環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

IT革命と環境問題 ⑥  放送のデジタル化への懸念

2007-04-06 15:18:54 | IT(情報技術)


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総務省(旧郵政省)では、2010年末までに、「現在のアナログ方式の衛星放送、地上波、CATV」を「デジタル化」することが、すでに決まっています。
 

この計画によれば、いま使用中の「アナログ方式のテレビ受像機」のままではテレビが見られなくなるので、各家庭に普及している約1億台のアナログ・テレビ受像機の大部分が、デジタル放送受像機に切り替えられることから、大きな新規市場が創出できると期待されています。 

国民の多くが常に「景気の回復」を求めている日本では、これらの計画は魅力的かもしれませんが、規模の拡大を前提とした従来型の経済成長の考えでは、「1億台と推定され得ているのアナログ・テレビ受像機」の大部分や数1000万台に達する旧型パソコンが廃棄物となることは、火を見るよりも明らかでしょう。


消費者は、「これから普及が期待されるハイビジョン・テレビやワイド・テレビ、マルチメディア対応テレビ、デジタル対応テレビなどは、これまでのテレビに比べて消費電力が各段に大きくなる」という実際にテレビ開発にたずさわっている家電メーカーの技術者の声に耳を傾ける必要があります。

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巨大構造物と環境問題 ②  建設業界の専門家は私の疑問にどう答える

2007-04-06 07:46:10 | 巨大構造物/都市/住環境
  

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いずれの“都市”も約10万人規模、すり鉢状の巨大な人工地盤を何層にも積み重ねた構造が基本で、鉢の底が公共緑地、鉢の斜面部分が住居やオフィスなどになっているのだそうです。  

私はこのような巨大構造物の計画を聞くたびに、環境問題の意識もさることながら、「地震をはじめとする災害対策はどうするのか?」ライフラインとしての「電気をどのように供給するのだろうか?」、「水の供給は?」、「ゴミの処理、処分は?」と考えるのですが、建設関係の技術者は建物を作ることに熱心なあまり、このような構造物の中で人が仕事し、生活することを忘れてしまっているのではないでしょうか? 




私の疑問に対する回答らしきものとしてこの記事では「エネルギーの供給施設として、今、最も効率がよい燃料電池を中心にゴミ焼却発電、下水熱利用ヒートポンプ、太陽光発電、風力発電、揚水発電を利用する。また、ビルの高さが1000メートルあることから、配管や通風筒にタービンを置いて動力を回収することも考えている」と書いてあります。

このような回答では同業の“専門家”を満足させることができるかも知れませんが、建設・建築分野の素人である私は到底満足できません。はたして、このようなエネルギー供給手段でこのように巨大な構造物を設計どおりに維持できると建設業界の専門家や技術者は本当に考えているのでしょうか? 

私の答えはNOです。これらの高層建築を夢見る設計者の技術者としての見識を疑わざるをえません。このような巨大構造物の維持のためには、まさに原発や火力発電が必要となるのです。



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IT革命と環境問題 ⑤  テレビ会議はCO2を削減するか?  

2007-04-06 06:52:07 | IT(情報技術)


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NTTはIT業界の巨人ですから、その生活環境研究所という名称で多くの一般読者は疑問を持つこともなく納得してしまうでしょう。この発表は読者をミスリードします。

テレビ会議の利用がCO2やエネルギー消費削減効果を発揮すると考えられるのは、テレビ会議の利用が化石燃料を現実に代替した場合のみです。


これでは、CO2削減効果もエネルギー消費量削減効果も生じません。
 
テレビ会議の開催により、NTTの出張会議の参加者が公共交通に乗らなくなることは事実でしょうが、公共交通機関の広報担当者は、別の顧客集めのPRを行なうでしょう。この種の議論では、「企業はつねに、需要の掘り起こしに努めていること」を忘れてはなりません。


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巨大構造物と環境問題 ①  90年代の建設業界の「環境意識」

2007-04-05 09:39:16 | 巨大構造物/都市/住環境
  

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それでは、今日から「巨大構造物」と「環境問題」の関係を考えてみましょう。まず、「都市と環境問題」の大雑把な関係を考えます。1月31日のブログを開いてみましょう。

エコロジーという視点から見れば、現存する世界のどの大都市も持続可能な都市とは言えません。日本では90年代に次から次へと巨大な構造物がつくられました。当時の建設・建築分野で活動していた人々の問題意識から検証してみましょう。

