……。

2012年10月に読んだ本
2012年9月に読んだ本
2012年8月に読んだ本
2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年11月に読んだコミック

『GIANT KILLING』24-25巻(ツジトモ)
『僕らはみんな河合荘』3巻(宮原 るり)
『ヨコハマ買い出し紀行』1-14巻(芦奈野 ひとし)
『けいおん! College』(かきふらい)
『けいおん! Highschool』(かきふらい)
『高杉さん家のおべんとう』6巻(柳原 望)
『ラストイニング』35巻(中原 裕 神尾 龍)
『森田さんは無口』4巻(佐野 妙)
『GA -芸術科アートデザインクラス-』5巻(きゆづき さとこ)
『ゆるゆり』9巻(なもり)
『咲日和』2巻(木吉 紗 小林 立)
『第七女子会彷徨』5巻(つばな)

計26冊。全体的に質が高く、読みたい作品が読めたという印象。

これまで読む機会がなかった『ヨコハマ買い出し紀行』。もっと早く読んでおくべきだったと改めて痛感した。
絵や構成の力によって、言葉に頼らずとも様々なものが伝わってくる。マンガとして一級品。
描かれた世界観は、滅びゆく文明を従容と人々が受け入れようとしている時代。80年代まではこうした世界観はほとんど提示されていなかったと思うので、先駆けのような作品だろう。
アフタヌーン繋がりということもあり、『ああっ女神さまっ』や『神戸在住』を思い浮かべることもしばしば。バイク乗りの感性ってマンガにちゃんと表れるしね。
明確なストーリーがなく、エピソードの集積で時間の経過を描くという意味では「空気系」の元祖のような作品でもある。作中に登場しなかった「先生」の不在という点でも空気系的だろう。

『第七女子会彷徨』は人それぞれの認識の差異を扱ったものが多い。本来、様々なレベルで世界の見え方は個人個人によって異なるし、そのときの状況次第でも異なる。
同じ映画を見て、感想が異なるのは思考の差異と言えるが、見えたものも人それぞれ異なるだろう。例えば、役者の表情に目が行く人もいれば、風景ばかり見ている人もいる。何を優先的に見て、何を見ないのかこそが個性とも言える。
『GA -芸術科アートデザインクラス-』にもそうした視点が描かれることがあるが、それこそが芸術の基礎だろう。ものの見方、認識の差異こそが芸術の存在する基盤とも言える。
そうした違いを前提に、それをどう埋めていくのかがフィクションにおいても大切だと思う。『光圀伝』以来書いてきた後輩問題における上の世代から下の世代へのアプローチの試行錯誤もまたそうした差異を埋めるためにあると言えるだろう。(同時に、昔は良かったといったノスタルジーに浸ってばかりいることは、下の世代に対するアプローチの拒否とも見なすことができるだろう。)


2012年10月に読んだ本

2012年11月01日 21時46分13秒 | 本と雑誌
2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2018ページ
ナイス数:77ナイス

GJ部(9) (ガガガ文庫)GJ部(9) (ガガガ文庫)感想
卒業だけど、らしい終わり方。部長(前部長かw)はこの最終巻読めないね(笑)(☆☆☆☆☆)
読了日:10月3日 著者:新木 伸
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者3 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者3 (講談社ラノベ文庫)感想
相変わらず、手堅い面白さをキープしている。ネタの広がり具合もいい感じ。新ヒロイン登場の伏線かと思わせておいて、そう落とすかと思わず唸った展開も○。(☆☆☆☆☆)
読了日:10月5日 著者:榊 一郎
きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史感想
タイトルと着眼は秀逸だが、牽強付会の印象が強く残った。修士号を取っていてコレとはと思ってしまう。良妻賢母にせよ社会システムからの圧力は確かにあるが、一方で女性自身がそれを望んだという面もあった。個々の事例についてつぶさに検証していかないと、すべて社会が悪いで終わってしまう。家事への意欲が低くても経済力のある男性の方がその逆よりも、社会的にも女性の側からも遥かに求められている現状があり、そこに風穴を開けないと大きな変化は望めない。もう少しそうした点に示唆を富む内容であればよかったのに。(☆☆☆)
読了日:10月11日 著者:山尾 美香
ケルベロスの肖像ケルベロスの肖像感想
ミステリではなく因縁劇。それは構わないのだけれど、シリーズのみならず桜宮サーガを数多く読んでいてもなお、描こうとした「業」についていけず、どうにも浅薄な内容に感じられてしまった。シリーズ完結ということで、オールキャストで盛り上げたが、物語自体は盛り上がることもなくあっさりとした終わり方となった。海堂尊って、当たればデカいけど、空振りも多い作家って印象だね(笑)。(☆☆☆)
読了日:10月19日 著者:海堂 尊
戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢感想
戦後日本の歴史研究に軍事的な視点が不足していることについては同感で、社会的な空気に左右される部分が非常に色濃い歴史学らしいと思う。論理展開もしっかりしていて非常に興味深かった。もっと軍事学的観点から照射して欲しい。また、あとがきにある本書に書かれなかった点についても読んでみたい。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:10月22日 著者:西股 総生
舟を編む舟を編む感想
初、三浦しをん。本屋大賞受賞作ということもあり、期待値が高すぎたせいか、物足りず。辞書作りが題材なので本好きの評価が甘くなったのか。これなら欠点も多かったけれど、同じ出版社が舞台の『プリティが多すぎる』の方が印象的だったかもしれない。主人公の造型がハーレム系ラブコメの安直さよりもひどく感じてしまったしなあ・・・。(☆☆☆)
読了日:10月27日 著者:三浦 しをん
サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)感想
滅亡しつつある世界観は悪くない。ストーリー、キャラクター、文体などもよく描かれている。ただ、「紙の本」であることがテーマにしっかりと結びついているのはコトウさんの話くらいで、物足りなさも感じた。私自身、本に埋もれて暮らしているが、それほど「紙の本」にこだわりを持っていないせいかもしれない。もう少し、その辺りを強く印象付けるものが欲しい。(☆☆☆☆)
読了日:10月31日 著者:紅玉 いづき

