酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

太田農相辞任を読み解く

2008-09-20 07:15:59 | Weblog
 太田誠一農水相が、事故米問題の責任を取って辞任した。事務方トップである白須敏朗次官も辞任した。「事故米が社会的に大きな問題となり、責任を取ることにした。再発防止策もほぼ固まり、節目だと思った」(朝日)のが辞任の理由だという。


 小ブログでは8月11日付けで太田に辞任を勧めている。NHKの番組での「やかましい」発言を聞いて、資格なしと判断したためだ。その後、今回の事故米問題でも「安全は保たれており、(農水省は)じたばたしてない」などと発言、消費者や食品業界の反発を招いていた。


 その意味では辞任は遅きに失したと言うべきであり、敵前逃亡とも言えよう。「再発防止策がほぼ固まった」などといっているが、まだ事故米流通の全容すら分かっていない。45万食の給食に回されていたなど、新たな事実も判明している。汚染米と汚染でんぷんの広がりは底なしの感がある。農水省のトップ2人は、ここをクリーンにする義務がある。

 辞めるべきときに辞めないから、こんな失態を演じることになる。政治家の出処進退の大切さをあらためて教える出来事だ。


 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。なぜ、任期があと5日しか残っていないこの段階で、こんなバカな判断をしたのか。させたのか。主導したのは誰か。という問題である。


 野党がこき下ろすのは当然だが、国民や識者からも「総選挙のための幕引き」などと猛烈な批判を浴びている。これぐらいのリアクションは織り込み済みというのだろうか。政治判断としては最悪といっていい。太田自身の当選だって危うくなりかねない。


 福田首相が首を切ったとの見方があるが、この期に及んでそのような挙に出るのは理解しがたい。福田流美学にも反するだろう。


 となれば、次期首相就任が確定的な麻生太郎幹事長の差し金か。麻生が背後にいる仮定すると、このシナリオを書いたのは相当な曲者、策士だ。その心は以下のように読み解くことができる。


 ①太田辞任は自民党への逆風になる②したがって、就任当初の麻生首相の支持率は低くなる③早期解散は支持率頼みなので、低いところでは解散できない④だから臨時国会では補正予算をはじめとする経済対策を仕上げる④まだ、新テロ特措法が片付いておらず、国会はぐちゃぐちゃになる。⑤泥沼の状況に持ち込んで、しかも解散はさらに先送りする⑥これで民主党はがたがたになり、小沢一郎は代表の座を退かざるを得なくなる⑦新テロ法などを対立軸に政界再編が起きる⑧衆院選は任期を受けて、新しい体制で臨む。


 とまあ、このような筋書きである。早期解散が確実なように言われているが、解散権は首相の大権だ。やるぞやるぞといって、やらないのが最善という判断はあり得る。麻生がそれをやりきれるならなかなかの玉だが、しょせんは5世議員だ。状況に流されながら解散し、惨敗することになるだろう。


 しかし、10月26日投票はやや遠のいたと考えるのが自然だ。10月3日解散では自民党への逆風が強すぎる。補正を通して風当たりを和らげた方が得策だ。となると、11月9日か16日の総選挙?  決めるのは麻生さんである。この判断でこの男の力量が分かる。

 
 



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