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2011年に読んだ本

2012年01月01日 16時13分16秒 | 本と雑誌
奇天さんの2011年の読書メーターまとめ

読書メーターでの冊数は150だが、コミック等を除くと142冊で2010年の150冊に届かなかった。

☆評価は、

☆8 ・・・ 3冊
☆7 ・・・ 13冊
☆6 ・・・ 22冊
☆5 ・・・ 35冊
☆4 ・・・ 32冊
☆3 ・・・ 26冊
☆2 ・・・ 10冊
☆1 ・・・ 1冊

平均は4.57。採点し直すともう少し低くなるかもしれない。

☆8の3冊は、『伏 贋作・里見八犬伝』『数学ガール/乱択アルゴリズム』『新参者』だが、今なら前2者は☆7とつけるだろう。『数学ガール』はシリーズに対してというべき評価だ。

2011年に読んだ本の評価で最高点は『新参者』となる。作品の完成度からいってこの評価は妥当だと思うが、印象という意味ではいくつかのシリーズものが思い浮かぶ。

「フルメタル・パニック!」「迷宮街クロニクル」「GJ部」「羽月莉音の帝国」「ログ・ホライズン」といった作品だ。

「フルメタル・パニック!」は一世代前のライトノベルといったところはあるが、正統派のエンターテイメントとしての完成度は最近のライトノベルを遥かに凌駕している。ストーリーの魅力を堪能できる作品だった。

RPGをベースとしたライトノベルは近年優れた作品が発表されているが、和製RPGと異なる感覚を有する「ウィザードリィ」そのままに独特の群雄劇を描いたのが「迷宮街クロニクル」だ。個々の作品の評価は高くないが、何度も読み返した作品だった。

巻を重ねるごとに完成度が上がり、1話4ページという「四コマ小説」という新しいスタイルを確立したのが「GJ部」。文化祭などの学園の定番ネタをあえて描かず、自制の利いたところも「四コマ」的だ。

「羽月莉音の帝国」は当初ライトノベル的であろうとして読みにくさを感じさせたが、中盤以降圧倒的な速度感でエンターテイメントとしての魅力が花開いた。若者に向けられた教条的な側面があるが、これを楽しめるのはある程度歳を取ってからかもしれない。

「ログ・ホライズン」は「ソードアート・オンライン」と似たような設定だが物語的な「ソードアート・オンライン」に対して世界観に重きを置いているあたりが著者の個性だろう。これらは異世界に召喚されるファンタジーというスタイルの新たな流行系とも言える。

もうひとつ忘れてはならないシリーズが「ゴースト・ハント」。加筆修正版であり、味わいとしては旧シリーズより上というよりも異なるものといった感じ。できることならば新作が読みたいと強く思うものとなった。

ライトノベルではないが、「みをつくし料理帖」も2011年に読んだ作品の中で強い印象を残した。時代小説で、1冊に4話の短編で構成されている。料理がキーワードではあるが、この手のコミックのように料理で事件を解決するのではなく、あくまでも短編の芯になっているに過ぎない。滋味に溢れた味わいが魅力の作品だ。

これらシリーズものを除いた☆7つの作品は、『シアター!〈2〉』『浮世女房洒落日記』『県庁おもてなし課』『涼宮ハルヒの驚愕(前後編)』の5冊。

有川浩の安定感はもやは語らなくてもと思うほど。純粋に楽しめる上質のエンターテイメント作品だ。

木内昇は直木賞受賞を機に読み始めた作家だが、時代を描く細部の手際が素晴らしい。これまで江戸、戦後すぐ、明治初期を舞台にした作品を読んだがどれも臭いまでが伝わるような筆致だ。一方で、ストーリー性が薄めなのも好みと言える。

『涼宮ハルヒの驚愕』の発売はライトノベル界にとっての「事件」のようなもの。読めたというだけで採点が甘くなったかもしれない。それでも、著者のやろうという試みや意欲が伝わってきて、ただ漫然と書いていても売れるシリーズでこれだけのことを成し遂げたことに敬意を払いたい。続きがいつになるかは不安が残るけど(笑)。




今年の目標。トータルでは身の丈に合った150冊。だが、月10冊のノルマをもう少し強く意識して今年は読みたいと思っている。ライトノベルも溜まりに溜まっているが、バラエティ豊かに読みたいというのも目標だ。
2011年はコミックをかなり読んだが、諸事情(?)によりほとんどを読書メーターには登録しなかったため12月中旬よりコミック類の登録をコミックダッシュに変更した。感想は書いたり書かなかったりになると思う。こちらは年間250冊程度を目標にしたい。




2011年12月に読んだ本
2011年11月に読んだ本
2011年10月に読んだ本
2011年9月に読んだ本
2011年8月に読んだ本
2011年7月に読んだ本
2011年6月に読んだ本
2011年5月に読んだ本
2011年4月に読んだ本
2011年3月に読んだ本
2011年2月に読んだ本
2011年1月に読んだ本


2011年12月に読んだ本

2012年01月01日 14時22分15秒 | 本と雑誌
12月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2931ページ
ナイス数:93ナイス

羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫)羽月莉音の帝国 9 (ガガガ文庫)
全12巻の割にハイペースと思ったら、次巻で完結だとか。飛ばし過ぎにも感じられるが、ジェットコースター感覚は最高と言ってよい。それにしても、恒太がごく稀に良い事を言ってたりするのに驚いた(笑)。まあ恒太だから言わせられることだろうけど。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月01日 著者:至道 流星
宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)
定期的にこの手の科学入門書・解説書でヒット作が出るけど、みんなちゃんと読んでいるのかな?(笑)目新しい知見はあまりなかったものの、イメージをつかむための比喩などはなかなか良かった感じ。もう少し専門書寄りなものを読んでみたいと思ったけど、それだと読むのに時間が掛かるのだよね・・・(☆☆☆☆☆)
読了日:12月05日 著者:村山 斉
漂砂のうたう漂砂のうたう
木内昇を読むのは3冊目となるが、直木賞受賞作だけあっていちばんつまらない(笑)。同じ時代の転換点を描いた『笑い三年、泣き三月』くらいの軽さの方が著者の持ち味という気がする。ラストの落ちも仕掛けの時点でネタがバレているのだからもう少し捻るか、むしろすっぱり切った方が良かったかもしれない。(☆☆☆☆☆)
読了日:12月07日 著者:木内 昇
銀婚式物語銀婚式物語
『結婚物語』『新婚物語』をリアルタイムで読んだ身としては25年という月日に驚愕さえ感じてしまう。歳取るわけだ。『もいちどあなたにあいたいな』あたりがもうひとつだっただけに、久しぶりに素子節を堪能した気がする。最初の2章のネコ莫迦っぷりに恐れをなしたけれど(それでもファージは懐かしかった)、その後はいろいろと身近な話題が多くて楽しく読むことができた。『金婚式物語』は・・・(☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月13日 著者:新井 素子
Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった (現代ビジネスブック)Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった (現代ビジネスブック)
日本の現状に危機感を持ち、ネットを通じてそれを変えていこうというスタンスの対談集だけれど、あと20~30年日本を変えたくない勢力、日本を食いつぶしても自分たちの既得権を守りたい勢力の強さをかえって知らされるような読後感だった。新聞やTVといったマスメディアはその勢力の代弁者だしね。それに対抗するためのデザインを描くことがネットを通じてできるかどうか。はなはだ難しそうだ。(☆☆☆☆☆)
読了日:12月14日 著者:田原 総一朗
いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)
新書には当たり外れがあるのは常だが、ここまでひどいものと出会うのも珍しい。一貫して「誰に向かって書いているか意識しろ」と言ってはいるのだが、この本自体が誰に向けて書いているのか見えてこない。全く文章が書けない人が対象なのか、もっとうまく書きたい人なのか、プロのライター志望なのか。また、論理の展開がふらついていて論旨が明確に伝わってこない。確かに平易で読みやすい文章なので、その点では評価できるとも言えるが、おもしろくないのはいかんともしがたく、全く読む価値が感じられない一冊だった。(☆)
読了日:12月15日 著者:堀井 憲一郎
日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)日本SF精神史----幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)
SFという切り口だけれど、幕末・明治期から日本にユーモアやエンターテイメントの精神がしっかりあった(もちろん江戸期にも黄表紙などあったわけだが)ことが良く伝わってくる。日本人にユーモアのセンスがないなんて幻想もいいとこ。一方で、そんな精神を権威主義的な立場から叩き続ける歴史も描かれている。いまでもそんな偏見は決してなくなったわけではない。そんな「恨み節」も読みどころだと言えるだろう。(☆☆☆☆☆)
読了日:12月21日 著者:長山 靖生
GJ部 (7) (ガガガ文庫)GJ部 (7) (ガガガ文庫)
四コマ風というのが板についてきて安心して読める作品。キャラクターが増えてもその点は変わらず。(☆☆☆☆☆)
読了日:12月27日 著者:新木 伸
ログ・ホライズン5 アキバの街の日曜日ログ・ホライズン5 アキバの街の日曜日
タイトルから「お遊び」的な回なのかなと思っていたら、さにあらず。祭りがコミケっぽかったり、ソウジロウ親衛隊とかシロエを巡る三角関係とか「お遊び」要素もたっぷりあったけど、DDoS攻撃(?)って感じの戦いやラストの急展開はこの先をワクワクさせてくれるもので続きが早く読みたくなってくる。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月30日 著者:橙乃ままれ
GJ部(8) (ガガガ文庫)GJ部(8) (ガガガ文庫)
1話4ページという「四コマ小説」の形態が洗練され完成の域に達した感じ。安心して楽しめる作品なだけに次で完結なのは寂しいが、いいタイミングであることも事実。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:12月31日 著者:新木 伸

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター




2011年の総括はこれから記事を書く予定。

『羽月莉音の帝国』『GJ部』は次巻で完結。ガガガ文庫はずるずる続けずにうまくまとめる印象が強い。特に『GJ部』はライトノベルでしかできないような実験的な試みだっただけにどう終わらせるのか楽しみだ。

2011年11月に読んだ本
2011年10月に読んだ本
2011年9月に読んだ本
2011年8月に読んだ本
2011年7月に読んだ本
2011年6月に読んだ本
2011年5月に読んだ本
2011年4月に読んだ本
2011年3月に読んだ本
2011年2月に読んだ本
2011年1月に読んだ本


2011.12.31 つぶやきし言の葉

2012年01月01日 02時18分42秒 | Twitter