読書メーター




先月に引き続き7冊。残り2ヶ月をこのペースで読むと年間80冊と酷い数字になってしまう。なんとかしたいけれど、なんとも難しいところ。

核戦争後の世界というと、ひとむかし前は『北斗の拳』や『AKIRA』など生命力溢れた作品が印象的だったが、『サエズリ図書館のワルツさん』の描く世界は、滅びを受け入れる黄昏的な世界観が味わい深い。『人類は衰退しました』も明るさはあるものの基本的には似た路線だろう。社会の空気の反映でもあるが、たとえ滅びるにしてもしみったれたものではなく、顔を上げて生きようとする姿勢が心地よく感じる。決して肩肘張ろうとはしないけど。

本屋大賞は第6回まではノミネート作のうち読んだのが1~3冊。第7回第8回は10冊のうちの半数の5冊。そして、今年の第9回は受賞作の『舟を編む』で4冊目。2位以下に大差をつけての受賞ということもあり、かなり期待していただけに非常に残念だった。
三浦しをんは読書メーターでも非常に人気の作家で、以前から読みたいと思っていた。辞書作りをテーマとした作品ということもあり、『舟を編む』は初めて読む良いきっかけになるはずだったのだが。
感想にも少し触れたが、キャラクターに魅力がなかったことが楽しめなかった最大の要因だった。例えば、主人公。コミュニケーション不全なのに、簡単にヒロインに惚れられる。どこにそんな魅力があるのか、さっぱり伝わってこない。ヒロインも外見以外に魅力を感じられなかったが。
ライトノベルに限らず、サブカル系の作品ではキャラクターの魅力をどう伝えるかに多大な熱意が注がれている。その進化の果てに、重層的に記号化されたキャラクター像が生み出され、理解するためのリテラシーが必要とされるまでになってしまった一面もある。
そんな文化を知っていると余計に、ただ真面目なだけのキャラクター像に魅力を感じなくなってしまう。『神様のカルテ』も似たような印象だが。

ハーレム系ラブコメの主人公で、家事、特に料理が普通に出来るキャラクターといえば、柾木天地や衛宮士郎が思い浮かぶが、こうした主人公の魅力を引き出すひとつのスキルとして料理ができることが使われている。
『きょうも料理』は主に明治以降の主婦業について書かれたものだが、終盤にあった「男の料理」に対する考察はそれをメインに著してもらいたいと思わせるものだった。料理人の料理やいかにも男っぽい男の料理ではない、家事としての男の料理の意識の変遷とその背景は興味深い。もちろん、それに対する女性の視線が変化したのかどうかも気になるところだ。
感想に書いたように、「家事への意欲が低くても経済力のある男性の方がその逆よりも、社会的にも女性の側からも遥かに求められている現状」に将来変化が訪れるのかどうか。今の日本では難しそうに思うが、現在のライフスタイルが今後も成り立っていけるのかもまた難しいと感じる。
社会とは基本的にどこかにシワ寄せをすることで成立しているものだが、いつかはそれが破綻し、急激な変化をもたらす。地球的規模でのシワ寄せを思えば、その破綻は滅びにも繋がりかねない。滅びつつある中をそれでもなんとか生きていくという認識が今の日本に広がっているのかもしれない。

『戦国の軍隊』は良書。この観点での研究をもっと読んでみたい。

2012年9月に読んだ本
2012年8月に読んだ本
2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年10月に読んだコミック

