粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

ホルムズ海峡波高し

2012-01-07 12:23:06 | 国際時事

EU加盟国は核開発を進めるイランに対して制裁を強化するためイラン産原油の輸入を禁止することで大筋合意したという。アメリカのイラン制裁の動きに呼応したものだ。したがって日本もイランから10%近くを輸入しているが、この動きに同調せざるを得ないだろう。

欧米諸国の動きに対して、イランはもし禁輸が実施されれば、対抗して周辺の原油輸出国が海上輸送に利用するホルムズ海峡を封鎖すると警告している。ホルムズ海峡は世界の原油海上輸送の4割を占め、日本の輸入に至ってはなんと8割にも及んでいる。イランが海峡を封鎖すればその世界的影響は計り知れない。当然欧米諸国が封鎖を阻止しようとこれまた実力行使に出て軍事衝突になりかねない。

世界には困ったリーダーが少なからずいる。強烈な個性で国際舞台でその存在を誇示する。そのうち昨年は金正日総書記(北朝鮮)カダフィ大佐(リビア)が姿を消した。現在もなおその独裁的権力を行使しているのは、ベネズエラのチャベス大統領とこのイランのアフマディネジャド大統領だ。双方とも肝いりの反米主義者であり国内で従来疎外されてきた地方住民の支持で頭角を表してきた。アフマディネジャド大統領は軍部から独立した革命防衛隊の出身で極めてイスラム原理主義的色彩が強い。ハタミ前大統領ら都市型の改革派の対極に位置する超保守派だ。欧米的近代民主主義憎し、イスラエルのユダヤシオニズム憎しで凝り固まっている。その彼が、中東の覇権とイスラエルの殲滅を狙って核開発を進めている。

しかし一方のイスラエルもイランの動きを充分に察知しており、核開発が決定的になる前に軍事的行動をとることは間違いないであろう。

国際世論を無視して軍事行動をとる国が二つあるとしたら中国とイスラエルがあるだろう。中国の場合は台湾が独立宣言をした時、イスラエルは自国の安全が脅かされると考えた時だ。前者は主権の大義が、後者は生存そのものが失うからだが、双方にとってそれが国家に死活問題なのだ。

もしイスラエルがイランを攻撃したら他のアラビ諸国は非常に重大の選択を迫られることになる。これからホルムズ海峡を挟んでイランと欧米諸国、さらには周辺アラブ諸国、そしてイスラエルと複雑な駆け引きが行なわれるだろう。日本は外相がイランへの重油依存の大きさから、制裁には消極的な態度を示し

たようだが、欧米諸国が本心でそんな日本の曖昧な立場を認めるはずがない。ホルムズ海峡波高し、今年の世界の大きな波乱要因になるだろう。