杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

モリエール 恋こそ喜劇

2012年02月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年3月6日公開 フランス 120分

1644年、22歳の駆け出しの劇作家モリエール(ロマン・デュリス)は前年に旗揚げした劇団の借金が膨れ上がり、債権者から追われていた。多額の借金に苦しむ彼は、金持ちの商人ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)に窮地を救われる。借金の肩代わりと引き替えに、ジュルダンの演劇指南役として雇われることになったモリエールは彼の屋敷で聖職者と偽り暮らし始めるが……。

フランスが誇る喜劇王として有名なモリエールの若き頃の数か月間の失踪の謎を大胆に脚色した映画です。モリエールの作品については殆ど何も知らず、ただ名前のみという私ですが、映画全編に漂うエスプリの効いた軽妙な笑いの雰囲気に魅せられました。
豊か(すぎる)胸毛、どっかでみたな~~と思ったら・・ロマン・デュリスがお茶目で飄々とした美男のモリエールを演じています。

ジュルダンは貴族の未亡人セリメーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)に熱を上げ、彼女の気を引くためにサロンで芝居をしようと、その指南役にモリエールを雇います。ジュルダンの妻(ラウラ・モランテ)は、胡散臭いモリエールを警戒していましたが、彼の書いた脚本を偶然読んで彼に惹かれていきます。ジュルダンの娘は貧乏な若者と恋に落ち、もう一人の娘は生意気盛り。そんな一家にモリエールが加わり要らぬ波風がたっぷり巻き起こるのです。

ジュルダンに未亡人(あまたの崇拝者たちから金品を巻き上げる小悪魔キャラ)を焚きつけたのは、貧乏貴族のドラント伯爵(エドゥアール・ベール)で、その裏でジュルダンのまぬけぶりを嗤いながら、持参金目当てに自分の息子を彼の娘と結婚させようと画策します。

貧乏貴族は喉から手が出るほど金が欲しいし、裕福な商人が次に求めるのは地位(爵位)というわけです

夫人と割りない仲になったモリエールですが、やがてジュルダンの知るところとなります。
セリメーヌの本心を知り(この時のモリエールの演出もかなり滑稽ながら、どこか知的でした)傷心のジュルダンは今まで振り返りもしなかった妻の不貞に打撃を受けながらも、自らを反省し、妻を取り戻すためにモリエールとある取り引きをするのです。単なる修羅場にならないのがいかにもフランス風?

ジュルダンの娘を政略結婚から救ったモリエールは、夫人に別れを告げます。
悲劇こそ劇の主役と考え喜劇を軽んじていたモリエールに夫人が与えた助言を守り、彼は国中を回って興業し、劇団の名を高めていきました。そして13年後。パリに戻り今度こそ「正統派」の劇を上映と思ったモリエールの元に一通の手紙が届きます。それは片時も頭を離れなかった愛しい人の病を知らせるものでした。夫人との悲しい別れは、彼の中に残っていた思いあがったプライドを消し去り、偉大な喜劇作家としての礎になったのでした・・・とさ。 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 聖女の救済 | トップ | ペーパーバード 幸せは翼に... »
最新の画像もっと見る

映画(DVD・ビデオ・TV)」カテゴリの最新記事