月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

大寒。雪ノ舞うセンター翌日。あれから1年です。

2014-01-21 20:00:39 | 今日もいい一日






昨日は大寒。一年で一番、寒い日だ。

机の下に忍ばせてある、足入れタイプの温熱マットをはいても、昨年買った膝掛けをかけても。寒い、寒い、寒い!!
後ろには、デロンギの暖房まで控えているというのに、ちっとも温まらない。
風邪でもひくんかしらん。それでもずっーと机の前に座っていたが、どうも集中できない。
それで、お風呂に。

うわっー、ここに住まう。住まう。おっしゃー!などと安堵したけれど、
30分もしないうちに上がってしまったのだ。
いつものように本を読んでいたら、肩や腕のあたりが冷えて寒い。
ひんやり、冷たーくなってしまっていたのだ。

お風呂から上がって、気合いはいれても仕事の続きをする気が失せて
ストーブの前でしばらく縮こまっていた、のだけど。
なんだかなー、という気がして。思い切ってリビングの窓を全開!!

そして、掃除機をかけて掃除をはじめた。

すると、不思議とそれほど寒さを感じなかった。へんだなー。なぜだろ。なぜに? 


外気が部屋の空気を洗っていくようだ。気持ちよいとはいえないまでも。
冬の冷気を、その少しだけ埃くさい雪どけのような匂いを、肺の奥までいっぱいに感じることができて、
心が落ち着いた。
(そう、寒い寒い、思っていたから寒かったのか。
日々、冷静になって、頭を冷やして、心が落ち着けることが肝心である)。

それから、いろいろな雑多小物を整理整頓して、テレビの周囲や流し台のカウンターの上、テーブルの上などを雑巾掛けすると、
さらに心が落ち着いてきた。
なんだか、自分までしっとりとあか抜けてきたふうに。
なぜ、もっと早く、早くこうやって窓を開け放って外界の空気を取り込んで、拭き掃除や掃除機かけをしなかったのだろう、
と不思議に思えてきたほどに。埃、ホントは気になってたんだ!
(冬。今日のように寒い日は、子宮あたりの腹部らへんが重苦しくて、へんな感触がまだある。
忘れていたものが目覚めるみたいに。あるはずのない異物感をまだ、じんわりと感じて)


でも、そんな時。思い切って寒い寒い空気のなかへ飛び出して、冷気を全身に浴びてみること。
そのほうがシャンとするということもあるのだね。

30分も窓を開けていたら、体も芯まで冷えてしまっていた。肩が凝ってきたみたいに凍えた。ホントに冷えた。
でもさきほどより、いくぶんも心は明るい。

それで今度はNの勉強まわりを、今度は窓を閉めて掃除していたら、
ピンクの紙に書かれていた小さなレター(メモ用紙)が目にとまる。
水色のペンでこう書いてあった。

「あなたの成功を願う人は、
たくさんいます。
ハッピーな未来を想像して
クールに、スマートに
戦っておいで。」


あれ?誰からのメッセージ?

夜。学校のスタディールームから寒い、寒いといいながら戻ってきたNに、夕食を提供し、
「こんなの落ちていたよ」と、この話しをしたら、彼女は夜ごはんのビーフストロガノフで満腹になったお腹をさすりながら、「ふ~ん。ありがと」といい、
携帯の待ち受け画面をチラリとみせてくれて。それから、すぐにお風呂に入っていった。



「あなたの成功を願う人は、
たくさんいます。
ハッピーな未来を想像して
クールに、スマートに
戦っておいで。」


iPhone待ち受け画面(ログインする前の画面)には、クセのある文字のままで、
このメッセージが貼りつけられていたのだ。
昨年のセンター試験の前に、塾の英語講師(G)が手渡してくれたものだという。

あの子は、まだ戦っているのだ。
まだ、大事に持っていたんだ、よね。


週末でセンター試験は終わり、
月曜は、センターの翌日。

「昨年の今日は人生で3本の指にはいるくらい、辛い日だった」
「まるでお月さまが欠けていくみたいに、自分の希望も欠けていくみたいで空しい、たまらん日だった」と。
あとでNはぼんやりとした顔で。昨年をふりかえって話していた。
ふたりで昨年のエピソードを、次から次へと語り合って、そして笑った。 物語みたいに。

1月21日。
全国の受験生はどんな心中で、この大寒の。凍り付くような冷気を受けとめ、将来を思考されているのだろう。
いろんな受験があって、いろいろな人生の選択があるのだ。将来の大きな、大きな分岐点。
それが大寒。この信じられないほどの極寒のなかで、子どもたちの(家族たちの)、さまざまな葛藤があるんだ。
(Nと同じ学年の浪人したあの子は、どうだっただろう。センター試験。そう思いながら大手予備校のセンター速報を検索する)

Nは、いま大学の後期試験の真っ最中。それが終われば来月からはイギリスに1カ月ほど語学留学する。
あれから、あの暗黒の日々からすでに、というかもう、前進しているんだよね。

ガンバレ、全国の受験生よ!
道はある。必ず道は目前にあるよ。





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6 コメント

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頭寒足熱 (しろくま)
2014-01-22 11:12:40
一遍の小説を読んでいるようで…
自然と入っていけました(しみじみ)
掃除すると頭の中まで整頓されていくような
気が私もしますね~。なぜか忙しいときに
私は掃除をしてしまいます(笑)
ほんとに不思議と落ち着きますね☆
人の体は順応するようにできているのでしょうね~
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Re:頭寒足熱 (アンデル)
2014-01-23 12:31:03
忙しい時に掃除するんですか~。
いつも、あちらこちらキレイにされてますもんねー。
私は忙しい時に限って、ウォーキングに出たり、お風呂に入ったり、本を読みはじめたりします。ようは落ち着け、落ち着けと、自分に言い聞かせているんですが。
掃除。シンプルな暮らし、長年の憧れです。
頭寒足熱も、いいですよねー。
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Unknown (しろくま)
2014-01-26 04:21:05
私もなんかいろいろと他のことも
やりたくなってしまいますね!
結局仕事の時間が短かくなってしまうのですが…
でも案外短時間で集中してやった時が
いいものが出来たりします。
寒いとやる気が起きないので、お風呂が一番ですね!
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Re:Unknown (アンデル)
2014-01-26 20:05:02
そう、やっぱお風呂。ウレシいなー。
お湯が冷めないで、追い焚きしなくてよい方法があれば教えてください。
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秘伝? (しろくま)
2014-01-29 17:08:06
冬は冷めるの早いですね~。
入る直前に湧かますよね~、
追い炊き使わないなら…
体は湯船のお湯で洗って
冷めたお湯は洗濯器行き…
減った分熱いお湯をたして
かき混ぜて…ハイっ!
あったか~いお風呂の
出来上がり…☆
あとは入ってるときお風呂のフタは
半分くらいかぶせてます(笑)

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Re:秘伝? (アンデル)
2014-01-29 21:42:13
わー、効率的。見習わねば(*^^*)
私も湯船のふた、半分閉めて入るのはお試し中なりー。
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