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それでは、今日から「巨大構造物」と「環境問題」の関係を考えてみましょう。まず、「都市と環境問題」の大雑把な関係を考えます。
1月31日のブログを開いてみましょう。
エコロジーという視点から見れば、現存する世界のどの大都市も持続可能な都市とは言えません。日本では90年代に次から次へと巨大な構造物がつくられました。
当時の建設・建築分野で活動していた人々の問題意識から検証してみましょう。
次の図をとくとご覧ください。文字が小さくて記事の中身を読むのは困難ですが、写真と記事の見出しを読むだけで、
当時の大手建設会社(一般にゼネコンと呼ばれる)や
建設省(現在は国土交通省に業務が引き継がれている)の
「環境問題に対する認識」を容易に知ることができます。
これは1992年6月6日付けの日本経済新聞の記事ですが、この記事のタイトルは
「環境に優しい都市を作ろう」となっていることに注目してください。この記事によりますと、
「地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出を抑え、“環境に優しい都市”作りをめざす技術開発計画が相次いで浮上してきた。
建設省建築研究所は『環境に優しい都市』をめざして、竹中工務店と共同で
地球温暖化対策に重点を置いた高さ約1200メートルの超高層都市『エコシティ・スカイモデル』構想をまとめた。CO2排出の少ない都市・地域構造の形成などをうたった政府の地球温暖化防止行動計画に沿ったもの。CO2排出抑制には建物の外面を緑で覆ったり、都市を地下に移して地上を緑地にする考えもあるが、今回の調査研究で超々高層都市も選択肢の一つとして有望なことがわかった」
と書かれています。
この記事には、また、「国内の大手建設、鉄鋼、電気、重工業企業20社からなるエンジニアリング振興協会の超高層都市空間システム分科会は
『東京エコポリス・シティ1000』の構想をまとめ、
1992年6月の地球サミットの時に同時開催していた国際建築アカデミー主催のエコポリスコンペティションに、この構想を出展した」とも書いてあります。
そして建設地としては両都市とも首都圏を想定しており、
超高層にすることで、広大な緑地を生みだし、CO2の排出を抑制するとともに、都市廃熱などによるヒートアイランド(熱の島)を緩和するのだそうです。
注意しなければならないのはこの記事に出てくる“環境に優しい”という言葉の意味するところが二酸化炭素(CO2)の排出を抑える、緑地を生み出す、ヒートアイランド現象の緩和という点だけだということです。
いずれにしても、これだけの要件で“環境にやさしい”とする判断基準はこの言葉を使用する人の環境問題に対する理解がいかに薄っぺらで、つけ焼き刃的な発想であるかを自ら露呈していると言わざるをえません。
たとえば、「稼働中の原発はCO2 を排出しない」というのは事実ですが、だから、原発は“環境にやさしいエネルギー”だとか、“クリーンなエネルギー”だとかいうのと同程度のお粗末さです。
CO2を排出しないこと、緑地を生み出すこと、ヒートアイランド現象を緩和することは“環境にやさしい”という総合的な判断基準の必要条件のわずかな数項目に過ぎず、十分条件ではないからです。あることが“環境にやさしい”かどうかはCO2 を出すか、出さないかで決められることではありません。
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