月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

電話インタビューだけで人物取材記事を書く「穴」にはまる。

2014-06-02 16:37:11 | 執筆のおしごと(主な執筆原稿、最近の公開できるもの記録)



この週末から、人物インタビューの記事をずっと書いているのだが、どうもうまくいかない。
もう7年8年、レギュラーでやり慣れた仕事なのに、どうしたことか。

実は長野県まで取材に行く予定が、先方と私のスケジュールの問題や経費削減の関係で、電話インタビューというかたちに収まってしまったのである。

1時間もあれこれ話し、録音もしたので大丈夫だろうと自分としては「達観」していたのだが、これが甘かった。
やはり、インタビューの仕事というのは「取材力」が命だ。電話で情報だけ集めても、どうも「ひと」そのものが、石のようになって固まったまま、
イキイキと物語が動いてくれないのだ。文章はまるであらすじのようになり、
文体は一辺倒のお経でも聴いているよう。

話としては正確なはずだが。魅力に欠ける。
要するに全くつまらない、何度書き直しても、人物が生きてくれないのである。


あーーー、なんとかしなければ。デザイン渡しを一日でも早くしないといけないのに。これは困った。

本来は、6月1日(日曜日)は京都・吉田山での、お茶会のお誘いもあって楽しみにしていたのだが、
もっと早く着手すべきだった。
仕方なしに、週末も平日と同じくずっーと1人で作業していた。



取材というのは、目と耳と感触、そして感動と。その日、その時に出会ったいろいろな感性の総動員なのだな、と改めて思う次第だった。

と同時に、もしかしたら、自分に想像力というもが欠け落ちてきて、
文書構成力のレベルも同時に落ちているのでは、という恐怖もつきまとう。

ともかく、あと少しはやってみよう。想像の翼を広げて、イメージしよう。
イキイキと人物が私の目前で、話してくれている様を描いて、その人の人生をのぞいてみよう。もっともっと知りたいと思おう。

最近は1つの案件で1万5千文字とか、の原稿が多いなかで、
2千文字の原稿にやられているとは…(600文字の原稿なら電話だけで書けるのにね)。

ふと、先日図書館で借りてきていた「暮らの手帖」がそばにあったので手にとる。そのままソファに移動して読んだ。

フランス人である「ジェーン・パーキンの暮らし」を書いた10ページほどのインタビュー記事。
恍惚とするほど、魅力的に描けているなあ。もちろん媒体自体が圧倒的に違うし、人物そのものが問題にならないくらい違う。
それはわかっているけれど、
いいなーーこういうの。
彼女の過去から今の興味、ファッション、話し方、息づかいまで伝わってくる。もっとジェーン・パーキンさんに興味がおよび、「冬の子どもたち」という音楽も聴いてみたくなった。
洞察力と取材の力だ。さすが良く出来ているなぁ。

やっぱり、自分の想像力の貧困さが「穴」にけつまずく原因か。大丈夫か自分と思う。


夜は、夕食の後でプレミアムモルツを飲みながら「マイレージ・マイライフ」のDVDを家族で観る。