酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

朝日、毎日と高校野球

2008-05-16 04:32:56 | Weblog
 昨年の春のセンバツを制した常葉学園菊川高校野球部の監督や選手らが朝日新聞と毎日新聞の女性記者に対して「セクハラ」行為を行っていたらしい。週刊文春の5月15日号が報じている。

 一般紙でも読売新聞が5月8日付けで文春を紹介する形で掲載している。セクハラそのものは当該機関の調べに任せるとして、解せないのは朝日と毎日の対応だ。

 昨年、高野連は例の推薦入学問題ですったもんだした。今回のケースは甲子園優勝校が、その優越的な地位を利用して女性記者に迫ったとされる疑惑だ。こちらの方がはるかに悪質だ。高野連の動きは鈍すぎる。

 それにも増して、朝日が読売の取材に「答えられない」と返答しているのは許しがたい。朝日の編集当局がこの一件を知らないはずがない。女性記者からの訴えもあったはずだ。どのように処理し、学校とはどう交渉したのか。

 ノーコメントの理由が記者のプライバシーにあると主張するのならメディアとしての資質を疑う。文春によれば、朝日記者は夏の大会で同校と同宿していたという。朝日は基本的に支局の記者がその県の代表校と同宿する。今回に似た事例が過去に起きていないか。朝日はそこから掘り起こして報告すべきだ。

 毎日も同様だ。「適切に対応した」(J-CASTニュース)などと言われても何のことやら見当も付かない。大学のセクハラなどに対する反応となぜこれだけしてはもっと敏感に反応していたはずだ。

 朝日の新人記者にとって夏の甲子園は登竜門だ。誰もが野球に興味があるわけではない。だが、甲子園は別格だ。ここで朝日魂が磨かれるとの説もある。プレッシャーで体調を崩す記者も少なくない。

 そこでセクハラが起きたと指摘され、高校も監督の処分を行っている。朝日は処分が出た段階でようやく報じた。だが、処分が行われたことを伝えるだけで、セクハラ問題の真相は全く分からない。

 新聞社が人権感覚を失ったら存在価値がない。高野連や夏の大会への影響を考慮して「穏便に」などと考えているとしたら勘違いもはなはだしい。両紙の取材力を生かし「甲子園強豪校の無軌道ぶり」を暴き出してほしい。甲子園は聖地であり清く正しい場でなければ、と日ごろ伝えていたのではなかったか。

 毎日は先年、名古屋ビルの大宣伝を生面で展開した。朝日は今年、大阪ビルの再開発を一面で報じ、14日付けではフェスティバルホールを1ページで特集している。従来なかった対応だ。

 新しいビルの宣伝にページを費やす経営感覚より、新人記者が受けた屈辱を共有するメディアの感性を求めたい。
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