環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

昨夕、菅改造内閣が発足。 明日はスウェーデンの総選挙:こちらも大接戦

2010-09-18 23:50:42 | 政治/行政/地方分権
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今朝の朝日新聞は昨夕発足した菅改造内閣の関連ニュースが満載です。他の全国紙も同様でしょう。

環境問題の改善や解決の為には「技術」よりも「政治」や「社会制度」だ、と考える私が最も注目しているのが菅改造内閣の顔ぶれです。予想外に早く、その顔ぶれが決まりました。

内閣閣僚名簿(時事)


今日とりあげる閣僚は、今回の菅改造内閣で環境相となられた松本 龍さん(この方についてはまったく知りません)ではなく、法務・拉致を担当することになった柳田 稔さんです。私は今回の菅改造内閣の発足まで、柳田さんのことをすっかり忘れていましたが、テレビでお顔を拝見し、17年前のことを思い出しました。

17年前というのは、環境基本法案とその関連事項が衆議院環境委員会で審議された年です。私は中央公聴会公述人の1人として柳田さんの他、何人かの環境委員と向き合っておりました。

○原田委員長 柳田稔君。

○柳田委員 まず最初に、小沢公述人にお伺いをしたいのでありますけれども、「この法の制定により、環境問題が改善の方向に向かうとは到底考えられない。」だから反対だというふうな結論であります。

私は逆に、先生が望んでおるような、ここまでできれば、例えばスウェーデンの先ほど言った環境コードですか、までできればそれはすばらしいものかもわかりませんけれども、現段階でこの環境基本法をつくっていって、さらに、先生も書いてあるとおり「法律には国民を間接的に教育してしまう効果がある」ということですから、国としてもこういうふうに環境に対して大変関心を持って前に進めるんだ、そういうふうなことも出てくるんではないかと思うので、私は、なぜ反対されるのか、まだ少しわからないのでありますけれども、いかがでしょうか。

○小沢公述人 反対というか、あるよりない方がいいかと問われれば私はあった方がいいという程度の話でして、つまり実効があるかどうかという点を考えたときに、もう少し環境問題ということを真剣に考えてやればもっと別なものができるであろう、こういうふうに私は思うわけです。

それはなぜかといいますと、今私が聞いている範囲では、この法律ができたときになくなるものは何かというと、公害対策基本法がなくなる、それで、そのほかのものは残るというわけですね。つまり、公害対策基本法のもとでできた大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とか、そうゆうたぐいは残るわけです。そうしますと、過去の行政の対応と、つまり法律というのは生きているわけですから、変わらないではないか。もし許認可事項をやるとしても、今までの大気汚染防止法に沿ってやるのでしょうし、水質汚濁防止法に沿ってやるわけです。あるいは廃棄物もそうだと思います。
そうだとすると、私の認識では、20年前よりも今の環境の状態は一部のものを除いて悪くなっている、こうゆうふうに考えているわけです。ですから、従来と同じ法律が生きていて、それを早く変えるというなら別ですよ。早く変えるということがあれば、そうですけれども、既存の法律として生き続け、それに基づいて行政が判断をする、アセスメントもそうです、そういうことになれば、汚染物質はふえてしまうじゃないか、そういう意味で反対だと言うわけです。

○柳田議員 また、小沢先生に質問でありますけれども、基本法、これで環境を守るのだという理念を我々はうちだすわけですね。・・・・・・



この議論の続きは、次の 「環境基本法成立から14年⑩」をご覧ください。続いて、このブログの最終回「環境基本法成立から14年⑪」をご覧ください。なお、この環境委員会公聴会の議論全般にご興味のあるかたは、下記の関連資料をクリックして下さい。

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環境基本法成立から14年⑪ 中央公聴会での質疑応答を終えた私の感想(2007-01-16) 

環境基本法成立から14年⑩ 中央公聴会での質疑応答-その4 柳田委員とバトル(?)(2007-12-15) 

環境基本法成立から14年⑨ 中央公聴会での質疑応答-その3 情報公開、海外での企業の倫理規制(2007-12-14)

環境基本法成立から14年⑧ 中央公聴会での質疑応答-その2 環境教育、エネルギー政策(2007-12-13)

環境基本法成立から14年⑦ 中央公聴会での質疑応答-その1  環境計画、アセスメント、情報公開(2007-12-12) 

環境基本法成立から14年⑥ 中央公聴会での意見陳述-その4(最終回) 環境問題の本質(2007-12-11) 

環境基本法成立から14年⑤ 中央公聴会での意見陳述-その3 この法案の最大の欠陥(2007-12-10) 

環境基本法成立から14年④ 中央公聴会での意見陳述-その2 「環境保全」の意味が明確でない(2007-12-09) 

環境基本法成立から14年③ 中央公聴会での意見陳述-その1:エコロジー的視点が欠落している(2007-12-08) 

環境基本法成立から14年② 不十分なので、このままで私は反対だ!(2007-12-07) 

環境基本法成立から14年①(2007-12-06) 

関連資料
第126回国会 環境委員会公聴会 第1号(議事録全文)

今日改めて、この議事録を開いてみますと、今回の菅改造内閣で文部科学大臣になられた高木義明さんと国家公安および消費者・食品安全・少子化・男女共同参画担当大臣になられた岡崎トミさんのお二人のお名前を目にします。



私が17年前の柳田さんとの「環境基本法案」を巡る17年前のバトル(?)を、今日わざわざ持ち出したのは、今、山積している問題に対して目の前の困難から 「無いよりはまし」 程度の法律をつくっても、早晩行き詰まるという経験則を政治家にしっかり理解して欲しいからです。日本の政治家は行き詰まると、かならず「抜本的○○」というのですが、文字通り実行したことは一度もないといってよいでしょう。

菅首相は初めての内閣を自ら 「奇兵隊内閣」 と名付けました。奇しくも、菅首相は昨日発足した菅改造内閣を自ら 「有言実行内閣」 と名付けたそうです。そうであれば、菅内閣の閣僚が「抜本的な○○」と発言したときにはぜひ、文字通り抜本的な行動をとって欲しいと思います。

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★明日は、スウェーデンの総選挙

さて、明日9月19日(現地時間)はスウェーデンの総選挙の日です。こちらも大接戦です。世論調査によれば、現政権である連立与党がやや優勢のようですが、野党連合が勝つとスウェーデン政治史上初の女性首相の誕生というサプライズがあるようです。

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また、移民促進政策に強く反対するスウェーデン民主党(極右政党)が初の国会議席を獲得するかもどうかも大多数のスウェーデン人にとっては大変気がかりなところです。与党連合 (保守党+自由党+中央党+キリスト教民主党)、 野党連合 (社会民主党+左翼党+環境党)共に真っ二つに別れ、数議席を争う大接戦ですから、スウェーデン民主党が国会の議席を獲得した場合に、この党にどう対応するかで大変難しい問題が生ずるからです。

明日以降、スウェーデンの選挙結果を日本の一般紙がどのように報道するか注目しましょう。

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