杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

グッバイ、サマー

2017年12月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月10日公開 フランス 104分

14歳。子供でもない、大人でもない狭間の時期。画家を目指すダニエル(アンジュ・ダルジャン)は沢山の悩みを抱えていた。中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれて馬鹿にされており、恋するローラ(ディアーヌ・ベニエ)にはまったく相手にされていない。おまけに母親(オドレイ・トトゥ)は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。誰も本当の自分を理解してくれる人はいない……。
そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生がやってくる。名前はテオ(テオフィル・バケ)。目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは意気投合し、やがて親友同士になっていく。学校や家族、そして仲間達、みんなが二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から脱出するため、彼らは“ある計画”を考え付く。それは、スクラップを集めて〝夢の車”を作り、夏休みに旅に出ることだった―。(公式HPより)

 

14歳の少年二人が夏休みに“動くログハウス”で旅をするロードムービーで、ミシェル・ゴンドリー監督の自伝的青春映画です。

ダニエル役の子は女の子と言われても納得の容姿。でもそれが彼のコンプレックスでもある。それなら髪を切れば良いと思うけど、それでは他に何も取り柄がない(と自分では思っている)彼にとって没個性になってしまうというジレンマがある。思春期特有の複雑な感情がダニエルを支配しています。

クラスで浮いてる彼は、転校してきて同じように周囲から浮いてるテオにシンパシーを感じます。廃品から見つけたエンジンが発端で、二人は自動車を作ります。そのままでは公道を走れない(当然年齢的にもOUT)のですが、ダニエルは外観を家にしてカムフラージュすることを思いつきます。実に楽しそうに「夢の家」を作る様子が描かれます。テオのお母さんも薄々気付いていながら見て見ぬふりをしてくれているように感じました。

夏休みに入ったある夜、親に嘘をついて旅に出た二人。(ダニエルは兄には本当のことを打ち明けていて、兄も彼にスマホを持たせて協力的です。これは母に心配をかけないための工作でもあって、やはり男の子は母親に優しいんだな~とか筋書と関係ないことで嬉しくなったりでもそのスマホは悲惨な運命を辿るのですが)途中で出会った警官たちも家の外観に騙されます。窓辺に飾った花鉢が効いてるんだな~~(いやいや、普通道路の端っこにそんな建造物があったら疑問を持つと思うんだけどね

旅の途中で出会ったちょっと変わった大人たち(風俗店のおねーさんや不良?たち、子供に家を出ていかれた歯医者の夫婦)とのエピソードが愉快。

テオが決めた目的地へ行く途中、坂道に挫けたダニエルは言葉巧みに恋するローラの滞在先へと変更させますが、告白するしないで口論している最中にロマの家と間違われて彼らの車も燃やされてしまいます。仲違いした二人はしばし別行動。ダニエルは風俗店で中途半端に切られた髪を自分で刈り上げます。(あらら~~短髪だとちゃんと男の子に見えるね)不良への仕返しでラグビーボールを奪って逃走中にテオと再会し、二人で逃げる途中で車は完全にオシャカに

でも、ダニエルが得意の絵でパリまでの航空券をGETして二人は家に戻ることができました。(年齢詐称とかすぐばれそうなものですがね

ここまでなら夏休みの愉快な冒険談で終わるところですが、この旅行中にテオの母親が病死していて、彼は親戚のところに行くことになります。(おそらくは働くことになるのでしょう)テオのいない新学期、ダニエルはテオのことを悪く言った同級生を殴って(テオに教わったやり方ですね)しまいます。以前のダニエルからは考えられない行動ですが、これも一つの成長の証でしょう。

ダニエルとテオの母親は接し方は放任と過干渉と違ってはいますが、愛情という点ではどちらも息子を間違いなく愛しています。それが伝わってきたのも良かったです。


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