次の図をとくとご覧ください。文字が小さくて記事の中身を読むのは困難ですが、写真と記事の見出しを読むだけで、当時の大手建設会社(一般にゼネコンと呼ばれる)や建設省(現在は国土交通省に業務が引き継がれている)の「環境問題に対する認識」を容易に知ることができます。



これは1992年6月6日付けの日本経済新聞の記事ですが、この記事のタイトルは「環境に優しい都市を作ろう」となっていることに注目してください。この記事によりますと、

「地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出を抑え、“環境に優しい都市”作りをめざす技術開発計画が相次いで浮上してきた。建設省建築研究所は『環境に優しい都市』をめざして、竹中工務店と共同で地球温暖化対策に重点を置いた高さ約1200メートルの超高層都市『エコシティ・スカイモデル』構想をまとめた。CO2排出の少ない都市・地域構造の形成などをうたった政府の地球温暖化防止行動計画に沿ったもの。CO2排出抑制には建物の外面を緑で覆ったり、都市を地下に移して地上を緑地にする考えもあるが、今回の調査研究で超々高層都市も選択肢の一つとして有望なことがわかった」

と書かれています。

この記事には、また、「国内の大手建設、鉄鋼、電気、重工業企業20社からなるエンジニアリング振興協会の超高層都市空間システム分科会は『東京エコポリス・シティ1000』の構想をまとめ、1992年6月の地球サミットの時に同時開催していた国際建築アカデミー主催のエコポリスコンペティションに、この構想を出展した」とも書いてあります。

そして建設地としては両都市とも首都圏を想定しており、超高層にすることで、広大な緑地を生みだし、CO2の排出を抑制するとともに、都市廃熱などによるヒートアイランド(熱の島)を緩和するのだそうです。

注意しなければならないのはこの記事に出てくる“環境に優しい”という言葉の意味するところが二酸化炭素(CO2)の排出を抑える、緑地を生み出す、ヒートアイランド現象の緩和という点だけだということです。

いずれにしても、これだけの要件で“環境にやさしい”とする判断基準はこの言葉を使用する人の環境問題に対する理解がいかに薄っぺらで、つけ焼き刃的な発想であるかを自ら露呈していると言わざるをえません。

たとえば、「稼働中の原発はCO2 を排出しない」というのは事実ですが、だから、原発は“環境にやさしいエネルギー”だとか、“クリーンなエネルギー”だとかいうのと同程度のお粗末さです。

CO2を排出しないこと、緑地を生み出すこと、ヒートアイランド現象を緩和することは“環境にやさしい”という総合的な判断基準の必要条件のわずかな数項目に過ぎず、十分条件ではないからです。あることが“環境にやさしい”かどうかはCO2 を出すか、出さないかで決められることではありません。


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IT革命と環境問題 ④  IT革命による「部分改良」が社会全体のエネルギー消費を減らすか?  

2007-04-05 08:06:08 | IT(情報技術)


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IT革命によって物流革命が起こり、とくに「輸送の効率化」が図られることは間違いないでしょう。しかし、日本では3月16日のブログでお話したように、 「効率化」と「省エネ」の考え方が混同されています。
 
世界最高水準の燃費を誇る日本車や日本の省エネ型家電製品も、使用台数が増えれば、エネルギー総消費は増えてしまいます。技術による省エネは、 「上限を決めないかぎり、その効果は使用台数が増えることにより相殺されてしまうこと」 に気がつかなければなりません。

問題は社会全体を構成するさまざまなプロセスの「IT革命による部分改良」が、社会全体のエネルギー消費を減らすか、あるいは増やすかです。 

具体的には、IT革命により、モノ・サービスの総量が減少して、大量生産・大量消費・大量廃棄の市場経済システムの物流を支えている車両、航空便、船便、鉄道便などの交通手段が政策やシステム変更あるいは社会的要請によって削減されたら、日本社会がどうなるかです。
 
市場経済システムのもとで環境問題を矮小化し、つねに経済の持続的拡大を志向してきた日本は、物流の総量減少に耐えられるでしょうか。



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今日の決断が将来を原則的に決める

2007-04-04 14:35:04 | 市民連続講座:環境問題
   

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昨日のブログで、 3月30日に開業した「東京ミッドタウン」を取り上げました。この機会に「巨大構造物と環境問題の関係」を考える材料を提供しましょう。まずは、この問題を考えるときの原則をお話します。

今、私たちが本気で「環境保護のための行動」と「持続可能な社会の実現をめざした行動」を起こさないと、私たちの子供や孫が生きる世界が大変なことになりますし、対応を先に延ばせば延ばすほど、社会的なコストが増大することになります。これから、このことを説明します。次の図をご覧ください。

