酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

バター不足にみるノー政の惨状

2008-05-02 06:41:23 | Weblog
 昨年末からケーキ業界などで品薄になっていたバターが、3月末からスーパーの店頭からも姿を消し始めている。

 慌てた政府は雪印や森永など大手4社に緊急の在庫放出などを求める一方、約210トン分の緊急輸入措置も決めた。

 場当たり的、泥縄式の見本だ。

 そもそも生乳の生産はここ数年だぶついており、一昨年などは生産者が牛乳を廃棄する映像がテレビにでも紹介された。

 2000年の雪印問題や近年のダイエットブームから来る乳製品敬遠傾向で、2、3年前から酪農団体は減産体制を敷いていた。その反動がここに来て現れた、というのが一般的な解説である。

 あたらずといえども遠からずといったところか。

 この問題は即効性の解決策がなく、当分バターの品薄状態は続くと見なければならない。ケーキなどの洋菓子類が高騰するのは避けられまい。

 最大のネックは生乳の増産が利かないことである。雌牛が生まれてから乳が出るようになるまで2年はかかる。今年牛を増やしたとしても、実際に乳が出るのは2年後だ。この急場に間に合わないことは明白だ。

 それに、今回の乳製品不足には構造的な問題もある。例のバイオ燃料穀物増産による飼料の高騰が酪農農家を直撃しているのだ。廃業する人が続出しているという。2月には危機突破大会が開かれたほどだ。

 政府がいくら大手やメーカーや商社の尻を叩いたところで、農家が動かなければ何の力にもならない。この飼料高の状況で農家が牛を増やす気になるには、全量買い上げや所得保障などの担保が付くことが必須条件だろう。

 穀物不足の実像をきちんと把握して対処しなければならない。減反に次ぐ減反を重ねている米が、同じ道を歩まない保障はない。放棄され、荒廃した農地を元に戻すには乳牛導入以上の時間がかかる。

 今のうちに農地確保策を確立することが肝要だが、目先しか見えない今の政府では無理だ。米不足になる前に、狭い農地を手に入れて自給策を講じるのも一法だ。

 
コメント
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