月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

マンションの大規模修繕工事はじまる。

2021-05-25 23:34:00 | コロナ禍日記 2021






 4月8日(木曜日) 晴れ

 朝はヨガ、瞑想。午後から仕事をする。

 きょうは、家人が在宅のテレワーク。ついにうちのマンションの大規模修繕の工事を始めた。鉄芯を巡らせ、ジャングルジムみたいな足場をつくっている。「観念しなさい。君たちは包囲されている。手を上にあげて出てきなさい」と閉じ込められているような気持ちになった。






 ゴーゴー、ドドドッ。ドリルで外壁に穴をあける音が、部屋中をふるわせる。ミシミシと柱が動く。カンカンカンと鉄と鉄を鳴らす音。工事の騒音はすごいのに。学生時代の文化祭や体育祭行事で大道具、小道具をこしらえている感じすら。チームワークは、バッチリなのだ。暗い部屋、息を潜めて静かに隠れている約2名の住人の図を想像した。カンカンと鉄を打つ音にまじって、ひそひそと話を聞いている内容のほうが面白い。

「ちょっと、こっち手伝ってや」「あかん、たらん。のばして」「よっしゃ、はまった」「昨日な、おれ、晩たべてないからふらふらよな」「お前なあ」

 

 住人は平気で、盗み聞き。にぎやかなものだ。彼ら工事現場のお兄さんをつい、信用したくなるのは、その規則正しさにも現れているのだった。8時45分に、人がわらわらとやって来て、10時前にはすっと引いていなくなる。午前中の休憩タイムは40分間だ。

 

 12時から昼1時。3時から3時45分までも休憩タイムらしく。ものすごい騒音と金属音が一瞬にやんで、シンとした静寂の時がもどってくる。その緩急はすばらしく、「動」が激しく活気にあふれているだけに、静は湖のそこのように静まりかえっている。

 

 夕方5時。ぴたりと音がやんで、家人のテレビ音がひとしきり大きく耳に響いてきた。ふー、ため息が思わず出た。きょうから7月まで延々、修繕工事が続くのだという。

 夕食には、みそかつ卵のせ、グリーンアスパラガスとゆでたまご。グリーンサラダ、しじみの味噌汁。夕方からテープ興しを12時半近くまでした。ようやく8時間終ったが。まだ6時間以上残っている。

 夜中2時、お風呂にはいって本を少しだけ読んで就寝。

 



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