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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【10航海目】!

2015年09月27日 | モバイル
9月23日の女川入港後に氷を積み込んでおり、

24日は水揚げ後の8時20分に女川出港凪良く北上!

ロシアチェックポイント経由で25日昼頃に漁場着

我々が北上航海中だった24日晩は漁模様が良かったらしく、

舳先を下げた数隻の船がスライドして行った…

…衛星水温図の低海水温域の分布が大きく変わり、南西側に拡がって、

前航海に19℃台だったポイントにも低水が来ていた。

その水境が今航海の調査ポイントになるようだ…。

16時S/B。

前夜良かったからといって今夜も良いとは限らない…

近年のサンマ漁は形成された漁場・同ポイントが続かない傾向が強い…

サンマの回遊・続く群れの流入が年々弱くなっているように思える…

しかし、時期的には盛漁期!

そろそろ群れが纏まり、異なるポイントでもサンマが獲れだしてもいい頃…!

9月も下旬、日没時間も早まり各船の漁灯が点り始めると

夕陽による黄昏色の水平線が一気に暗くなる…

各船の動きが活発になり、カクテル光線のようにライトの光が踊り出す…!

暗くなった北のサンマ漁場を調査航走開始!

…船団から離れ、他船の漁灯の灯りも遠くなった頃…

本船のライトの探照先の海面が波が泡立つように白んだ…

漁灯の光に跳ねてくるサンマの群れ、踊る銀鱗!

跳ねるサンマに呼応するように、船上の我々の動きも弾む!

各人の胸中はテンションアゲアゲに違いない…!

動きと比例して船の周りに集まるサンマ、灯付きが良い…!

19時頃より操業開始!

魚体組成も良く纏まった漁獲で始まるも、トラブった…

フイッシュポンプからサンマが揚がらなくなった…

網中のサンマにフイッシュポンプから伸びるホースの先に

小さなネズミサメが詰まったのだった…!

蜂の巣を突ついたような船の甲板上…

対応に急ぐ我々…

取り出して、仕切り直し…。

普通はサンマを狙い、捕食しようとして網に入ったサメ等は、

ホース先のガードによって滅多にホース内に入る事はなく、

リリースしてやる事が出来るのですが、希に見るスモールサイズのネズミサメ…。

ガードを潜ってしまったようだ…。

1回操業しては調査・サンマを追う、を繰り返しながら数回の操業で纏まった漁獲!

日付けが変わる頃、大群操業となったが、再度のトラブル…!

なんと、またネズミサメが…

しかも前回より酷く、フイッシュポンプ内に詰まってしまった…!

甲板では水揚げ用のタモを使ってサンマを汲み揚げ、作業を急ぎ

機関部も対応を急ぎ、四苦八苦の末、取り出した…。

上部操舵室では漁撈長がテンションMAX!

スピーカー越しに響く声…!

後に1回操業して01時30分、操業を止めて帰途航走…

…同じトラブルが一夜に二度…

しかも、サンマの群れが纏まり漁模様が回復の兆しを見せた夜…

これはいただけない…

漁灯を仕舞う時、言葉を交わす雰囲気では無かったようだが、

トラブルによって夜が明けてしまってサンマを獲り損ねた訳ではない…!

ただ、漁撈長にはスムーズに獲れなかったジレンマがあっただろう…

やれやれ… である…。

ただ、漁にはこういう事もある…!

それを含めて運が漁を左右する事もある…。



船は凪良く南下中、27日・朝06時頃の女川入港予定。