私たちが、今、直面している環境問題は「今に原因があるというよりも、私たちが数10年前に決断したことに原因がある」ということです。私たちが経済成長の拡大を求めて投資した生産設備や、そこから生産された生産物、インフラ・ストラクチャーとしての巨大ビルや高速道路などの構造物から生ずる「環境の人為負荷」の蓄積が今起こっている環境問題の主な原因なのです。

つまり、数10年前に建設した工場等の構造物が生産活動を通じて環境へ様々な廃棄物(ガス状、液状および固体状の廃棄物)を環境に排出してきました。また、私たちも生産活動から得た生産物を消費することにより、環境を汚染し、最終的に廃棄物を環境に放出してきました。そして、それらが大気を汚染し、水を汚染し、土壌を汚染してきたのです。

ですから、環境問題は人間活動に伴う資源や原料の供給量、エネルギーの消費量、水の消費量に左右され、これらの量が大気汚染物質や水質汚濁物質の排出量、廃棄物量を原則的に決めてしまうのです。このことがはっきり理解できれば、「今日の決断が数十年先の環境問題を原則的に決めてしまう」という経験則が理解されるはずです。

この経験則は人口の大小や生産規模の大小にかかわりなく、すべての国に共通する普遍の原理・原則です。この原理・原則は環境問題だけでなく、社会システム、インフラ・ストラクチャー、経営などほとんどすべての社会事象に適用可能だと思います。

つまり、私たちが、今、必要だからということで、全体を考えずに、巨大な構造物をどんどん作っていきますと、この原理・原則により、これから10年後、30年後、50年後……の環境問題が原則的に決まってしまうということです。何が決まってしまうかと言いますと、「資源/原料の供給量」、「エネルギーの消費量/大気汚染物質の排出量」、「水の消費量/水質汚濁物質の排出量」、「廃棄物の量」、「土壌汚染の程度」などです。
 
現在のように、資源の制約、エネルギーの制約、環境の制約により人間の活動が環境の許容限度に近づいてるような時に、このような巨大構造物をつくってしまいますと、どこかを犠牲にしない限り、巨大な構造物を設計どおりに機能させることができなくなります。

巨大な構造物はその一生(建設時、使用時、廃棄時)を通じて原則的に大量のエネルギー(最近の構造物では、特に電気)を要求し、大量の廃棄物を生み出します。日本は資源やエネルギーが極めて乏しいため、それらを外国から持ってこざるをえません。多くの場合、発展途上国に依存することになります。

発展途上国の人々との共存を考えると、私たちはこれまでの産業経済システムの方向性を変えなければ行き詰まるのではないかと思います。これは難しい議論ではなく、ごく当たり前の話です。


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06年のODA実績 GNI比 スウェーデン1位、日本18位

2007-04-04 11:01:57 | 政治/行政/地方分権


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今朝の朝日新聞が経済開発協力機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が4月3日に発表した「2006年の主要国のODA実績」を伝えています。国別では、DAC加盟の22カ国中、ODA実績(総額)で米国、英国に次いで3位に転落したそうです。日本が3位以下になるのは82年以来24年ぶり。スウェーデンは7位。ODA額の対国民総所得(GNI)比では、スウェーデン1位(1.03%)日本18位(0.25%)です。


「GNI比 0.7%」の援助目標は1980年の国連決議に盛り込まれ、当初の達成期限は85年でした。92年の地球サミットの行動計画「アジェンダ21」も早期達成がうたわれましたが、2001年時点の達成国はデンマーク、ノルウェー、オランダ、ルクセンブルグ、スウェーデンの5カ国だけでした。日本は19位(0.23%)でした。

人口が日本の10分の1のスウェーデンはODA(途上国への政府開発援助)でも活発に貢献しています。次の毎日新聞をご覧ください。

スウェーデンのセーベセーデルベリ外務次官は当時の毎日新聞のインタビューで、「スウェーデンは20年前(1969年)に国会でGNPの1%を開発協力にあてることを決議し、15年前(74年)にその目標を達成した」と答えています。この目標設定はスウェーデンが独自の判断で決め、その目標に向けて実行してきたのです。そして、1980年になりますと、国連が「GNI比 0.7%」の援助目標を掲げます。スウェーデンは80年以降は国連の「GNI比 0.7%」を維持してきました。

