杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

DESTINY 鎌倉ものがたり

2017年12月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年12月9日公開 129分

鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに嫁いだ年若い妻・亜紀子(高畑充希)はその生活に驚くばかり。道を歩けば、魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神(安藤サクラ)までも現れるのだ。どうやらここ鎌倉は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街らしい。本業の小説執筆に加え、鎌倉署の捜査にも協力する夫・正和は、その上、鉄道模型収集やら熱帯魚飼育やら多趣味でもあり忙しい。そんな一色家には、実年齢130歳? の家政婦・キン(中村玉緒)、腐れ縁の編集担当・本田(堤真一)、果ては貧乏神(田中泯)が居座るなど個性豊かな面々が次々に現れ騒がしい日々。亜紀子の理想とはちょっと違うけれど、楽しい新婚生活が始まった。しかし、正和には亜紀子に隠していた秘密があった。その秘密が原因で正和は結婚に疑問を感じて生きてきたようだ。正和はなぜ亜紀子を見初めたのだろうか?ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた。夫への愛にあふれた手紙を残して――。なんと亜紀子は不慮の事故で亡くなっており、黄泉の国(あの世)に旅立っていたのだった。失って初めて気づく妻・亜紀子への愛。正和は亜紀子の命を取り戻すため、一人黄泉の国へ向かう決意をする。そこで彼を待っていたのは、亜紀子を黄泉に連れさった魔物たちとあの人の姿・・・・・・。一色夫婦の命をかけた運命が、今動き出す。(公式HPより)

 

「ALWAYS 三丁目の夕日」の原作者・西岸良平のコミック「鎌倉ものがたり」を実写映画化したファンタジードラマです。監督も「ALWAYS 三丁目の夕日」と同じ山崎貴ということで、山崎組常連の堤真一、三浦友和、薬師丸ひろ子(先生の通う小料理屋の女将役)も出演しています。

ファンタジー好きとしては予告編を観た時から興味津々で公開を待っていました。

古都・鎌倉が舞台ということで、人ならざる者たちと共に暮らす設定も違和感なく入っていけましたが、観終わった今、鎌倉を訪れるのがちょっと怖いような楽しみなような不思議な感覚になりました。

前半で、これでもかというくらい夫婦の熱々ぶりを見せつけられますが、演じている二人の人柄からか、ちっとも嫌味じゃなく、微笑ましく見えます。新婚生活が幸せであるほどに、妻が黄泉の国へ旅立ったあとの夫の悲しみが切なく迫ってくるのです。

隣家に住む老夫婦(吉行和子・橋爪功)の長年連れ添った夫婦愛、先生の編集担当の本田(堤真一)が遺した妻子へ向ける愛と決断、入り込んだ貧乏神(田中泯)に優しく接する亜紀子や一式家に長年使えてきたキン(中村玉緒)の正体などなど鎌倉に住む魔物や幽霊のエピソードも笑いあり涙ありの人情に富んでいます。

亜紀子の早すぎる死の真相は、黄泉の国の魔物である天頭鬼の横恋慕が原因でした。それを知った先生は自らの命を懸けて妻を取り戻しに向かいます。「あの世」の描写は懐かしの昭和のイメージですが、これは先生が頭の中に描いた世界ということになっています。ですから一人ひとりイメージが異なっているらしい・・・亜紀子にも先生と同じ風景が見えていたんだろうか?もし自分ならどんな「絵」になるんだろう?そんな疑問が頭を掠めました

実は先生は子供の頃に母(鶴田真由)が作家の甲滝五四郎(三浦友和)と会っている所を目撃し、自分は母が夫に隠れて浮気をした子ではないのかと思い込み、夫婦というものに懐疑心を持つようになっていました。しかし、黄泉の国で再開した母から甲滝は父が祖父に隠れて文筆業をするための変装した姿だったことを知らされ、長年の苦悩から解放されます。

天頭鬼相手のバトルはVFX効果もあり見応えのあるものになっています。(先生って、剣道の使い手だったんだ)天頭鬼は平安時代からずっと亜紀子に横恋慕していて、先生はその都度戦ってきたようです。その証拠が前半の魔物の夜市で登場した骨董品の中にも伏線があったことをエンドロールで改めて確認できるのも良いね まさに運命(DESTINY )の二人だったわけです

作中、一番心動かされたシーンは、病床の先生に最後の別れをするべく寄り添った亜紀子の頬を流れる一筋の涙でした。いいな~~こんな夫婦になりたいなぁ、運命の人に出会いたいなぁ・・と思わせてくれる映画です。


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