『下町鉄工所奮闘記ナッちゃん東京編』3巻(たなかじゅん)
『グラゼニ』6巻(アダチ ケイジ)
『ラストイニング』34巻(中原 裕 神尾 龍)
『あさひなぐ』6巻(こざき 亜衣)
『はじめの一歩』101巻(森川 ジョージ)
『ダイヤのA』33巻(寺嶋 裕二)
『銀の匙 Silver Spoon』5巻(荒川 弘)
『昭和元禄落語心中』1-3巻(雲田 はるこ)
『おおきく振りかぶって』20巻(ひぐち アサ)
『MIX』1巻(あだち 充)

今月は特にスポーツものばかりって感じに。『MIX』は始まったばかりでまだなんとも言えない感じ。

『銀の匙 Silver Spoon』は序盤の勢いが影を潜め、少しトーンダウン。北海道ネタ・農業ネタが薄まると、ラブコメとしてはちょっと辛い感じかな。

落語はひとりで何役もこなす話芸。噺家は男が大半だが、落語には当然女も出て来る。そういうところでの「色気」が際立っている『昭和元禄落語心中』。雲田はるこはBL系ということもあり、さすがといったところ。2巻途中から回想編となり、長々と続く様は『ベルセルク』かよ!とツッコんでしまうが、本編主人公が全く登場しない(生まれる前の話だしねえw)という意味ではその上を行くような展開。今後に期待。


2012年9月に読んだ本

2012年10月01日 01時51分10秒 | 本と雑誌
2012年9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2359ページ
ナイス数:87ナイス

審判目線 面白くてクセになるサッカー観戦術審判目線 面白くてクセになるサッカー観戦術感想
個々の判定以上にゲームコントロールが大事だなと改めて感じた。誤審はどうしても起きてしまうものだが、それを減らす努力が大切。審判個人の努力も必要だがそれだけでは限界がある。審判を増やすことが現段階では最良の方法だろう。(☆☆☆☆)
読了日:9月1日 著者:松崎 康弘
傍聞き傍聞き感想
表題作は面白かったが、他はもうひとつといった感じか。章をまたいだ唐突な場面転換が頻出したり、簡単な「謎」を展開で引っ張りすぎたりと構成面で引っ掛かりがあった。(☆☆☆☆)
読了日:9月6日 著者:長岡 弘樹
アウトブレイク・カンパニー~萌える侵略者2 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー~萌える侵略者2 (講談社ラノベ文庫)感想
「軽さ」という重さを感じさせてくれる作品。もちろん、エンターテイメントに徹して重くはならない。その手加減はさすが。(☆☆☆☆)
読了日:9月7日 著者:榊 一郎
ナミヤ雑貨店の奇蹟ナミヤ雑貨店の奇蹟感想
東野圭吾のSF系の作品はどうもしっくりこない。プロットなどはさすがだけど、出来の悪いSFを読まされている感じが否めない。SFとして読まなければいいと分かっていても難しい。(☆☆☆)
読了日:9月14日 著者:東野 圭吾
鬼談百景 (幽BOOKS)鬼談百景 (幽BOOKS)感想
1話あたり1~5ページで99編。もう少しオチの欲しいものもあったが、怪談としてはこのくらいが丁度いいのだろう。印象に残ったのは「さずかりもの」。伝奇ホラーとして膨らませて欲しいと思った。他とは明らかに異質だし。あと、「街灯」は「悪夢の棲む家」を思い起こさせる作品だった。(☆☆☆☆☆)
読了日:9月20日 著者:小野不由美
残穢残穢感想
安原クンなら3日で調べてくれたのに!w というか、小野不由美版『銀婚式物語』みたいに読んじゃったので、メインストーリーの方はまあこんなものかなあという感じも。リアルとの境界をぼかした演出は、『鬼談百景』とのリンクもあって面白かったけれど、終盤にもう少し何かが欲しかったような。読者にも「触穢」が、みたいな?(よくあるオチだけどねw)(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月21日 著者:小野 不由美
ジェノサイドジェノサイド感想
ツッコミどころがないわけではないが、エンターテイメントとしては非常に完成度が高く、良くできた作品。新味のないネタをうまくパッケージしたなあという印象で、良くも悪くもハリウッドっぽいと言えるだろう。これでこのミス1位?と思わないでもないが、この内容で最後まで読ませ切る力量が凄かったって感じかなw(☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月28日 著者:高野 和明

読書メーター




7冊と数は少ないがまずまず充実していたかも。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『ジェノサイド』は題材としてはSFだけど、あくまでもエンターテイメントとして描かれている。それはいいのだけれど、それがうまく機能しているかというと、前者は成功しているとは言い難い。
東野圭吾は理系出身だし、一度ちゃんとSFを書いてみて欲しいと思うのだけど、これまで書かれたSF的作品は私が読んだ分はどれもSFとは呼べないものだった。ミステリとSFはそんな遠いジャンルじゃないし、書けなくはないと思うのに。需要はないかもしれないけどw

