ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

遺伝子の旅・その3

2010-07-18 | 2~3歳
 ゲノム解読、遺伝子検査、それらの技術で明らかになる疾患群が存在する。概念や症状が分類され遺伝性が明らかでも、どの染色体上のどの場所に存在しているか分からなかった責任遺伝子の発見。

 ゲノムをめぐる探求はこのように、「病気の地図作り」のような側面が大きくクローズアップされる。遺伝子イコール病気と感じてもおかしくないくらいに。本来「疾患遺伝子」という言い方そのものが珍妙なのだが、だがそれでもむしろ、判明しているもののほうが少ないのかもしれない。ありふれた単なる慢性疾患と思われていたのに、ある日突然遺伝子疾患だと解明される可能性もある。

 今はまだ、狭義の遺伝子治療が一部の単遺伝子による疾患に用いられ、ある種の癌などで薬への感受性を知るために利用される等に留まるが、本当の「オーダーメイド」となれば、個人のゲノムをすべて把握し、未発症の疾患まで「治療」する時代になるかもしれない。まだ完全に絶えたとはいえない優生学的思想が、姿を変えて復活する危険も指摘されている。

 ヒトの一般論は措くとして、さてイヌは。アリエスの親戚筋から教えてもらったので調べてみると、ブリーディングを手がける犬舎の中には、犬種によって発症頻度の高い疾患について遺伝子検査をおこない、特に海外では犬舎名・犬種名などの情報をネット上で公開しているところがある。「○○犬協会」や専門家の参加した有志の勉強会グループなどの団体が把握し、発症年齢や症状や転帰、親犬名などが誰にでも閲覧できるようになっているものもあった。

 ヒトの優生学を嫌悪しても、犬や猫ではむしろ義務であるという断固とした発想。理想だけなら、疾患の可能性が事前に分かっている個体も、発症している個体も、みんな新しい家族のもとへゆき、幸せになって当たり前。命が終わる日まで大切に育む責任を果たす人の必要だけを満たす子犬の供給が当たり前。でも、商業自体が悪でなくても、動物の命も経済の流れに乗っている現状では、やっぱりそうはいかない。膨れ上がる需要に応じて子犬を「生産」したり、夥しい数が売れ残ったり、新しい家族にも捨てられたり、挙句に殺処分される。「病気」が関わると、この惨状はさらに深刻であろうということは容易に想像がつく。病気そのものでない要因がさらにその個体の幸福を大きく損ない、そして要因とは十中八九、私達人間であろうということだ。ヒト以外の生命についてあまりにも鈍感な人間社会の不完全さが露呈しているからこそ、病気の子犬を減らす苦しい選択としての遺伝子検査がある。

 普段安穏に暮らしているが、時々アリエスはこうやって、心痛む厳しい問題を突きつけてくる。親としてどうありたいかということは、人間としてどうありたいか、そこにつながってしまうのだと思う。 
 




朝焼け大好物の私に引っ張り出される父と子。「すぐ気温が上がるから早く走りに行こう!」なんて口車に乗せられながら。だけどにわかカメラ小僧となっていると、置いてきぼりにされてしまう。

 もう入道雲が出てるよ!

 母ちゃん置いてこう

 雲の富士山

 こんな深いピンク

 こんな色の配合

 口をあけて見とれるだけ