杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ストリート・オーケストラ

2017年12月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月13日公開 ブラジル 103分

バイオリニストのラエルチ(ラザロ・ハーモス)は、憧れのサンパウロ交響楽団のオーディションに落ち、生活のためにスラム街の学校で音楽教師の仕事に就く。ある日、ギャングに襲われたラエルチは、ギャングを前にバイオリン演奏を披露し、その演奏に感動をしたギャングはラエルチへの銃口をおろす。そのエピソードを聞き、暴力以外にも人を変える力があることを知った子どもたちは音楽が与える喜びを実感し、失意にあったラエルチも情熱を取り戻す。そんな矢先、校長(サンドラ・コルベローニ)から次の演奏会で最高の演奏ができなければ、学校の存続が難しいという現実を告げられてしまう。


ブラジルのスラム街の子どもたちによって結成されたクラシック楽団「エリオポリス交響楽団」誕生の実話を映画化したんだそうな。監督は教育や文化の力がどのように市民生活を変えることができるのかを視点に、ブラジルの抱える問題の解決方法は、教育の向上と万人に行き届く教養にあるという考えを示しています。平たく言えば、音楽が喜びを与え、喜びこそが悲しさや苦しさを乗り越える力だということですね
 
貧しいスラム街の子供たちとクラシック音楽を演奏するのはミスマッチに見えますが、音楽を愛するという意味では同じなんですね彼らが普段慣れ親しんでいるのはヒップホップなどのポップスだったりします。貧困から抜け出すにための手段として選択している節もあるかな
劇中に登場するのはバッハ・パッヘルベル・パガニーニの名曲だったり、流行りのポップスだったりします。
 
ラエルチはかつては神童ともてはやされた才能の持ち主ですが、プレッシャーに弱くオーデションを落ちてしまいます。生活のために引き受けたスラム街の子供たちに演奏を教える仕事は、楽器の持ち方から教えなければならない始末。ド下手な素人集団に溜息をつくラエルチでしたが、子供たちと関わり、特にサムエル(カイケ・ジェズース)のバイオリンの才能に触れてやる気が出ちゃうんですね 
子供たちの方も、ギャングをバイオリンの演奏で黙らせたラエルチに音楽の持つ力を教えられて真剣に楽器と向き合うようになります。
 
サムエルと彼に負けないくらいの才能を持つVR(エウジオ・ビエイラ)は親友。VRは悪い仲間とつるんでカード詐欺やらの悪事に手を染めていて、サムエルは心配していましたが、ある夜、警官に追われて逃げる途中でサムエルが撃たれて亡くなってしまいます。この事件が元でスラム街で暴動が起きるというエピソードは実際に起きた事件をベースにしているんだそう。
 
子供たちに教えることで、音楽への自信と情熱を取り戻したラエルチは、サンパウロ交響楽団の主席バイオリンの座を勝ち取るのですが、サムエルを喪ってそれでも演奏会に向けて必死な子供たちを見捨てられず・・・(実はこのあたりの展開がいまいちよくわからなかったのですが、彼は両立できたんでしたっけ?
 
ラストの演奏会で、奏でる彼らの音に酔いしれる聴衆の姿はまさに音楽の力を示していました。

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