「ただいま」
声をかけてみたが返事がない。玄関で靴をぬいで廊下を歩いて台所へ行き、居間、奥の仏間に入っても気配はなかった。あれ、どこへ? と思った瞬間に、レンガ色のセーターの背中がぬっとみえた。
縁側で、その人は、橙だいだいの木をみていた。冬の終わりの弱々しい日だまりの中にいた。
こんなに、小さな人だったっけ。
背中の小さなその人は、わたしの幼い頃と、とてもよく似た微笑み方で縁側からわたしのことを見上げていた。母のことだ。
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戸惑いの89歳、スマホデビュー!|みつながかずみ|writer|note
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