あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

ブッチャーが指名した、あの試合を生観戦

2016-03-04 07:00:52 | 日記
勘が狂って指名相手を間違い

 あの日リングに立った男がもしも別の相手を指名していたら、その後の3人の
運命は全く別の方向に進んでいたかもしれません。
若死にする事も無く、巨額の損害賠償を命じられる事も無い、平穏な暮らしを
送れたのではないでしょうか。
 今振り返り、そんな思いを抱いてしまうあの日の試合でした。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」と題して、当時生観戦した
試合を振り返っています。
今日は1981年11月5日に行われた新日本プロレス、蔵前国技館大会です。

 アントニオ猪木とラッシャー木村がランバージャックデスマッチで雌雄を決する
試合がメインでした。
私もそれを目当てに会場に行ったのですが、記憶に残るのはブッチャーがブラボー
を指さしたあのシーンです。
 人気に陰りの見えたアブドーラ・ザ・ブッチャーが登場するタッグマッチは、
パートナーが負傷欠場した為急きょシングルマッチに変更されました。
同時に対戦相手をブッチャーが選ぶと発表され、ファンは驚喜しました。
当然指名相手はディック・マードックだろうと期待する中、ブッチャーは何とディノ・
ブラボーを指さしたのです。
 落胆と怒号が渦巻き、リング上には「しまった」と後悔と焦りを隠せないまま
たたずむブッチャーがいました。

 ブラボーとの試合は決して悪い物ではありませんでした。
しかし黒人嫌いと噂され本気で潰しに掛る強豪マーッドックから逃げたと烙印を押され、
ブッチャーの人気はこの日を境に地に落ちました。
 対ブラボー戦は対戦を続けて行けば人気カードになった可能性を持ちながら
「臆病者ブッチャー」とでは興味は湧かず、いつしかファンの関心も失せて行きました。

もしもワールド

 12年後44歳のブラボーは違法密輸のトラブルで射殺され、15年後49歳の
マードックは心臓発作で死亡しました。
残るブッチャーは26年後に行った大流血戦の対戦相手からC型肝炎を感染させられた
と訴えられ、230万ドル(2億5千万円)の賠償を命じられています。
70歳で引退したブッチャーを2年後に襲った悲劇でした。
 3人が3人とも思いもよらぬ不幸に見舞われてしまったのです。

 もしもの話です。
この日ブッチャーがマードックを指名していれば、その後3人の運命は全く違っていた
かもしれません。
 二人はけんか腰の壮絶な試合を行い、どちらが勝っても再選が組まれ、こいつに
だけは無様な姿は晒せないと互いに十分にトレーニングに励みました。
練習嫌いのマードックもこれを機にシェイプアップを図り、心臓発作の恐れなど
無いまま長く現役を続けました。
 ブッチャーは新日で人気を盛り返し巨万のファイトマネーを稼ぎ出し、体力の衰え
と共に早期に引退。
年老いてまで流血戦を行う必要などありません。
 この日対戦しなかったブラボーは、人気者のブッチャーに臨んだ一戦が注目を集め
その後日本でスターに上り詰め、密輸に手を染める事もありませんでした。

 もしもあの日リングで指名した相手が違っていたならば、3人を襲う不幸は
無かったかもしれません。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 君は不動産王だ、小さなキツツキ | トップ | 善光寺さんでお十念 »

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事