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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【13航海目】!

2016年10月13日 | モバイル
10月8日、多くの秋刀魚漁船が花咲港で時化休み…。



岸壁から2段・3段と船を抱かせての時化繋ぎは、ある意味圧巻である…!

10月9日・朝から氷を積み込み、氷艙と冷水の保冷

熱で劣化した主機の過給機の防熱具を補修したり、

Lo系のメンテナンスで
夕刻となった…

船に居るのは私だけと思っていたが、入浴後にサロンに行くと
珍しく漁撈長がおり、久々にゆっくり世間話となった…

…漁期間中の世間話は、稀である…。

次第にパチンコに出掛けていた若人逹が帰って来て、意外な雰囲気に驚いていた…

道東各港は水揚げ開始時間が早い、目覚まし時計は2時にセット、早めに寝台に入った…。

抱かせていた船を水揚げする岸壁にシフトしたり
水揚げ前の準備があるので、早めに起きて備えなければならない…

3時30分から水揚げ開始!
水揚げ中に荷揚げボンブの一部のガイドローラーフレームが折損…


簡単に壊れるような箇所ではないのだが…
訊けば、氷の積み込み時にぶつけたとの事…

報告があれば時化休み中に善処できた…。

時間に余裕がない時は対処・応急にしかならない…
この違いは大きい…!

4時10分、水揚げを終えて花咲出港!

まだうねりの残る道東沿岸から、公海に向けて航走。

揺れる船上で応急に対処…
15時30分 S/B。

目指すポイントまでは、まだ遠い…

20時から調査開始、季節風を左舷後方に受け、沖合いの高いうねりで
大きなローリングを繰返しながら…

21時頃に1回操業、1回目の網を入れる際、
網に隠れていた秋刀魚の鱗が季節風に舞い飛ぶ…

揚網後、更に沖へ…!

東側の水平線に日本漁船の漁り火、
南東側の水平線には、うっすらと、外国船団の赤い漁り火が見える…

23時頃、ポイント着も期待に反して漁模様が悪くなり、秋刀魚の群れが薄くなった…。

次第に季節風は弱まったがうねりは残り、夜明けまで薄群れを回数操業…

僅かな漁獲に終わり、西へ…

11日、15時30分S/B。

日没から操業開始、1回操業しては調査航走のパターンで
少しずつ漁獲を纏めながら、西へ西へと秋刀魚を追った…!

うねりもおさまり、良い凪となったが夜明け近くに雨が降り始め、



雨の中奮闘、夜明けと同時に魚艙を満たした。

南下帰途航走、都合により女川経由気仙沼向け…!

…ルーキー便り…

今期の秋刀魚漁には、本船を含め、私の知る船4隻に
4人の各ルーキーが乗船した…

その4隻の4人の中で2隻、2人のルーキーが下船したらしい…
その中の1人は、僅か1航海で去ったとの事である…

本船のルーキーは、さすが元高校球児、必死に白球を追っただけあり、
今は必死に氷を追っている…!

TEAM-F(第68福神丸)新造船から4期目の秋刀魚漁、
各漁期で氷艙担当の若人グループが代わったが

甲板長曰く、4期・4グループ中で
ルーキー含む今期の若人逹が一番上手いとの事である。

日々上達していくのは進歩であって、
教える若人も教わるルーキーも、共に進歩している典型的な例であり、
こういう連鎖が乗組員に浸透し、船が良くなるのだと思っている…!

昨操業時、最後の艙に秋刀魚を入れる前の土壇場に、
アイスキャッターが詰まってしまった…

もうすぐ夜明け…
漁撈長の声が響き渡る…!
嵐のような夜明け前のワンフレーズ…

めまぐるしく多忙な操業も、幾度も経験する事で次第に慣れていく!

太平洋の波や季節風、歳の近い若人逹に揉まれながらも
本船のルーキーは頑張っている!

早く一人前の漁師に育って行く事が、仕事を教えてくれた人達への恩返しになるのだ…。

…普段、入港前に入港後の機関部作業の予定を記しているのですが、
私一人でいい時は記さない。

そんな時でも、起床次第機関室に来て「今日の作業は?」
と、聞いてくる…!

確実に成長している!


只、掃除は最後まで気を抜かずに…
頑張れ秀斗…!

船は、13日・朝8時女川・10時30分気仙沼入港予定。