酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

麻生氏圧勝という名の惨敗

2008-09-23 06:34:00 | Weblog
 自民党総裁選は予想通り麻生太郎が圧勝した。地方票は95%を握り、他の候補は石破が4票、与謝野が2票、石原が1票、女性の挑戦として注目された小池にいたっては0票というありさまだった。

 議員票はこれよりは分散したが、最多の与謝野でも66票にとどまり、217票の麻生の3分の1にも達しなかった。

 《自民党は22日午後、党本部で両院議員総会を開き、党所属国会議員と各都道府県連代表による投票の結果、麻生太郎幹事長(68)を第23代総裁に選出した。過去最多の5氏で争われた総裁選は、1回目の投票で麻生氏が全体の7割近い351票を集めて圧勝し、福田康夫首相(72)の後継の新総裁に選ばれた。麻生氏は、内閣の要である官房長官に伊吹派の河村建夫元文部科学相(65)起用で最終調整に入った。また農相には、総裁選に立候補した石破茂前防衛相(51)を充てる方向。中川昭一元政調会長(55)の入閣も有力となった》=毎日電子版=

 麻生の勝利は戦う前から決まっていたことであり、何の不思議もない。だが、地方票を95%もかっさらうまでの圧勝とは、陣営も想定していなかったのではないか。党員らは1強4弱を見切っており、「総裁選劇場」には踊らなかった。与謝野以下の4候補は脇役も務まらなかったことになる。

 総裁選をお祭り騒ぎに盛り立てて、その余勢を駆って衆院解散・総選挙に突っ込む。自民党の目論見はもろくも費え去ったといわねばならない。大慌てで衆院解散戦略の見直しが進んでいることだろう。麻生圧勝は自民党惨敗の始まりではないか。

 《22日投開票された自民党総裁選は、47都道府県連に各3票割り当てられた計141の地方票のうち、麻生太郎氏が95%に当たる134票を獲得、他の4候補を圧倒した。地方での「麻生人気」のすさまじさを見せ付けた形だ。しかし、各都道府県連で実施された党員・党友投票(予備選)の平均投票率は53.9%と振るわず、党全体としては次期衆院選へ不安も残した》=時事=

 
 選挙期間中から「補正は上げたい」といっていた麻生である。近日中に行われる各紙の世論調査の結果次第では10月3日の解散をあきらめ、後ろに延ばすのではないか。当ブログは「太田農相辞任を読み解く」の中で次のように指摘しておいた。

 《しかし、10月26日投票はやや遠のいたと考えるのが自然だ。10月3日解散では自民党への逆風が強すぎる。補正を通して風当たりを和らげた方が得策だ。となると、11月9日か16日の総選挙?  決めるのは麻生さんである。この判断でこの男の力量が分かる》


 臨時国会での論戦の行方も解散の動向を左右する大きな要素だ。野党に攻め手が多く、新政権は防戦一方になる事態が想定される。下手をすると「野垂れ死に」コースをたどりかねない。11月4日の米大統領選でオバマが勝てば、日本でも「チェンジ」の声が高まるのは必至だ。こうなるとさらに解散は難しくなる。

 麻生の最善手は解散しないことである。この戦略については「太田辞任を読み解く」で触れておいた。「3代続けて国民の信を問わない政権でいいのか」という真っ当な批判に耐えられるかどうか。年内解散を急く公明党の存在も無視できない。既に創価学会は10月26日投票でフル回転を始めたらしい。これを押しとどめられるようなら、麻生の腕力はなかなかのものだ。


 麻生の後見人は福田と同じく森喜朗らしい。《「党運営の責任者をやってほしい」、麻生は森に極秘の電話をかけた》=共同=。もちろん森は断ったが、代わりに細田博之を差し出した。「町村派が支えますよ」というサインである。

 森が古賀誠と小池百合子を締め付けた結果が総裁選の惨状だ。いまだに派閥の理屈を超えられない森を後ろ盾にするようでは、麻生政権の前途はない。


 10月解散なら自民党は惨敗する、と断言しておこう。
コメント
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