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宝塚花組新人公演「ファントム」('2011)の衝撃

2012年12月06日 | 宝塚

朝の放送なのでテレビ内蔵のハードディスクに録画して、夜、ヨメさんと二人で見ました。

あまり期待していなかったのですが、宙トップになった実咲凜音クリスティーヌをどう演じていたのかと

いう興味だけで見始めました。



ところが、もちろんクリスティーヌは期待にたがわぬ上々の歌と演技でしたが、エリックがこれまた素晴ら

しい出来!二人のデュエットたるやもう圧巻です。望外の収穫でした。



で、最初夕刊を読みながら画面をチラ見していた私ですが、途中から新聞は投げ捨てて眼は画面に釘づけ。

主役二人だけでなく、キャリエールカルロッタを始め主だった配役がこれまたよくやっていて、到底

「新人公演」のレベルではなかったですね。





見ていて、もうただただ二人で感嘆するばかりでした。

まずクリスティーヌの実咲凜音。期待以上の出来で、ファントムに鍛えられて歌がうまくなっていくところ

とか、最初の見せ場のビストロで、遠慮がちな頼りない歌声から、エリックのサポートで一変して俄然その

場を圧倒する歌唱力を見せつけるところなど、歌ウマぶりを存分に発揮しています。

歌声の変化が痛快で、こちらの期待に十分応えてくれる場面になっています。まったく本役形無しです。






恵まれた容貌ですが、感情表現も豊かで、まなざしだけでも感情を訴えることもできたり、このとき研3

だそうですが、大した演技力です。



エリックの鳳真由もはまり役でした。この人も表情が豊かで、演技に力があります。



大体私はこの「ファントム」という題材は、容貌で人を怪物扱いして差別するような話なので、これまでも

観ていてかなり違和感があったのですが(クリスティーヌがエリックの顔を見て逃げ出すところとか)、

今回初めて感情移入できるファントムになっていました。


彼女も歌唱力があるので、声を張り上げない歌い方でもよく気持ちが伝わってきます。そして張り上げる

ところになったら、もう圧倒的です。これまた本役さんの顔色なしですね。

これまで見た中でもっとも完成度の高いファントムだと思います。「ファントム」で涙ぐみそうになった

のは今回が初めてです。



あと目についたのがこの人↓。ジェラルド・キャリエールです。



本役は壮一帆で、この人の演技はもちろん申し分なく、本公演で唯一安心して観られた登場人物でした

が(笑)、今回の真瀬はるかも大したものでした。安定していて、とても新人公演とは思えません。

よく老けていて感心しました。余裕と貫禄が感じられて、後半エリックとの対話の場面では、歌もセリフ

も本当に切々とした哀感がよく伝わってきます。演技の完成度は高いです。





そしてこの人↓。カルロッタ役の仙名彩世




どの組でもちょっとオーバー気味な演出が気になる役で、この人もその傾向がありますが(笑)、臆すること

なく堂々と演じていて、繰り返しますが、新人公演離れした出来栄えです。こういう役どころがしっかり

してこそ、舞台が締まりますね。


そのほかのメンバーも短時間の練習なのによく役をこなしていて、本当に感心しました。









最後の舞台挨拶もよかったです。
鳳真由はこの新人公演が最後ということでしたが、落ち着いたいい挨拶でした。よくある「お世話になった

人列挙パターン」ではなく、真情がよく伝わってくるオリジナリティのある(笑)挨拶で、話しぶりも落ち着

いていて好印象でした。



見終わって、本公演との「逆落差」にため息が出ました。こんなこともあるんですね。


宝塚というのは、独自の本格的な養成システムを持っているおかげで、いつのまにかいい人材が育って

きていますね。

素質のある生徒を早くから見つけて、その成長をひそかに楽しみにするというのも観劇の醍醐味だそう

ですが、不勉強な私などはその点全く疎く、今回のような発見があって初めてそのことに気付かされて

います。

歌劇団も、この組に限りませんが、旬のうちに実力のある人材をタイムリーに登用していってほしいと

思いました。

12月6日午後 当初の映像が余りにもひどかったので差し替えました

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