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理念とビジョン: 「全文」 「ダイジェスト版」
第6章の目次
3 エネルギー需給の現状と将来
私たちは通常、北欧諸国のエネルギー事情はどの国も大差がないというようなイメージを漠然と持っているのではないでしょうか? デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの北欧5か国のエネルギー事情は表12のように相当違います。
北欧5か国の中で、エネルギーの点で最も恵まれているのはノルウェーで、水力、天然ガス、石油があります。逆に、デンマークはエネルギー資源に乏しく、相当量の風力を除けば何もないといっていい状況です。スウェーデンは化石燃料に乏しく、水力と原子力が中心です。
このように一口に北欧諸国とはいっても、エネルギー事情が違いますから、エネルギーに対する考え方も異なり、エネルギー政策も違ってきます。北欧5か国の中で原子力エネルギーを利用しているのはスウェーデンとフィンランドの2か国だけです。
スウェーデンは2010年を最終目標年度とする原発の段階的廃棄を含むエネルギー体系の修正を模索しています。この節では先ず、スウェーデンのエネルギー需給の現状を概観し、そのあと、将来のエネルギー体系のシナリオを紹介しましょう。
過去20年間変化のない総エネルギーの需給量
スウェーデンの総エネルギーの需給量で注目したいのは1970年から1989年までのおよそ20年間、供給量がほとんど変化していないという事実です(図25)。この点は、将来のスウェーデンのエネルギー政策を考える上で記憶にとどめておいてほしいところです。
図26は1970年から1987年までの総発電電力量の実績と1997年までの予測です。すでに述べたように、スウェーデンの現在の電力構成は水力が50%強、原子力が45%、火力が残り数%となっています。総エネルギー量を表す単位はわが国では化石燃料の占める割合が多いので、通常、重油換算で表示していますので、キロ・リットル(Kl)という単位が用いられますが、スウェーデンのエネルギー関連の統計資料は電気換算で表示されていますので、テラ・ワット時(TWh)が用いられています。
需要サイドから見ても、この20年間、総エネルギーの需要量は増えていません。ただ、電力の需要については注目する必要があります。電気エネルギーの中で、民生用の電力を見ると、電気による暖房の割合が大きいことがわかります(図27)。
この暖房用の熱源を他の熱源に代えようとする試みがあります。そうすることによって、発電すべき総発電電力量をある程度減らすことが可能だと考えられるからです。
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3 エネルギー需給の現状と将来
私たちは通常、北欧諸国のエネルギー事情はどの国も大差がないというようなイメージを漠然と持っているのではないでしょうか? デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの北欧5か国のエネルギー事情は表12のように相当違います。
北欧5か国の中で、エネルギーの点で最も恵まれているのはノルウェーで、水力、天然ガス、石油があります。逆に、デンマークはエネルギー資源に乏しく、相当量の風力を除けば何もないといっていい状況です。スウェーデンは化石燃料に乏しく、水力と原子力が中心です。
このように一口に北欧諸国とはいっても、エネルギー事情が違いますから、エネルギーに対する考え方も異なり、エネルギー政策も違ってきます。北欧5か国の中で原子力エネルギーを利用しているのはスウェーデンとフィンランドの2か国だけです。
スウェーデンは2010年を最終目標年度とする原発の段階的廃棄を含むエネルギー体系の修正を模索しています。この節では先ず、スウェーデンのエネルギー需給の現状を概観し、そのあと、将来のエネルギー体系のシナリオを紹介しましょう。
過去20年間変化のない総エネルギーの需給量
スウェーデンの総エネルギーの需給量で注目したいのは1970年から1989年までのおよそ20年間、供給量がほとんど変化していないという事実です(図25)。この点は、将来のスウェーデンのエネルギー政策を考える上で記憶にとどめておいてほしいところです。
図26は1970年から1987年までの総発電電力量の実績と1997年までの予測です。すでに述べたように、スウェーデンの現在の電力構成は水力が50%強、原子力が45%、火力が残り数%となっています。総エネルギー量を表す単位はわが国では化石燃料の占める割合が多いので、通常、重油換算で表示していますので、キロ・リットル(Kl)という単位が用いられますが、スウェーデンのエネルギー関連の統計資料は電気換算で表示されていますので、テラ・ワット時(TWh)が用いられています。
需要サイドから見ても、この20年間、総エネルギーの需要量は増えていません。ただ、電力の需要については注目する必要があります。電気エネルギーの中で、民生用の電力を見ると、電気による暖房の割合が大きいことがわかります(図27)。
この暖房用の熱源を他の熱源に代えようとする試みがあります。そうすることによって、発電すべき総発電電力量をある程度減らすことが可能だと考えられるからです。