水滴

ひと前で泣くのはフェアじゃないとわかっているのだけれど
どうも涙腺が娼婦の股のよだ。

悲しいからとか
女の涙で事態を収拾したいとか

そういうことではなくて

楽しいと笑みがこぼれるよに

何か壮大な感情が心の中でいっぱいになると
鼻の奥が膨張して水滴となって目からこぼれるだけのことで。

これは負の感情ではなく
まったく正というか、正を超えて超プラスの感情なのだけれど

笑みではなく
水滴がこぼれると

当然目の前にいるひとは当惑する。

「いや、あたしは泣いてるんじゃなくて
　ただ水滴が目から落ちてるだけで大丈夫」と言って

焦って説明すればするほど
事態は悪化するわけで。

そういう種類の水滴を誰か科学的に証明してくれないだろうか。

感情が溢れ出したとき
それをそのまま体現する正当な権利を得たい。

とこれを書いてるそばから
件の水滴が溢れ出した。

いやはや。