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理念とビジョン:「全文」 「ダイジェスト版」
第6章の目次
供給サイド、需要サイド、双方からのアプローチ
スウェーデンのエネルギーの研究開発についてお話しする前に、東京大学教授の平田賢さんの作成された図を基にして、わが国のエネルギー・フローを見ておきましょう。
この図(図28)によりますと、わが国のエネルギー・フローは1986年の場合、100投入されたエネルギーに対しさまざまなロスにより最終的に使われたエネルギーは35であったということになります。1989年のエネルギー・フローも1986年と同じです。「投入されたエネルギーの35しか利用されていなかった、つまり、65が捨てられていた」というのであれば、その35をたとえば50にすることができれば、投入された100のうち50が有効利用されることになります。
総エネルギーの需要量が少々増えても、その分だけエネルギーの供給量を増やさなくてもすむわけです。つまり、エネルギーの供給サイドの研究ばかりでなく、エネルギーの需要サイドの研究開発が今後ますます必要とされるのです。
大変残念なことに、わが国のこれまでのエネルギーの研究開発は「供給サイド(サプライ・サイド)」の研究開発がほとんどでした。わが国では1989年頃から、DMS(Demand Side Management:需要サイドの管理)という言葉がエネルギー関係者の間でも聞かれるようになったことからわかりますように、「需要サイド(デマンド・サイドあるいはエンド・ユースという言葉も用いられます)」の研究開発はその緒についたばかりです。
エネルギー政策の中で、特に環境への配慮、つまり、「環境への負荷の低減」を考えたときには、エネルギーの総供給量が伸びないことが望まれます。わが国では環境への配慮というと「排ガスの処理設備を設置すること」といった認識が定着しておりますが、かならずしも、それだけが環境への配慮ではありません。
もっと大切なことは供給エネルギーの総量を抑え、利用可能なエネルギーを増やすことです。つまり、DMS・アプローチあるいはエンド・ユース・アプローチと呼ばれる研究開発が重要なのです。このような観点からするとスウェーデンの一次エネルギーの総供給量ならびに総消費量が過去20年間ほとんど増えなかったということはこの間に福祉社会を維持するために必要な経済発展があったわけですから、国全体としての省エネルギーが進んでいるのだと思います。
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供給サイド、需要サイド、双方からのアプローチ
スウェーデンのエネルギーの研究開発についてお話しする前に、東京大学教授の平田賢さんの作成された図を基にして、わが国のエネルギー・フローを見ておきましょう。
この図(図28)によりますと、わが国のエネルギー・フローは1986年の場合、100投入されたエネルギーに対しさまざまなロスにより最終的に使われたエネルギーは35であったということになります。1989年のエネルギー・フローも1986年と同じです。「投入されたエネルギーの35しか利用されていなかった、つまり、65が捨てられていた」というのであれば、その35をたとえば50にすることができれば、投入された100のうち50が有効利用されることになります。
総エネルギーの需要量が少々増えても、その分だけエネルギーの供給量を増やさなくてもすむわけです。つまり、エネルギーの供給サイドの研究ばかりでなく、エネルギーの需要サイドの研究開発が今後ますます必要とされるのです。
大変残念なことに、わが国のこれまでのエネルギーの研究開発は「供給サイド(サプライ・サイド)」の研究開発がほとんどでした。わが国では1989年頃から、DMS(Demand Side Management:需要サイドの管理)という言葉がエネルギー関係者の間でも聞かれるようになったことからわかりますように、「需要サイド(デマンド・サイドあるいはエンド・ユースという言葉も用いられます)」の研究開発はその緒についたばかりです。
エネルギー政策の中で、特に環境への配慮、つまり、「環境への負荷の低減」を考えたときには、エネルギーの総供給量が伸びないことが望まれます。わが国では環境への配慮というと「排ガスの処理設備を設置すること」といった認識が定着しておりますが、かならずしも、それだけが環境への配慮ではありません。
もっと大切なことは供給エネルギーの総量を抑え、利用可能なエネルギーを増やすことです。つまり、DMS・アプローチあるいはエンド・ユース・アプローチと呼ばれる研究開発が重要なのです。このような観点からするとスウェーデンの一次エネルギーの総供給量ならびに総消費量が過去20年間ほとんど増えなかったということはこの間に福祉社会を維持するために必要な経済発展があったわけですから、国全体としての省エネルギーが進んでいるのだと思います。