SFとSF的との差は、「驚き」の有無かなと考えている。「新しさ」だとか「センス・オブ・ワンダー」と言い換えても良い。今までにない新しいモノを見せてくれるかどうか。
私が伊藤計劃の作品で、『虐殺器官』を評価せず、『ハーモニー』を評価しているのはその一点に尽きる。『虐殺器官』はどうしても「メタルギアソリッド」のイメージが強く、テーマ的にも新しさを感じられなかった。『ハーモニー』の題材自体は極めて斬新とは言わないけれど、世界の描き方、演出面で新しさを見い出せたことが高評価に繋がった。

『ジェノサイド』はネタの中核がSFだけど、新しさは全く感じない。もちろん、SFプロパーの作品だって新しさを常に感じられるわけでもないし、繰り返しになるが、あくまでもエンターテイメントに徹した作品だから、それ自体は悪いことではない。むしろSF側から描こうとすれば、緻密さなどを高める必要があってエンターテイメントとしての爽快感には欠けるようになるかもしれない。
読後に最初に思ったのは、ラストシーンのあとに日本に核ミサイルを叩き込むのがベストエンドだろってことだったしw
ツッコミどころが満載でも最後まで読ませ切るというのが、ある意味最良のエンターテイメントだろう。このミス1位はどうかとも思うけれど、作品の力を評価するというスタイルは肯定すべきかなとも思う。

感想はちょっと批判的に書いた感じだけど、『残穢』は好きな作品。現実との境界をボカしたものって好みだったりする。「ガンパレード・マーチ23」とか。
基本的にホラーを怖いと思わないので、良い読者ではないのだろうけど。自分の部屋の中に出てきたG(黒いアレ)が幽霊だったらどれほど良いかw

最近は返却期限のお蔭で少し読めているわけだけど、積読の解消がまったく進まないのでなんとかしないと(汗)。

2012年8月に読んだ本
2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年9月に読んだコミック

『俺たちのフィールド』1-34巻(村枝 賢一)
『俺たちのフィールド外伝』(村枝 賢一)
『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』3巻(五十嵐 あぐり)
『ナナマル サンバツ』4巻(杉基 イクラ)
『とめはねっ! 鈴里高校書道部』10巻(河合 克敏)
『ゆるゆり』8巻(なもり)
『それでも町は廻っている』10巻(石黒 正数)
『氷菓』1巻(タスクオーナ)

「俺フィー」は連載中に読んでいたが途中までで、最後までちゃんと読んだのは初めて。今読んでもちゃんと面白いサッカー漫画。


2012年8月に読んだ本

2012年09月02日 20時05分18秒 | 本と雑誌
8月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:603ページ
ナイス数:49ナイス

プリティが多すぎるプリティが多すぎる
面白い題材だけに、展開にメリハリが欠ける印象で残念に感じた。連作短編での魅力が長編では発揮できないのかと。しかし、終盤「ひねり」はないがストレートに情感が描かれ、引き込まれるものがあった。余計に惜しいとも言えるが、一読の価値ある作品。(☆☆☆☆☆)
読了日:08月15日 著者:大崎 梢
きみはいい子 (一般書)きみはいい子 (一般書)
児童虐待をテーマとした連作短編集。全体に膨らみに欠け、文芸としての厚みは感じられない。だが、ストレートな全力勝負といった力強さが魅力ともなっている。一本調子になりそうな点は連作短編ということでうまくカバーしている。一気に読ませるものの、その分テーマ性の深さを伝え切れているとも言い難く、なんとももったいない作品。(☆☆☆☆)
読了日:08月24日 著者:中脇 初枝

2012年8月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター




わずか2冊(´Д⊂

2012年7月に読んだ本
2012年6月に読んだ本
2012年5月に読んだ本
2012年4月に読んだ本
2012年3月に読んだ本
2012年2月に読んだ本
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年8月に読んだコミック

『あっちこっち』5巻(異識)
『へうげもの』15巻(山田 芳裕)
『鬼灯の冷徹』5巻(江口 夏実)
『パーツのぱ』1-6巻(藤堂 あきと)
『侵略!イカ娘』12巻(安部 真弘 )
『高校球児 ザワさん』9巻(三島 衛里子)
『ゆゆ式』1巻(三上 小又)
『グラゼニ』5巻(アダチ ケイジ)
『ダイヤのA』31-32巻(寺嶋 裕二)

15冊。
『パーツのぱ』は適度な毒があり、面白かった。ただ時折ストーリー性を出そうとするのはどうかなと。