杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

奇跡がくれた数式

2017年12月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月22日公開 イギリス 108分

1914年、イギリス。名門ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのG・H・ハーディ教授(ジェレミー・アイアンズ)は、当時イギリス植民地のインドから届いた1通の手紙に夢中になる。そこには著名な数学者である彼も驚く“発見”が記されていた。ハーディは差出人の事務員ラマヌジャン(デヴ・パテル)を大学に招聘する。ラマヌジャンは妻(デヴィカ・ビセ)と離れることに胸を痛めながらも、研究を発表できる喜びに海を渡る。しかし、独学で数学を学んだため、学歴もなく身分も低いことから教授たちに拒絶され、頼りにしていたハーディも公式を証明することしか頭にない。妻からの手紙も途絶え、孤独と闘いながらひたすら研究に身を捧げるラマヌジャンは、遂に命にかかわる重い病に倒れてしまう。ラマヌジャンを失うかもしれないと知ったハーディは、初めて彼への友情と尊敬の念に気付き、ラマヌジャンを救うために立ち上がる──。第一次世界大戦下の激動の時代に、全てが正反対の二人が、文化と個性の違いに葛藤し、やがてそれを乗り越えて、かけがえのない絆で結ばれていく。歴史に名を残す二人の天才数学者が、今この時代に生きる私たちに、年齢や肌の色、生き方や信じるものが違っても、人は互いを思いやり、愛し合えることを教えてくれる。輝かしくも美しい二人の友情を描く涙の実話。(公式HPより)


「アインシュタインと並ぶ無限の天才」とも称されたインドの数学者ラマヌジャンと、彼を見出したイギリス人数学者ハーディ。国籍も身分も違う2人の天才が起こした奇跡と友情の物語を描いた実話に基づいた伝記ドラマです。

独学で数学を学んだというラマヌジャン。インド人の数学の能力については疑いを持ちませんが、高度な数学の知識をどのように学んできたかの描写がなかったのが残念。まさか学校にも通わずってわけじゃないよね この独学というのがミソで、彼の発見が正しいものであったにせよ、学術の場においてはそれを証明してみせて初めて認められるものなんですね

異郷の地を嫌がる母の反対を押し切り、結婚したばかりの妻には必ず呼び寄せるからと約束し、勇んでイギリスに渡ったラマヌジャンを待っていたのは、学歴のない彼に批判的で偏見のある教授たちの冷たい視線でした。ハーディの友人のリトルウッド教授(トビー・ジョーンズ)は温かく迎え入れてくれましたが、頼りのハーディは人付き合いが苦手な人物で、ラマヌジャンの直感による新しい公式の閃きに感動しつつもそれを証明できなければ意味がないと説きます。
 
第一次世界大戦に英国が参戦し、食糧事情が悪化して菜食主義の彼は食べるものさえ事欠くようになります。兵士たちに「俺たちは戦地へ行くのに」と暴力を振るわれ、妻からの便りも届きません。(これは彼の母が邪魔していたせいです。彼女は嫁がイギリスに行けば息子はもう戻って来ないと知っていたからですね。)そんな状況(顔のアザや、痩せた体)に気付きもしないハーディに、ラマヌジャンの怒りが爆発するシーンが印象的。この時やっとハーディはラマヌジャンを一人の人間として認識したのかも。ますます研究に没頭するようになったラマヌジャンですが、身体は衰弱し倒れてしまいます。病院へ駆けつけたハーディは、彼が重い結核に罹っていると聞き愕然とします。ここに至ってやっとハーディはラマヌジャンが対等な研究者であり大切な友人だと気付くのです。
病床にあっても二人は研究を続け、ハーディは以前却下されたラマヌジャンの大学のフェロー(研究員)への推薦を再度掛け合い実現させます。戦争が終わり、帰国することになったラマヌジャンと一年後の再会を約束して送り出しますが、その一年後、ラマヌジャンは病気で帰らぬ人となったのでした 
 
ラマヌジャンは自分の公式を発見する力は彼の信仰する女神が与えてくれたものだと言います。信仰心を持たないハーディですが、ラマヌジャンの才能はまぎれもない神の御業というわけですね
 
昔学んだ微分積分すら遠い過去の記憶な身には、彼らの「公式」は「絵」にしか見えないけれど、人としての苦悩は伝わってきました。登場人物の中で唯一親近感を覚えたのはリトルウッド教授だな

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