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兵庫県立美術館 奇跡のクラークコレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作-を観て

2013年07月29日 | 美術館を訪ねて

ヨメさんが行きたがっていた兵庫県立美術館のルノワール展ですが、基本的に人ごみが嫌いな私なので、なかなか行く気になりませんでした。
でも最近美術館のサイトを見たら、なかなか良さげな展覧会のようで、混雑していても出かける価値がありそうだったし、なにより会期の中盤の今ならそれほど混んでいないだろうと考えて、7月27日(土)に出かけました。

いつもならスイスイ車を走らせてというところですが、やはり関西有数のお出かけスポット神戸なので、今回は事前チェックでも阪神高速・神戸線が渋滞中とのこと。
でも根が楽観主義の私ゆえなんとかなるだろうと、9時前に出発しました。環状線までは、駒川で軽く渋滞したものの大したことはなかったのですが、神戸線に入ると次第に車が増えてきました。それでも10時15分には美術館に到着。駐車場に停めて、車椅子を押してチケット売り場に行きました。

いつも感じることですが、この美術館、「苛酷な建築家・安藤忠雄」の作品らしく障害者や高齢者には全くやさしくないですね。
彼の設計で定番の大きな階段は、美術館に来る年配の観客には辛いので、デザイン優先で極小に切り詰めらたエレベーターはいつも満員。大体、いつ行っても階段を上って3階まで歩いている人をあまり見かけませんね。

さて覚悟していた会場内の混雑ですが、すでにチケット売り場には30人前後が列を作っていました。でも私の予測よりははるかに少なくホッとしました。あのエルグレコフェルメールに比べたらかわいいものです。

入り口で今回も解説用のヘッドホンセットを借りましたが、正直言うとこれがなかなか微妙。
なにしろナレーションの一人が黒柳徹子女史!です。彼女、もともと若い時から滑舌が?ですが、昨今はそれに加齢の影響が加わっていて、それがヘッドホンからディテールまでクリアに聞こえてくると、説明の内容など飛んでしまいそうになります。(殴)
いろいろ興味深い解説内容もあったのですが、人に勧めるかというと結構躊躇しますね。絵の横の説明文とほぼ同一ですし。

余談はさておき、今回の展示品は選りすぐりの名品ばかり。なんといっても目玉はルノワールですが、他の展覧会ではあまり目にすることがない静物画や自画像まであって、人物画も傑作揃いでした。

<シャクヤク>


<たまねぎ>


どうですか?芍薬はまだしも、ルノアールと玉ねぎとは! でもルノアールにかかれば玉ねぎさえ輝いています。(笑)

人物画では一番気に入ったのがコレ↓ 「テレーズ・ベラール」で13歳の少女の肖像画。

ルノアールテンプレ顔」(殴)していないのが気に入りました。もっともモデルになった女性は服が気に入らなくて「好きな絵ではない」と言っていたとか。父親は外交官で銀行家だったそうです。この絵は以前も来日しています。

そしてルノアール・テンプレな人物画も良品揃い。(笑) クラーク夫妻の好みの良さが表れています。

まず「劇場の桟敷席」 本当は3人が描かれていたとか、説明がありました。


そしてこれ↓は「縫い物をするマリー=テレーズ・デュラン=リュエル」。長い名前で覚えられない‥。


ポスターに使われたのがコレ↓ 「鳥と少女(アルジェリアの民族衣装をつけたフルーリー嬢)」ほんとはフルーリー嬢じゃないとかの説明でした。


その他にも有名な「うちわを持つ少女」などがあって、ルノワールは合計22点。満足でした。

他の画家の絵も見ごたえのあるものばかり。

モネといえば睡蓮ですが、こんな絵もあったとは。「エトルタの断崖」↓


観ながら、大昔コーンウォール半島の先端・ミナックシアターを訪れた帰路に立ち寄った風景を思い出しました。オールドハリーというところです。



セブンシスターズよりは小規模ですが、ここもナショナルトラストが保護していて、真っ白な崖がきれいでした。
ああ、また行きたいよ、イギリス貧乏旅行!(笑)

これはバルビゾン派・コローの「水辺の道」↓


マネのこんな絵もありました↓「花瓶のモス・ローズ」


アカデミズムの作品・ブグローの「座る裸婦」。そのまんまな題です。

アングルを想起させる硬質で端正なタッチです。

その他にもジェロームの「蛇使い」やドガの「稽古場の踊り子たち」、ジェームス・ティソの「」もいつまでも見ていたい作品でした。特に「菊」は花の扱い方が斬新でした。

今回の展覧会の感想は、「疲れない」の一言。(笑)
ほとんどの絵が、狭い我が家でも飾れそうなサイズで、しかも穏やかな雰囲気のものが多かったのがリラックスできた要因でしょうね。とくに目玉のルノアールの作品の多くが彼らしく楽天的でハッピーな画風なのがよかったですね。

それと、展覧会の配置が素晴らしい
ルノアールを最後にもってきているのが効果的でした。
というのは、皆さん展示の初めのほうは元気があるので熱心に丹念に観るので混雑しますが、最後のルノアールの展示あたりまで来ると、お疲れなのか人波も適度に散らばってきてゆったり観られたのです。オーバーに言うと、「万葉文化館」状態。(殴)
そのため、会場出口まで作品を観てから、再びはじめからルノアールの作品を見直すことが出来たりして満足しました。ナイスな配置でした。

観終ってから今度は「マリー・アントワネット物語展」へ。
こちらは地味というかマニアックというか、興味のある方には堪えられないでしょうが、私のように「絶対王制」と聞くと即座に拒否反応が出てくる者にとっては余り感銘を受けない展示でした。
でも豪華な衣装やド派手なウイッグ、手の込んだ装飾品を見ていると、派手好きで浪費家といわれた彼女や貴族・王族の暮らしぶりがうかがわれて、フランス革命の背景がリアルに見えてきますね。
以下の写真は撮影自由な展示コーナーで撮影したものです。フラッシュは禁止なのでブレブレです。^^;

衣装はもちろんレプリカ






巨大な帆船が付いたウィッグ↓


出口近くには池田理代子氏が本展用に描き下ろしたのマリー・アントワネット原画が↓


今回よくわかったのが、マリー・アントワネットの鼻の形。けっこう鷲鼻でした
なので、ヨメさんと「あの鼻の形だとオハナがやったらピッタリやね」などと下らぬことを言ってみたり。(笑)

観終ったら結構な時間になっていたので、劇場前の立体看板前で写真を撮ってからカフェへ。
相変わらず狭い店内を、恐縮しながら車椅子を押して奥へ。

食べたのはコレ↓(まあまあ価格相応ですが、コーヒーが煮詰まっていて苦すぎ(笑))


でも今回の展覧会、それほど混まずに観られてよかったです。やはり期間の中ごろあたりが混まないようです。
絵そのものが余り普段目にすることが出来ない希少な作品が多いので、ぜひ機会があればご覧ください。

おすすめです。

コメント
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