月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

横浜でプリンアラモードはいかが

2019-09-21 00:31:29 | writer希望を胸に執筆日記

8月23日(金)晴

翌日もよく晴れた。
Nは、早朝6時にはホテルを出たので、
私は一人で、バスローブのまま部屋の中をうろうろして、正面の家具の中にしまい込まれたテレビをつけたり、新聞をみたり。
それから「翼の王国」(ANA機内誌)を持って、
白の大理石調のバスタブで読む。
そうやって1時間近く、一人の休日を楽しんだ。


取材の予定は、5時。丸の内線の本郷3丁目でディレクターと待ちあわせ。

それまで、ホテルニューグランドの西洋建築(建築家は渡辺仁氏)をウォッチングした。






アールデコの階段や壁の色。ぽってりとした白磁の陶器のような白、クリーム地、鶯色の緑や。それにこの照明。明治期の装飾は、これみよがしでなく、控えめな品があっていい。
昨日のロビーで催されたナイトラウンジも素晴らしかったが、私たちの席の真正面に据えられた照明の中央は、ナント弁財天の彫刻が施されていたそうだ。






さて。今回の宿泊の一つの楽しみだった、プリンアラモードを求めて、1階の「ザ・カフェ」へ。

プリンアラモードを食べてみるために、
宿泊する客というのも、そう多くはないだろう。

これが、ホテルニューグランドの名物プリンアラモード。






アメリカ人将校夫人たちを喜ばせたいと、当時のパティシエが考案したメニューだそうで、NHK「グレーテルのかまど」という番組で紹介されていた。


ボード型のガラスの器の上には、ゆかしきプリン、バニラアイス、キウイが3切れ、オレンジ、乾燥プルーン、生クリーム、りんご、ミントを添えた生クリーム。

あぁ、しっかり甘く。素材本位の味。年配者から子どもまでに愛される味というもの。プリン、アイスクリームもさることながら、特にプルーンの煮加減がよくて感心した。

お昼前とあって、周囲ではホテル発祥の伝統料理、ドリアやナポリタンを食べている。

通路をはさんで隣やその前後には、おじさん、おばさんが楽しそうにこの夏の思い出や近日の出来事などをおしゃべりしている。
あとは家族連れ、パンケーキを食べているカップル2組。外は、麦わら帽子をかぶっている中年夫婦が、きれいな沈黙を張り付けて元町の方角にむかって歩いていった。


ポメラをパタンと閉じるや
元町へ、ふと行ってみたくなり、スーツケースをホテルに預けて、とことこ出ていく。






昔とさほど変わらないようだが、店舗がどうも面白くない。数件の店をひやかして、昨日歩いた元町中華街まで戻ってきた。

アッという間の90分。そろそろ仕事である。
ディレクターと連絡を取り合い、東京駅へ。待ちあわせ場所を変更し、丸の内の南側、東京ステーションホテルのロビーにしてもらった。
2階の「虎屋茶寮」で打ち合わせ。仕事モードへ切り替えだ。





本郷3丁目の某医院にて、女性医師に話を聞く。この先生にお会いするのは今回で2度め。「これから、パーティーがあるのでタクシーの中で続きは話すわね」といわれ、写真撮影を終えて、タクシーに私とディレクター氏とともに乗り込む。

赤坂の「永楽倶楽部」にて、後半取材。
女性医師以外にも3人のインタビューを終える。

「永楽倶楽部では、これを絶対に飲まなくてわね。三島由紀夫も愛したというドライマティーニなのよ」と先生が何度もおっしゃるので、ありがたくごちそうになる。パーティーの料理もぜひに、と勧められたが、遠慮して退散。
夜8時半の新幹線で帰阪した。

明日は地域のサマーフェスティバル。この夏は、役員にあたっているので朝から夜まで出ずっぱりの予定。





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