粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

議員定数削減は過疎地いじめ

2012-01-24 10:06:39 | 国内政治

今日から通常国会が始まる。野田内閣はこの国会で消費税増税の関連法案成立を目指している。ただそのためには国家公務員の人件費削減などの行政改革や国会議員の議員定数削減が課題になっている。しかし安易な議員定数削減は問題が多いと思う。与党民主党は衆議院議員の「小選挙区5減比例区80減」を提案している。小選挙区は山梨、福井、徳島、高知、佐賀の定数を各1人減らすものだ。比例区80人削減は公明党などの反対で成立は困難だが、小選挙区の方は通過しそうだ。

いわゆる1票の格差が選挙区により2.7倍にもなりこれが憲法違反だと最高裁で判断されたためである。しかし単純に有権者数の比率だけで判断していいものだろうか。削減の対象に挙げられた県は人口が100万人以下の過疎県だ。たとえば佐賀県は人口84万人、東京都の15分の1だ。小選挙区の定数は3人、東京都25人。これを1人減らすと2人。単純に考えると東京都の12.5分の1となり人口での不平等は解消されるかもしれない。

面積ではどうだろう。佐賀県2439k㎡、東京都2187k㎡よりも広い。これが佐賀県が過疎県である理由だが、過疎ゆえの都会との生活の格差は大きい。たとえば県民所得の差、1人当たり雇用者報酬は古い資料で恐縮だが東京638.3万円に対して、佐賀県440.5万円でなんと年間約200万円近くの差が出ているのだ。いうまでもなくこれは雇用の格差である。東京などの都会は高収入の雇用を得る機会に恵まれていることは一目瞭然だ。雇用に限らずたとえば医療などの福祉をみても機会や質で都会のほうが優遇されていることは明白だ。つまり「生活の格差」が厳然と存在しているのだ。

しかし国会で法案を採決するとき、佐賀の議決2に対して東京25では明らかに都会部に都合の良い法案が採決されることは必至ではないか。それによって過疎地の意見が切り捨てられる恐れがある。ただでさえ「3割自治」といわれる地方自治だ。政府に従属を余儀なくされている中央集権体制の現状では、こんな議員削減は「過疎地いじめ」そのものではないかと思う。