杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

聖女の救済

2012年02月18日 | 
東野圭吾 著 / 文藝春秋 刊

男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相は―虚数解。理論的には考えられても、現実的にはありえない。 (「BOOK」データベースより)


ガリレオシリーズ第4弾でシリーズ2作目の作品。

真柴綾音と義孝夫妻は子供ができないことを理由に離婚することが決まっていた。その時綾音の胸中には義孝へのある宣告が下されていた。・・・冒頭で既に犯人はわかってしまいます。なので、興味の対象はそのトリックに移ります。だって、綾音は北海道の実家に帰っていて留守だったのですから。

綾音のパッチワーク教室の講師であり、愛弟子の若山宏美と夫が不倫関係にあることが示されると、宏美に嫌疑がかかるよう仕向けるのかと疑いますが、そうでもなさそう。
死因が珈琲に仕込まれた毒殺ということで、用いられた亜ヒ酸は和歌山カレー中毒事件にヒントを得たもののようです。

問題は毒物の混入経路で、綾音を疑う薫は、湯川に協力を申し出るのです。湯川が導き出した答えはまさに理論上はあり得ても、現実にはあり得ないものでした。しかし先入観を排した聞き込みから導き出したそれはまさに理解を超えた完全犯罪のトリックだったのです。

綾音と初めて会った時に覚えた草薙の心のときめきは、恋とばかりも言いきれない刑事としての感が影響していたというのが、なんだか切ないね。

それにしても、それほど周到に待つことが出来るものなのかしら?
義孝は確かにかなり身勝手ではあるけれど、嘘をついたり騙したわけではないのです。愛と憎しみは表裏一体というけれど・・・親友を裏切ったという負い目が夫への過度の愛憎に結びついた気がしてなりません。おとなしい女ほど恐いぞ~~

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