ですから、国連が掲げた「GNI比 0.7%」という援助目標を判断基準にすれば、スウェーデンは1974年から2006年まで32年間、国連の目標を達成していたことになります。一方、日本はGNI比が89年当時(当時はGNP比)の状況と06年の状況が数字の上でほとんど変わっていないことからも想像できますように、国連の目標を達成したことがないのです。



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IT革命と環境問題 ③ 「IT革命」への期待と懸念 

2007-04-04 06:58:55 | IT(情報技術)


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3月30日のブログで、 世界経済フォーラムが07年版「世界IT報告」を発表したことをお知らせしました。ITの活用状況はスウェーデンが2位、日本が14位でした。この結果を頭に置きながら、「エネルギーや環境問題」に対する ITの特性を考えてみましょう。  



スウェーデンのように「緑の福祉国家(生態学的に持続可能な社会)の実現」を21世紀前半社会のビジョンとする国では、①の特性に期待をかけます。そして、2月4日のブログ次の図が示すような成果をあげています。


しかし、日本のIT革命は、4月2日のブログ4月3日のブログが示すように、「現行経済の持続的拡大(持続的な経済成長)」という暗黙の了解のもとでの、「景気刺激策」や「経済発展の起爆剤」としての期待ですから、②の特性が導き出される可能性が高くなります。 

ITのインフラが十分に整備されれば、多くの取引がネット上で行なわれるようになります。保険契約、銀行取引、音楽・ビデオ配信、新聞・書籍の配信、電子決済などは、すべての取引がネット上で完結するので、効率化や省エネ化を図ることができますが、「モノ」の輸送だけはネット上では完結できません。  

物流システムは、IT革命がいくら進もうとも、実体経済のなかでかならず重要な地位を占めます。消費者や事業所への配送ニーズは、これまで以上に高まるでしょう。したがって、輸送エネルギーがこれまで以上に増加し、2月17日のブログ「経済、エネルギー、環境の関係」で書いたように、社会全体のエネルギー消費量を増加させる可能性があります。 


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「東京ミッドタウン」がオープンした

2007-04-03 12:42:26 | 巨大構造物/都市/住環境
  

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グーグルに「東京ミッドタウン」と入れ、クリックしました。検査結果は約2,560,000件と表示されました。

3月30日に、東京・六本木の旧防衛庁跡地にオフィスや商業施設、高級ホテルなどが入る「東京ミッドタウン」がオープンしました。東京ミッドタウンは、約10ヘクタールの敷地に都内一の高さとなる「ミッドタウンタワー」(248メートル)などビル6棟からなるそうです。



さて、これまで3ヶ月かけて環境問題の基本的な話をしてきました。私の環境論では、経済活動の本質は「資源とエネルギーの利用」であり、その結果必然的に生ずるのが「環境問題」です。経済活動は、 「その目的とする結果(経済成長)」と共に、必ず「目的外の結果」を伴う。経済活動に伴う「目的外の結果の蓄積」が環境問題です。ですから、環境問題の解決とは「持続可能な社会」を構築することです。平たくいえば「経済と環境は切り離せない」ということです。

これからは日本の具体例を引きながら環境問題の本質を考えていきましょう。「経済と環境は切り離せないこと」が理解できれば、環境問題で重要なことは、今後、何に投資をするかということです。私の環境論を支える柱の一つに「今日の決断が将来を決める」という原則があります。東京ミッドタウンの開業を機に、この原則を考えてみましょう。

 



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IT革命と環境問題 ②  乏しい環境経済・政策学会の反応

2007-04-03 11:14:12 | IT(情報技術)


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昨日のブログで、 政府は、「2000年度経済財政白書」で初めて、IT(情報技術)を「発展の起爆剤に据え、日本経済の持続的発展のための最大条件」と位置づけたことを紹介しました。2000年はマスコミに「IT革命」という言葉があふれた年でした。

2000年6月3日、当時の森喜朗首相は「日本新生プラン」を発表しました。その中に21世紀の新しい日本づくりの方向性として、IT革命を核とした新産業創出はじめとする5つの柱が盛り込まれました。


そして、7月7日には、IT革命を総合的に進めるために、「IT戦略会議」と「産業新生会議」の設置を決めました。IT戦略会議のメンバーも決定されました。


この年の秋の環境経済・政策学会で、私は「IT革命と経済の関係」を問う報告がいくつか登場することを期待しつつ、「わが国のITへの期待と環境負荷増大への懸念」と題する報告を行ないました。ところが、私の期待はまったく裏切られ、この大会で発表された142の報告のうち、IT関連の報告は私のものだけでした。
 
その後の6年間、2006年の大会まで「ITと経済の関係」を問うた報告は1つもありません。環境経済・政策学会の会員の構成は、その多くが環境問題に関心のある大学の経済関連部門の教職員(教授、助教授、助手)と大学院生であることを考えると、この現実は、私には不思議な気がします。しかし、「環境」と「経済」は別ものと考えている限りはむしろ当然なのかも知れません。

森首相のもとで7年前に設置された「IT戦略会議」の活動の結果が、3月30日のブログ「IT活用世界ランキング 14位」 ということで間接的に表現されているのかもしれません。



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IT革命と環境問題 ①  ITを経済発展の起爆剤!

