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遺言

2011-03-14 00:38:04 | 青春生き残りゲーム
久々に午後半休して、いそいそと羽田空港に向かった。

函館行きの飛行機は14時40分発で、
機材の遅れとかで、珍しくもなく、出発時刻は5分遅れになった。

機内に通され、離陸を待っていると
まだ何人か立ったままで、荷物を上の収納棚に入れているのに

飛行機が動いた、気がした。
微妙に、前に。

パイロットが出発時間を焦って
場所を微調節してるのかと。

数分して、それは地震だったとアナウンスがあった。

滑走路の点検をしている間、機内で待機。
2回目の地震があったとき、機内で携帯を使うことが許された。

しばらくして、点検に時間がかかるので、と機内を出された。
あれよあれよという間にその便は欠航になったので、そういうこともあるよなと思い

振り替え便の手続きにはたまたま1番目に並ぶことができた。
みんな目が血走ってた。

次の日、3月13日の朝の便は満席で、午後の便で予約が取れた。

自然災害では仕方ないので、エ(ア)ロでもして帰ろうかと思ったところ、
到着ロビーを出たところで、京急が止まっているのを知った。

呆然。
携帯電話の電池が残り少ない・・・

青い眼をした、かわいいかわいい旦那と親にメールするも返信なし。

座る場所をとりあえず確保して呆然。
今日は羽田空港に宿泊かという思いが頭を過ぎる。

たまたまドーナツ2個と握りたてのおにぎりセットをゲットして
飢えを凌ぐ。

地震から2時間後、親と旦那と自宅の無事を確認する。

みんなホームレスのよに、床に座り、寝転がる。

21時半に毛布の配給があったけれど
老人、子供優先とのことで、諦める。

たまたまジムに行く一式を持ってたので、
シューズをお尻にしいて、寒さを凌ぐ。

22時過ぎに搭乗口が開放されたので
セキュリティチェックを受けて、502搭乗口前の搭乗待合室の椅子をゲット。

ジムで着るはずだったウェアをタオルでくるんで
靴下の上から手袋を掃いて、コートにくるまる。

微妙に寒いけど
食料もあって、雨風凌げるだけ、ラッキーだと思う。

502搭乗口で大画面で繰り返される映像に、はじめて現実を知る。

その搭乗口は地下にあったので
いつ何が起こってもおかしくないと思い、遺言を書くことにする。

遺書だと生々しいので、遺言。

日航ジャンボ機墜落事故のとき、飛行機の中で遺書を書いたひとのことを思い出す。

まだ孫の顔を見せてあげられてない父と母と、ラブラブな新婚生活をまだ味わってない旦那に。
悔いあるけど、悔いなしと。

幸せでした、と。

顔がぐちゃぐちゃになって発見されて身元確認ができないと困るので

先週サイズを直したばかりの旦那の結婚指輪を、あたしの指輪の下にはめ、
免許証の入った財布をジーパンの後ろポケットに。

なぜか安心して数時間眠りに落ちた。

3月13日の午前4時半に待合室を追い出されて
朝一の函館の便のキャンセル待ちを狙うべく、カウンターの前に並んだ。

すでに50人ほどの列。
AIRDOの段取り悪すぎて、そこここで悶着。

それから結局3時間並んで、なんとか朝の便で席をゲットし
18時間滞在した羽田空港をあとにし、

一見、何事もなかったよな顔をしてる函館に到着。

朝5時まで起きてて、あたしを起こそうとしてくれてた、寝ぼけた旦那の顔をとうとう拝む。

もうこうやって離れて暮らすのはいやだ、と心底思う。

でもとにかくなにより、生きてることにありがとう。
今日なんでもなく暮らせてることに、ありがとう。
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