2017年5月27日公開 114分
仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた隆(工藤阿須加)は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、ある青年(福士蒼汰)に助けられる。幼なじみのヤマモトと名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。(映画.comより)
北川恵海の同名小説の映画化。監督は「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出。
阿須加君は総じて好青年役が多いですが、今回も真面目で優しい会社員を演じています。素直で優しい故に、何とか頑張らなくちゃ!同僚に迷惑かけないようにしなくちゃ!と無理をして自分を追い込んでしまい、どんどん負のスパイラルに陥ってしまうんですね。もっと要領よく手を抜いたり他人を出し抜いたりできたら追い詰められないんだろうけど・・観ていて辛くなります。(逆に要領のいいやヤツだったら物語として成立しないか)
そんな隆に近づいてきたのが謎の青年ヤマモト。駅のホームから転落しそうになった(生きることから逃げようとしていた)のを助けてくれます。たまたま昔の同級生に同じ苗字の子がいたので、そうかなと思って受け入れてしまう隆。素直ですね~
ヤマモトは隆に営業のコツなどアドバイスしてくれたり、ネクタイを選んでくれたり親身に相談に乗ってくれたりします。そんなヤマモトに影響されて仕事への姿勢も上向きになり、そうすると不思議に顧客を開拓できたりするのですが、好事魔多しである日大失敗をしてしまうの。 客観的に観ている側からは「あ、これは五十嵐さん(黒木華)の仕業だな」とピンとくるのですが、根がまっすぐな隆は全く気付かないんですね~~。
ヤマモトが同級生とは別人であることがわかり問い詰める隆にヤマモトはあっさり「勘違い」を認めます。この頃には彼が誰であっても友人であることにかわりないと思えるようになっているんですね でも彼の名乗った「山本純」で検索してみたら自殺した故人であることがわかります。
部長(吉田鋼太郎)の容赦ないパワハラに負けてビルの屋上から飛び降りようとした隆を、またまたヤマモトが引き止めます。どうせあっちで会えるんだからという隆にヤマモトは自分は現実に生きている人間であること、命は自分だけのものではないことを説くのです。
隆は実家で両親と向き合い、過去に仕事に失敗して田舎暮らしを始めた父を責めたことを詫びます。仕事辞めようかなと言う隆を「それも良いんじゃないか」と肯定してくれた両親とヤマモトが隆の背中を優しく押してくれたんですね
気持ちが吹っ切れた隆が、部長に辞表を出すシーンも印象的でした。恨みつらみをいうわけじゃなく、自分のふがいなさを詫び、同僚への気遣いまでする姿に「この子は本当に良い子なんだな」と思いました。部屋を出ていく隆を追いかけてきた五十嵐さんは自分のしたことを告白し詫びますが、そんな彼女のことも赦せる隆は、逆にすごく強い人なのかも
ノルマがどんどん増えていき、後輩が自分を越していくのではないかという焦りと不安が彼女を追い詰めたことは想像に難くありません。ここに登場する部長は典型的なパワハラ人間ですが、こういう上司の下では部下は育たないので早晩この会社は破綻するんじゃないかしらでも世の中、多かれ少なかれこんな人間関係はざらにありそうですが こんな会社に心まで食いつぶされるのは願い下げですよね。
ヤマモトの本当の正体についてはある程度予想できますが・・双子でしたか
仕事を辞めた隆がヤマモトに会いに行きそこで共に働くというのは原作小説と異なるラストのようですが、映画的にはアリかもね
ところで、この作品の主演は阿須加君じゃなくて福士君だったのね 私はてっきり・・・