2007-04-02 11:24:38 | IT(情報技術)


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3月30日のブログで、 ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が、3月28日に、ITを経済発展や国際経済の競争力強化に活用している国・地域をランク付けした「07年版 世界IT報告」を発表したことを紹介しました。スウェーデンが2位、日本は14位でした。

この報道を機に、私たちの生活ともはや切っても切り離せない存在となったIT(情報技術)が、「資源とエネルギーの流れ」にどのような影響を与えるのか、私の考えを述べておきます。
 
2000年はマスコミに「IT革命」という言葉があふれた年でした。


堺屋太一さん(作家、元経済企画庁長官)のもとで刊行された2000年度の「経済財政白書」の副題は、「新しい世の中が始まる」でした。

白書は、「現下の最大の課題は巨額に達した財政赤字で、持続可能とは言えない」と述べ、政府として財政破綻状態に近いことを初めて公式に認めました。この白書で政府は、「初めてIT(情報技術)を発展の起爆剤に据え、日本経済の持続的発展のための最大条件」と位置づけました。また、この白書はつぎのように述べています。

x x x x x
財政については、財政赤字が巨額なうえ、景気悪化に伴う循環的なものより、構造的な赤字の比率が大きいことから「景気が回復しても財政赤字は解消しない」
と警鐘を鳴らしている。社会保障費の負担を将来世代に先送りすることにより世代間格差が拡大しており、将来世代の負担増を考えると、財政赤字の拡大を続けることは不可能と断定した。
x x x x x 

ここで、3月24日のブログ「国の借金 832兆円、過去最悪を更新」 を、もう一度ご覧ください。まさに現実は2000年の財政白書が述べているとおりとなっています。この白書が公表された2000年度末の国の借金はおよそ500兆円で、6年後の2006年度末には国の借金は832兆円へと着実に膨張しています。

安倍首相や中川自民党幹事長の「経済成長路線」は、エコノミストの視点(金の流れの視点)から見れば、財政赤字を解消することは困難で、「絵に描いた餅」となる可能性が高いことを示していると思いますが、私の環境論の視点(資源・エネルギーの流れの視点)からみれば、ますます環境負荷を高めることになると思います。

つまり、安倍政権が進める「経済成長路線」は21世紀前半社会を展望するとき、ますます「不適切な方向」をめざしていることになるのではないでしょうか。



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 気持ちを新たに、そして真剣に!

2007-04-01 07:43:37 | Weblog


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2007年度の始まりの日です。穏やかな朝日がふりそそいでいます。このブログも、気持ちを新たに、そして、真剣に続けていきます。この日のために、つぎの図を用意しました。現在の私の基本認識であり、今日からの議論の出発点(前提)でもあります。


そして、1月4日のブログ「明日の方向を決めるのは私たちだ」に掲載した図を再掲します。

政治の分野では、先の長くない政治家が、およそ60年前につくられた法的枠組みのなかで、経済の拡大志向の考えをほとんど変えることなく、21世紀前半社会の方向づけをしているのが現状です。そして、これまでの日本の制度では、政策をリードしてきた官僚は数年で別の部署に移動し、政策決定の責任を追及されないのです

2000年に20歳の人が100年後の2100年まで生きられる可能性は高くないと思いますが、50年後の2050年であれば、その可能性はきわめて高いはずです。つまり、いま生きている私たちだけが、今後50年間の「年金問題」や「環境問題」などに代表される行き詰まった日本社会を改善させるか、さらに悪化させるかを決定する、すべての責任を有しているのです。

その意味で、日本の21世紀前半社会の行方は、2007年から定年が始まる、約700万人と推定される団塊の世代の「環境問題に対する意識と行動」、「その子どもたちの行動」にかかっています。重要なことは前進であって、後退ではありません。環境問題や資源の保全を考えるとき、過去を振り返るのではなく、新しい考え方で将来を展望しなければならないのです。


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