杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

明日に向かって笑え!

2022年01月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2021年8月6日公開 アルゼンチン 116分 G

2001年、アルゼンチンの寂れた田舎町。元サッカー選手のフェルミン(リカルド・ダリン)ら住民たちは、放置されていた農業施設を復活させるため、貯金を出し合うことに。しかしその金を銀行に預けた翌日、金融危機で預金が凍結されてしまう。しかもこの状況を悪用した銀行と弁護士に預金を騙し取られ、住民たちは一文無しに。奪われた夢と財産を取り戻すべく、驚きの作戦を練る彼らだったが……。(映画.comより)

 

金融危機のおかげで夢も財産も奪われた小さな町の人々の奇想天外な復讐計画を描いた痛快ヒューマンドラマで、リカルド・ダリンと息子のチノ・ダリンが父子共演しています。

フェルミンと妻のリディア(ベロニカ・ジナス)は、農協を作って町起こしをしようと考え、出資者を募ります。集まったのは、タイヤ修理店のアントニオ(ルイス・ブランド―ニ)、列車が止まらなくなってしまった駅の駅長ロロ(ダニエル・アラオス)、運送会社の社長カルメン(リタ・コルテセ)と息子のエルナン(マルコ・アントニオ・カポニ)、元工兵のアタナシオ(カルロス・ベロッソ)、金属加工場が倒産し畜産業に手を出すも失敗したエラディオ(アレハンドロ・ヒヘナ)とホセ(ギルレモ・ヤクボウィッツ)兄弟です。

それぞれがなけなしの金を持ち寄ったお金を銀行の貸し金庫に預けたところ、今すぐ預金すれば融資をすぐに受けられると支店長のアルバラド(ルシアーノ・カゾー)に言われ、仲間の了解を取る時間もないままフェルミンは全額預金してしまいます。ところが翌日、国による金融封鎖が発動します。全てを失った彼らは、弁護士のマンシー(アンドレス・パラ)が支店長と組んでドルを引き出していたことを知ります。

フェルミンはアルバラドに抗議に出かけた帰りに動揺のあまり運転を誤って事故を起こし、同乗していた最愛の妻まで失ってしまいます。息子のロドリゴ(チノ・ダリン)も大学を続けられなくなって帰ってきました。一年後、失意のあまり無気力になったフェルミンに、マンシーがドルを地下に掘った金庫に隠しているらしいという情報を持ってアントニオがやってきます。

ロドリゴの賛成もあって、フェルミンは再び仲間たちと一緒に隠し金を奪って自分たちの失ったお金を取り戻そうと計画します。

マンシーの秘書のフロレンシア(アイリン・サニノビッチ)に近づいたロドリゴが持ってきた情報で、地下室の警備体制を調べた彼らは、バッテリーに繋がる電源を操作してマンシー自らがバッテリーを切るように仕向けます。一致団結して計画に当たる様子や、右往左往するマンシーの慌てぶりが面白くて笑えました。

ロドリゴがフロレンシアに疑われた(植物の世話のボランティアを口実にマンシーの事務所に入り込んだのに植物の知識ゼロなんだから当たり前)と知ったフェルミンは計画を中止しようとします。事がばれたら妻だけでなく息子まで失ってしまうと心配したからです。しかし仲間たちはフェルミン抜きでも計画を実行しようとし、ロドリゴも加わります(彼は母親の農協を作るという夢を叶えたかったのね)最後にはフェルミンも覚悟を決め、嵐の夜に計画は実行されることになります。

計画通りなら落雷の影響で停電していると疑われずに済んだのですが、大胆かつコミカルなハプニングが起こり、発電施設が破壊される事態になります。急いで金庫を開け隠し金を盗み出し、地下室に火をつけて逃げる彼ら。事態に気付いて駆け付けてくるマンシー。スリリングな展開ですが、彼らは無事やり遂げました。

日本の警察ならすぐに犯人を割り出し検挙しそうですが、アルゼンチンだからか映画だからか、逃げおおせたみたいです。もっとも表に出せない金なのだから警察に訴えることも出来なかったのでしょうね

自分たちのお金(フロレンシアの家族が失った分もあるのでしょう)を取り戻し、残りは慈善団体に寄付して、彼らはそれぞれの夢を叶えます。農協を作り町の人を大勢雇って、孫(ロドリゴとフロレンシアの子供かな)とのんびり釣り糸を垂れるフェルミンは満足そうです。

国を相手にしては勝ち目はないけれど、せめて目先の悪人を成敗して溜飲を下げるのもありかもね


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