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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【流し網漁5 航海目】!

2016年07月06日 | モバイル
6月30日朝6時40分・気仙沼出港!

「いつの間にか骨折」で、痛む右胸を固定しながらの航海…。

乗組員仲間には申し訳ないが、甲板には出ず機関室内での冷凍機当直…

普段であれば、甲板での操業の合間に機関室に入り、

冷却漁艙を調整し、甲板へのパターンでしたが、
 今回初めてしっかり向き合う事ができた…!

流し網漁は、漁獲した魚によって、
 冷水冷却・凍結・生氷・水氷と、冷却の度合いが異なる。

今回は24時間中の約17時間、各々の漁艙を冷却…

向き合えた事で、これまで見えなかった諸々が視れたりもした…
 いつになっても勉強は続く…

…夏海となった三陸沖、海水温の上昇に伴って下部機関室内は
  室温42℃を越える…

いよいよ「メカジキ」「マカジキ」の回游が活発化したようで

目的の漁種「カジキ流し網漁」が本格化してきた…!

あまり知られていないけど気仙沼港は「メカジキ」の水揚げが日本一…!

刺身で良し、焼いて良しの旨い魚である…。

尚、当地方では、めでたい席には、マグロの赤身とメカジキの白身を

紅白にみたてて、縁起のいい刺身の組合せとしています!

本船は、メカジキ水揚げ日本一の気仙沼港にネズミザメ意外でも貢献…。

鮮度良く運ぶ為の冷水冷却は冷却する方からすると、
まさしく骨がおれる作業である…
いつの間にか骨折とは意味合いが違いますが…

…若い頃、マグロ漁船に従事していた時の楽しみが
「メカジキの味噌炊き」

遠洋マグロ漁船はメカジキも凍結だったので、フィレ(三枚おろし)だった…

おろしたメカジキの中骨をぶつ切りにしておき寝番の際に造るのである…。

遠洋船では野菜類が不足する、持ちがいいのはジャガイモと玉ねぎ…

メカジキのぶつ切りに玉ねぎを入れて、日本酒で溶いた味噌で味付け。

少ないながらも、マグロ漁船での忘れられない思い出である…。

フィレにせずに丸のまま冷水冷却で水揚げする今はある意味
 「幻の味噌炊き」かな…

6回の連続操業、船は7月6日夕刻・気仙沼入港予定。