酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

メディアとインサイダー取引

2008-05-31 05:25:30 | Weblog
 NHKの元職員らによるインサイダー取引を調査していた第三者委員会が報告書を提出した。

 「職員のプロ意識が欠如している上、組織としてリスク管理ができておらず、情報保護のシステムも不完全だ。報道機関としての危機意識を疑う」。それなりに手厳しい指摘である。

 新聞各社は鬼の首でも獲ったかのように「81人が勤務中に株取引」「調査に非協力 1000人」などと刺激的な見出しを並べ、NHKの危機感のなさに非を鳴らしていた。公共放送の職員がこの体たらくでは、叩かれるのも仕方がない。

 インサイダー取引は、いたるところに蔓延しているのではないか。昨今のマネーゲームの加熱ぶりを考えるとそんな思いがわいてくる。

 野村證券の社員が捕まった。日経の社員もやっていた。監査法人の公認会計士まで摘発された。金融庁はネット証券2社に、「インサイダー防止のシステムがなっていない」と改善命令を出した。

 これらは氷山のほんの一角だろう。

 日経社員が知人らを迂回して株取引に手を染めているのではないかという指摘は以前からある。同社はNHKのような全社員調査を行ったのだろうか。紙面を見る限りそんな報告は見当たらない。是非、きちんと調べていただきたい。

 他の新聞社はどうなのだろう。NHKのインサイダーが報じられた際、各紙は「社内規定で禁じている」などと自社のコンプライアンス充実ぶりをさりげなく自慢していたように記憶する。

 内規がきちんとしていることと、不正が行われているかどうかは全く別次元の話だ。新聞社は自社株の取引を保護されている存在だ。財務諸表の公開もアバウトなものでいい。自社の保有株や社員の株取引に甘くなっていることはないだろうか。

 かつてNTTドコモ株で地方紙が濡れ手に粟状態になったことがある。電通株で共同と時事は大もうけ? した。

 新聞社は自社が買収される心配がないので、株取引に疎い。しかし、社員は違う。さまざまな情報に接する機会も多い。家族や知人名義で株取引を行っている可能性は大いにある。この際、全社が社員の株保有状況を調査してはどうか。

 電通、博報堂などの広告代理店にも是非お勧めしたい。印刷会社社員がインサイダーなどというのもあった。関連する業界は全部やってくれ~。

 こういってしまうと、株取引ができる人というのはごく限られてくる。預貯金から証券市場に資金をシフトしようというのに、これでは困る。

 株の世界は「おいしい話を素早く見つけて買う」という胡散臭さが残る。投資と投機の区分が不分明だ。「さやを抜く」のが株取引の妙味、日経などはこう煽っているように見える。世界全体が投機に走っている。NHK職員だけを責めるわけにもいかない。
 
 超然としていると時代が読めない男、負け組みのレッテルを貼られてしまうかもしれない。そこを踏みとどまるのがメディアのメディアたるゆえんだろう。ちゃらちゃらしないで、筋を通してほしい。

 
コメント
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