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依頼

2015-07-22 23:03:08 | 青春生き残りゲーム
行き着けのカフェに行ってパソコンを開くと
向こう側に背広を着た見た顔。
新聞を読んでいる。

記憶検索・・・
陪審員裁判で見た被告弁護士だった。

数ブロック先に地方裁判所があるのを思い出して納得した。

しばらく逡巡してから、つてつてと近寄ってって
「あなた、~さんですか?」と聞くと

「いかにも」という返事。

脇役俳優を地元のカフェで偶然見かけたファンのような顔色で
「あたし、あなたのケースで陪審員やったんです」と言うと

彼の向かい側の席を促された。

仕事ができない、無能確定の、この弁護士から
何かおもしろそうなネタを引き出せないかと思ったけれど
何も出てこなかった。

あの被告とは時々会ってるの?と聞いたけれど
会ってないとの答え。

弁護士に会いたいと言い出すようなキャラの被告ではなかったし
この弁護士に受刑中に会って話しても何も得るものはなさそうだし納得。

裁判に負け続けたら、評判に影響するの?と聞いたら
全然との答え。

影響してたら、このひと仕事の依頼ないだろうな・・・

15分くらい話して、もうなんか話を膨らます限界を感じて退席した。

あたしはあの非日常な1週間が名残惜しくて
戻りたくて

あの日
あの時間
あの場所
あの空間
あの空気を共有したひととつながっていたかっただけなのだけれど

彼はあの種のアドレナリンを彷彿とさせる要素を持ち合わせていなかった。

それでも名残惜しくて、彼の連絡先を聞いたら
あっさり携帯番号を教えてくれたけれど

たぶん連絡することはない。

もし法廷に出廷しなければならない事態に陥っても
NZの全弁護士に断られない限り、彼には依頼しないだろう。

願わくば、1件の依頼でどのくらいの報酬をもらえるかという世知辛い質問をできればよかったのに。
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