粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

朝日新聞の内部被曝安全宣言?

2012-01-20 00:11:02 | 反原発反日メディア

昨日(19日)朝日新聞の被曝調査結果は非常に注目に値する。朝日の面目躍如か?朝日新聞と京都大学環境衛生研究室が共同で調査したところがポイントだ。福島26、関東16、中部・関西・九州11の一般家庭の食卓のセシウム摂取量を調べたものだ。昨年12月4日の1日3食分を家族一人分余計に作りそれを全部混ぜて放射線量をはかった。水分を充分乾燥させて5時間かけて念入りに調査したが、検出の限界値(キロ当たり0.09~0.036ベクレル)が極めて低い。つまり非常に調査の精度が高いと言うことだ。

それによると福島では1日のセシウム摂取量が最大で17.3ベクレル、中央値は4.01ベクレル、これを1年間続けても年間被曝量はそれぞれ0.1ミリシーベルト、0.023ミリシーベルトに過ぎず、今年の4月から採用される食品の被曝基準年間1ミリシーベルトの10分の1、40分の1にすぎない。関東では1日の中央値は0.35ベクレルに過ぎず、16家族中7家族は不検出だ。名古屋以降の西日本では11家族中10家族が不検出だった。

この調査結果に対して小泉昭夫京大医学部教授は「福島のセシウム量でも充分低く健康影響を心配するほどのレベルではなかった」と断じ、甲斐倫明大分県立看護科学大教授も「食品に含まれているいて誰もが被曝しているカリウム40の自然放射線により被曝量よりもはるかに低い」と指摘している。ちなみにカリウム40は日本人が平均4000ベクレル体内にあり、年間で0.1896ミリシーベルトの内部被曝があるという。福島のセシウム年間被曝の中央値の8.2倍だ。

繰り返すが何よりも政府が4月から厳しい基準を打ち出した年間1ミリシーベルトの40分の1(福島の中央値)に過ぎない。しかし、朝日新聞は調査した家族のうち最も高い数値(1日で17.3ベクレル)が出た家族にスポットを当てる。高校生の娘をもつ母親は「出ると覚悟をしていたが、思ったより少なかった。でも内部被曝はわからないから恐い。子供の世代の将来が恐い。」「家庭菜園の野菜でキュウリなど今までは皮まで食べていたが今はきちんとむいている。福島の米も食べていない。」と不安の胸の内を伝えている。結果を素直に認めたくないという姿勢が朝日らしいといえばらしいが。高いと言っても年間0.1ミリシーベルトで新しい食品基準の10分の1に過ぎない。

以前NHKでも同じような検査をしたが、精度がいまいちで不検出が続出した。ただ内容そのものは朝日の結果とさほど開きがない。NHKの精度の不備を今回クリアーしたというべきだろう。NHKの番組で調査から食卓の安全性を司会者が強調したら、視聴者から「少ないサンプルで安全なんてチャンチャラおかしい」という抗議があったのを記憶している。しかし今回の調査をみれば決して「チャンチャラ」おかしくないことが証明されたといえる。

今後は事故収束に伴い日本全体で外部にしても内部にしても被曝量は減ることはあっても増えることはないだろう。もちろんこれからも食品の恒常的な検査は必要だ。特に魚介類は注視すべきだろう。しかし事故後の9ヶ月もたっていない12月4日でのこの結果は大いに評価してよいだろう。緩いといわれる政府の食品管理も概ね妥当だといってよい。「反原発」的姿勢が目立つ朝日新聞がこんな具体的な数値で結果的に安全性を裏付けたのも大きい。サンプル自体はまだまだ少ないのでこれからも多方面での新たな検査が必要だが、朝日の調査結果は今後の検査の重要な指標になることだろう。朝日よりもっと「反原発」的色彩が濃い東京新聞も、今後は具体的な調査をしてもらいたいものだ。それが「社会の公器」の責任のはずだ。